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床から立ち上がれない理由|転倒後に起き上がるコツを理学療法士が解説

2026.07.02

健康について

床から立ち上がれない理由|転倒後に起き上がるコツを理学療法士が解説

💡 この記事について:本記事は一般的な健康情報の提供を目的としています。個別の診断や治療の代わりにはなりません。痛みや不安がある方は医療機関にご相談ください。

「床に座ると、もう自分では立てない」。そんな不安はありませんか。

実は、床から立ち上がる力は、将来の健康を映す鏡だと注目されています1

理学療法士として現場で感じるのは、この動作が「全身の総合力」だということです。筋力・バランス・柔軟性が、すべて問われます。

この記事では、なぜ床から立てなくなるのかを動作の視点で読み解きます。そのうえで、転倒後に起き上がるコツをお伝えします。

床から立ち上がる力は「寿命の予測」につながる?

少し驚く研究があります。床に座り、また立ち上がる動作を点数化するテストです1

手やひざをつくほど減点され、満点は10点です1。このテストは、座って立つだけで行えます。

2025年の研究では、点数が低い人ほど将来のリスクが高い傾向が示されました1。つまり「床から立てるか」は、体の状態を映す指標になりうるのです。

「立てない」は転倒後の二次被害を生む

もう一つ深刻な問題があります。転んだあと、自力で起き上がれないケースです。

高齢者の転倒の多くは、自宅の屋内で起きています4。床に倒れたまま動けないと、回復が遅れる原因になります。

骨折・転倒は、介護が必要になる主な原因の上位です2。「立てない」を放置しないことが大切です。

床からの立ち上がりを理学療法士が分解する

タネ明かしです。床からの立ち上がりは、いくつもの段階を踏む動作です。

まず横向きになり、手をついて体を起こします。次に四つ這いになり、片膝立ちへ移ります。

そして片膝立ちから、ぐっと立ち上がります。この段階を一つでも飛ばすと、動作は一気に難しくなります。

段階を踏めば「小さな力」で立てる

仰向けからいきなり立とうとすると、大きな腹筋の力が要ります5。重心を支える面から外れてしまうからです5

一方、横向きから肘・手と支えを増やすと負担は減ります5。支える面が広がり、小さな力で起き上がれます5

現場では、段階を省いて力任せに立とうとする方が多い傾向があります。順番を整えるだけで、ぐっと楽になります。

片膝立ちで「股関節の力」が試される

最大の難所は、片膝立ちから立つ場面です。ここで片脚に体重を乗せ、一気に伸び上がります。

使うのは、お尻と太ももの大きな筋肉です。この力が弱ると、最後のひと押しが効かなくなります。

床から立てなくなる3つの原因

床からの立ち上がりは、複数の力が同時に要ります。立てなくなる原因を3つに分けて整理します。

原因1:お尻と太ももの筋力低下

片膝立ちから立つ最後の場面で、大きな筋力が要ります。お尻と太ももが弱ると、ここで止まります。

筋力は使わない期間が続くほど落ちやすい性質があります2。床に座る機会が減ると、立つ力も衰えていきます。

原因2:バランスを保つ力の低下

姿勢を変えるたびに、重心は大きく動きます。これを支えるバランス力が落ちると、ふらつきます。

四つ這いや片膝立ちは、支える面が狭い姿勢です。バランスが不安定だと、途中で崩れてしまいます。

原因3:関節の硬さ

床の動作には、膝や股関節を深く曲げる柔らかさが要ります。関節が硬いと、姿勢の移り変わりが滞ります。

正座やあぐらがつらい方は、特に注意が必要です。柔らかさを保つことも、立ち上がりを助けます。

「床から立てない」が招く悪循環

床から立てないと、床に座ること自体を避けがちです。すると、立ち上がる練習の機会が減ります。

機会が減ると筋力はさらに落ち、ますます立てなくなります。これが「動かない悪循環」です。

転倒後に起き上がれない不安も、外出を遠ざけます。活動の範囲が狭まり、心身の元気も奪われます。

だからこそ、「立てない」を放置しないことが大切です。動作は、練習で取り戻せる余地があります。

転倒後に起き上がるコツとセルフケア

では、安全に起き上がるにはどうすればよいでしょうか。手順と練習を分けて見ていきます。

転んだら「あわてず段階を踏む」

転倒直後は、まず痛みやケガを確認します。動けそうなら、次の順で起き上がります。

  • 横向きになり、両手で床を押して上体を起こす
  • 四つ這いになり、丈夫な家具の近くへ移動する
  • 家具に手をかけ、片膝立ちから立ち上がる

強い痛みや頭を打った場合は、無理に動かないでください。すぐに助けを呼ぶことが優先です。

自宅でできる「起き上がりの練習」

いざという時に動けるよう、普段から練習しておきます。布団やマットの上で、安全に試しましょう。

  • 四つ這いから片膝立ちになる動きを繰り返す
  • 椅子につかまり、片膝立ちから立つ練習をする
  • お尻と太ももを使う立ち座りを毎日続ける

痛みが出たら中止してください。一人で不安なときは、誰かに見守ってもらいましょう。

床での生活も「練習の場」になる

床に座る習慣は、見方を変えれば良い練習になります。立ち上がる回数が、自然と増えるからです。

ただし、滑りやすい床や障害物には注意が必要です。安全な環境を整えてから取り組みましょう3

起き上がりの練習を続ける3つのコツ

床からの立ち上がりは、続け方が大切です。安全に続けるための3つのコツを紹介します。

コツ1:支えを使って段階的に練習する

最初から支えなしで立とうとしないことです。椅子や家具につかまり、安全に練習を始めます。

慣れてきたら、支えを少しずつ減らします。段階を踏むほど、必要な力が無理なく育ちます。

コツ2:柔らかい場所で安全を確保する

練習は、布団やマットの上で行いましょう。万一ふらついても、けがをしにくくなります。

周囲に角のある家具がないかも確認します。安全な環境づくりが、続けるための前提です。

コツ3:一人で不安なら見守りを頼む

床からの立ち上がりは、転倒のリスクも伴います。一人で不安なときは、誰かに見守ってもらいましょう。

専門家なら、どの段階でつまずくかを外から確認できます。一対一なら、その人に合わせて手順を整えられます。

つまずく手前で支えられるのが、伴走の強みです。安全に「立てる」へ近づく、心強い後押しになります。

床のある生活を「練習の場」に変える工夫

床からの立ち上がりは、日常の中でも練習できます。床に座る機会を、上手に活かしましょう。

たとえば、床に座って新聞を読む時間をつくります。立つたびに、段階を踏む練習が自然にできます。

立つときは、横向き、四つ這い、片膝立ちの順を意識します。あわてず順番をたどることが、安全につながります。

近くに丈夫な椅子やテーブルを置いておきましょう。支えがあれば、安心して練習を続けられます。

こうした積み重ねが、いざという時の備えになります。転んでも自分で起きられる力は、安心の土台です。

ただし、滑る床や障害物には注意が必要です。安全な環境を整え、無理のない範囲で取り組みましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 床から立ち上がれないのは、どこが弱っているのですか?

A. お尻と太ももの筋力、バランス、柔軟性が総合的に関わります。特に片膝立ちから立つ力が要です。立ち座りや片膝立ちの練習で、必要な力を取り戻していくことが期待できます。

Q. 転倒後に床から起き上がるコツはありますか?

A. あわてず段階を踏むことです。横向き、四つ這い、片膝立ち、立位の順で進めます。丈夫な家具を支えに使うと安全です。強い痛みや頭部打撲がある場合は動かず、助けを呼んでください。

Q. 座って立つテストの点数が低いと、危険なのですか?

A. 点数が低いほど将来のリスクが高い傾向が研究で示されています。ただし、これは可能性を示す指標です。点数は練習で改善が期待できるため、結果を運動のきっかけにすることをおすすめします。

Q. 床に座る生活は、足腰に良いのですか悪いのですか?

A. 安全であれば、立ち座りの回数が増える良い練習になります。一方で、滑る床や障害物は転倒のもとです。手すりや家具で支えを確保し、環境を整えたうえで取り入れると安心です。

Q. 床からの立ち上がりは、何歳からでも練習できますか?

A. 安全に行えるなら、年齢にかかわらず練習できます。大切なのは、いきなり難しい動作に挑まないことです。支えを使い、段階を踏んで進めれば、リスクを抑えられます。持病や強い痛みがある方は、始める前に専門家へ相談すると安心です。

Q. 椅子からは立てるのに、床から立てないのはなぜですか?

A. 床からの立ち上がりは、椅子よりも多くの段階を踏むためです。低い姿勢から立つには、深い関節の曲げ伸ばしと、より大きな筋力が要ります。バランスを保つ場面も増えます。椅子で立てても床で苦労するのは、自然なことだといえます。

Q. 練習を始めて、どれくらいで変化を感じられますか?

A. 個人差が大きく、一概には言えません。一般に、筋力やバランスの変化には数週間以上かかることが多いとされています。あせらず、続けることが何より大切です。変化が乏しいまま時間が経つ場合は、やり方を見直す必要があります。専門家に確認してもらうと、効率よく進められます。

まとめ|床からの立ち上がりは「練習で戻せる」動作

床から立てなくなるのは、全身の力が少しずつ衰えるためです。筋力・バランス・柔軟性が同時に問われます。

けれど、段階を踏むコツと反復練習で、立ち上がる力は戻せます。転倒後の「動けない」も、備えで減らせます。

一人での練習が不安なときは、専門家が隣で支える環境が役立ちます。動作の順番や弱点を、その場で確認できます。

地味に思えても、起き上がるという生活動作を練習し直すことには意味があります。専門家と一対一で、無理のないペースで取り組めるからです。「自分で立てる」が、毎日の安心を支えていきます。

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免責事項

記事の目的と性質

本記事は、床からの立ち上がりに関する一般的な健康情報を提供することを目的としています。理学療法士の専門的視点から、科学的根拠に基づいた情報をわかりやすく解説していますが、以下の点にご注意ください。

本記事の限界

・個別診断の代替不可:本記事の情報は、あなた個人の症状や状態に対する診断・治療を提供するものではありません。

・医療行為ではない:記事内容は医療行為や医学的助言ではなく、一般的な情報提供です。

・自己判断のリスク:本記事の情報のみに基づく自己判断や自己治療は、症状の悪化や健康被害につながる可能性があります。

医療機関受診の推奨

以下の場合は、必ず医療機関を受診してください:痛みや不調が続いている場合、症状が悪化している場合、日常生活に支障が出ている場合、持病や既往歴がある場合。

情報の正確性について

本記事は2026年6月時点の最新情報に基づいて作成されており、信頼できる医学的根拠や公的ガイドラインを参照しています。医学・医療情報は常に更新されるため、将来的に内容が変更される可能性があります。

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参考文献

1. Harvard Health Publishing. What the sitting-rising test says about your health. 2025.

2. 厚生労働省. 2022年国民生活基礎調査の概況. 厚生労働省, 2023.

3. 長寿科学振興財団. 高齢者の住宅内の事故(健康長寿ネット). 2024.

4. 政府広報オンライン. 転倒事故の起こりやすい箇所. 内閣府.

5. 福祉医療機構. 起き上がり動作(WAM NET 介護技術). 福祉医療機構.

6. 内閣府. 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査(転倒事故). 内閣府.


執筆者情報

本記事は、リペアルポ(大阪市福島区)の理学療法士が監修・執筆しました。脳卒中・神経疾患・痛みのリハビリに加え、立ち上がりや起き上がりなどの生活動作の練習を、完全マンツーマンで提供しています。

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