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ベジタリアンと肉食、体はどう違う?筋肉・骨・腸の視点で解説【2026年版】

2026.05.17

健康について

ベジタリアンと肉食、体はどう違う?筋肉・骨・腸の視点で解説【2026年版】

※本記事は2026年5月時点の最新情報に基づきます。

理学療法士の視点から解説していますが、個別の症状や疾患に関する判断・治療を提供するものではありません。

気になる症状がある方は、医療機関の受診をおすすめします。

はじめに:お肉好きと菜食派、体の中身は本当に違うの?

「お肉が好きな人と、野菜中心の人。体の中身って本当に違うの?」

こんな疑問、ふと気になったことはありませんか。

同じ人間なのに、毎日食べているものが違うだけで、体の中で何かが変わっているのか。

実は、最新の研究では「ベジタリアンと肉食(雑食)で体に違いがある」ことが分かってきています。

筋肉のつき方、骨の強さ、腸内細菌のバランスまで、思った以上にいろんな差が報告されているんです。

本記事では、理学療法士の視点で「動く体」を軸にして整理します。

ベジタリアンと肉食の体の違いを、最新エビデンスとともに解説していきます。

2026年5月時点の最新の系統的レビューを基に、分かりやすくお伝えします。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の内容も反映しています。

ベジタリアン・肉食って何?分類のおさらい

「ベジタリアン」と一口にいっても、実はいろんなタイプがあります。

ざっくり整理してみましょう。

主な食事スタイルの分類

  • ヴィーガン:動物性食品をすべて避けるスタイル
  • ラクト・オボ・ベジタリアン:肉と魚は食べないが乳製品と卵はOK
  • ペスカタリアン:肉は食べないが魚介類はOK
  • フレキシタリアン:基本は植物中心、たまに肉も食べる
  • 雑食(オムニボア):肉も魚も植物もバランスよく食べる

研究では、この分類ごとに体への影響が比較されています。

本記事では、動物性食品をほぼ避けるヴィーガン寄りの食生活を中心に扱います。

そして、肉も食べる雑食と比較していきます。

筋肉量・体組成の違い:動く体に効くのはどっち?

理学療法士として最も気になるのは、やはり筋肉です。

結論から言うと、現時点の研究では動物性タンパク質のほうが筋肉づくりにやや有利です。

動物性と植物性のタンパク質の違い

タンパク質はアミノ酸という小さな部品の集まりです。

その中の「必須アミノ酸」9種類は、体内では作れません1

そのため、食事から摂る必要があります。

動物性食品(肉・魚・卵・乳製品)は、必須アミノ酸がバランスよく含まれます。

植物性食品でも大豆はかなり優秀です。

ただし、米や小麦などは一部のアミノ酸が不足しがちと考えられます。

ロイシンと筋タンパク質合成のスイッチ

必須アミノ酸の一つ「ロイシン」には、特別な働きがあります。

筋肉を作るスイッチを入れる役割です。

動物性タンパク質はロイシンを多く含みます2

そのため、筋タンパク質合成を強く刺激しやすいと示されています。

植物性タンパク質でも合成は起こります2

ただし、同じ量を摂った場合の刺激は動物性のほうが強いとされています。

高齢者の体組成研究での違い

高齢者を対象にした系統的レビューでも、興味深い結果があります2

肉を含む食事のほうが、除脂肪量を維持しやすい傾向が報告されました。

除脂肪量とは、筋肉や骨など脂肪以外の量のことです。

ただし「ベジタリアンでは筋肉がつかない」という意味ではありません。

植物性中心でも、量と組み合わせを工夫すれば筋肉は維持できます。

「動物性が絶対」ではなく「植物性中心なら工夫が必要」と捉えてください。

なお、筋肉が新しく作り替わるには時間がかかります。

詳しい仕組みは筋肉の合成に3ヶ月かかる理由【2026年版】もご参照ください。

骨密度・骨折リスク:菜食派が注意したいポイント

次は骨です。

骨もまた、食事スタイルで違いが出やすい部位とされています。

ベジタリアンとヴィーガンの骨密度

2025年に発表された系統的レビューがあります3

植物性食生活ではカルシウム・ビタミンB12・鉄の不足が指摘されています。

これらが骨や血液の健康に影響しうると整理されました。

特にヴィーガンでは、乳製品を摂らない影響が大きいと考えられます3

カルシウム摂取量が少なくなりやすく、骨密度がやや低い傾向があります。

骨折リスクとの関連も指摘されています3

長期間にわたるヴィーガン食では、特に注意が必要と考えられます。

なぜ骨が弱くなりやすい?

骨はカルシウムだけで作られるわけではありません。

タンパク質も骨の重要な材料です。

ビタミンD・ビタミンKも骨代謝に関わります。

動物性食品を避けると、これらが同時に不足しやすくなります。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」でも整理されています4

ビタミンDの維持には、食事と適切な日光曝露が重要とされています。

肉食派でも安心とは限らない

一方で、肉さえ食べていれば骨が強い、というわけでもありません。

カルシウム源となる乳製品や緑の葉野菜・小魚を摂っているか。

運動習慣があるかどうかでも、結果は大きく変わります。

骨の健康は「総合的な栄養と運動の組み合わせ」で決まると考えられます。

腸内環境の違い:菜食派の意外な強み

ここからは、ちょっと意外な分野です。

腸の中に住んでいる細菌(腸内細菌)も、食事スタイルで大きく変わります。

食物繊維で育つ「いい菌」

植物性食品中心の食事は、食物繊維の摂取量が多くなります。

ポリフェノールも豊富になる傾向があります。

これらは腸内の有益な菌のエサになります5

結果として、短鎖脂肪酸という物質が増えると考えられています。

短鎖脂肪酸は腸の粘膜を整え、炎症を抑える働きが報告されます5

健康全体に良い影響をもたらすと考えられています。

ベジタリアンの腸内細菌は多様性が高い傾向

2023年の系統的レビューで、興味深い結果が示されました5

ベジタリアン・ヴィーガンの腸内では、繊維を分解する菌が多いんです。

一方、雑食では脂質やタンパク質を代謝する菌が多いと整理されました。

植物性中心の食事では、腸内細菌の多様性が高い傾向があります。

心血管系のリスクが下がる方向の菌が増える傾向もあります。

肉食派でも対策はできる

とはいえ「肉を食べる人=腸内環境が悪い」というわけではありません。

野菜・果物・全粒穀物・豆類・発酵食品を一緒に摂ることが大切です。

そうすれば、雑食でも豊かな腸内環境を保てると考えられています。

大事なのは「肉か植物か」ではないかもしれません。

「植物性食品をどれだけ取り入れているか」が鍵といえます。

不足しがちな栄養素マップ:ベジタリアンの落とし穴

ベジタリアン側で特に気をつけたい栄養素を整理します。

ビタミンB12

ビタミンB12はほぼ動物性食品にしか含まれていません。

ベジタリアン・ヴィーガンの血中B12濃度には特徴があります6

雑食より低い傾向が、複数の系統的レビューで報告されています。

不足が長く続くと、貧血や神経系の症状につながる可能性があります6

植物性食品にも鉄は含まれます。

ただし吸収率が低い「非ヘム鉄」が中心になります3

そのため、摂取量は十分でも体内に取り込まれる量は少なくなりがちです。

オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)

EPAやDHAは主に魚に含まれる脂肪酸です。

脳や血管の健康に関わるとされています。

魚を食べないヴィーガンでは、EPA・DHAが不足しやすい傾向です7

カルシウム・ビタミンD・亜鉛

乳製品・卵を避けるヴィーガンでは、カルシウムや亜鉛も不足しやすい傾向です3

ビタミンDも、日光曝露が少ない生活では補給を意識したいです4

気になる症状や慢性的なだるさを感じる場合は、自己判断は避けてください。

医療機関で相談することをおすすめします。

心血管・代謝面のメリット:ベジタリアン側の強み

不足の話ばかりだと不公平なので、ベジタリアン側のメリットも見ていきましょう。

コレステロール・血糖値

植物性中心の食事では、コレステロール値に特徴が見られます。

総コレステロール・LDLコレステロールが低めになる傾向があります。

食物繊維が豊富で、飽和脂肪酸が少ないことが理由と考えられます。

結果として、心血管疾患リスクが低い傾向も多くの研究で示されています。

体重・体脂肪

ベジタリアンはBMIや体脂肪率が低めの傾向もあります。

食事のエネルギー密度が低くなりやすいことが背景と考えられます。

慢性炎症

植物に含まれる抗酸化物質やポリフェノールには働きがあります7

体内の慢性炎症を抑える方向に作用すると報告されています。

炎症は生活習慣病やフレイルにも関わるため、軽視できない要素です。

PT視点:高齢者・運動する人にとっての注意点

理学療法士として、特に伝えたい注意点があります。

高齢者は筋肉量が減りやすい

歳を重ねると、筋肉合成の反応が弱くなる現象が起こります。

「アナボリック・レジスタンス」と呼ばれるものです。

高齢者では、より多くの良質なタンパク質が必要と考えられています。

植物性中心の食事で必要量を満たすには、量・組み合わせの工夫が重要です。

工夫が不十分だと、筋肉量がじわじわと減ってしまう可能性があります。

虚弱(フレイル)の入口に近づくリスクも指摘されています。

フレイルの初期サインはフレイル・プレフレイルとは?【2026年版】で解説しています。

運動する人はタンパク質量に要注意

筋トレや持久系スポーツをしている方には特徴があります。

一般人より多くのタンパク質が必要になります。

植物性中心の場合は、食材の組み合わせが鍵です。

大豆製品・豆類・全粒穀物・ナッツなどを意識的に組み合わせましょう。

「ヴィーガンでもアスリートとして活躍する人」が増えています。

工夫すれば十分にやれる証拠でもあります。

リハビリ後・術後の方

怪我や手術のあとは、組織の修復が必要です。

普段以上のタンパク質が必要になります。

菜食を続けたい場合も、回復期は柔軟に判断するのがおすすめです。

一時的に動物性食品を取り入れる対応も検討してみてください。

持病や既往歴がある方は、必ず主治医や管理栄養士に相談してください。

結局どっちがいいの?理学療法士の見解

「で、結局どっちがいいの?」

正直に言うと、どちらが一方的に勝っているわけではありません。

大事なのは目的とライフスタイルに合わせた選択です。

  • 筋肉や骨を強く保ちたい人:動物性タンパク質を含む食事が有利
  • 心血管リスクや体重を抑えたい人:植物性中心の食事にメリットあり
  • 腸内環境を整えたい人:植物性食品の比率を上げるのが効果的
  • 高齢者・アスリート:タンパク質の量と質に意識を向ける必要あり

つまり、極端な選択ではなくバランスを取るのが鍵かもしれません。

「植物性食品を増やしつつ、必要な動物性食品も取り入れる」スタイルです。

現時点では、これが最もバランスが良いと考えられています。

食事は1日2日では体を変えません。

長期的に続けられるスタイルを選ぶことが、いちばんの近道です。

よくある質問(FAQ)

Q1. ベジタリアンだとどうしても筋肉が落ちますか?

必ずしもそうではありません。

タンパク質の総量と必須アミノ酸のバランスを意識することが大切です。

運動を組み合わせれば、筋肉量は維持できると考えられています。

大豆製品・豆類・全粒穀物の組み合わせが鍵になります。

Q2. ヴィーガンはサプリが必須ですか?

特にビタミンB12は植物性食品からの摂取がほぼ不可能です6

そのため、強化食品やサプリでの補給が一般的に推奨されています。

鉄・カルシウム・ビタミンDなども、不足しないよう工夫が必要です。

気になる方は医師や管理栄養士に相談してみてください。

Q3. 高齢者がベジタリアンになっても大丈夫?

必ずしもダメというわけではありません。

ただし、加齢に伴い筋肉合成の反応が弱くなります。

植物性中心の食事ではタンパク質の量と組み合わせに工夫が必要です。

不安な方は、医療機関や管理栄養士に相談してみてください。

Q4. フレキシタリアンってどう?

植物性中心で、たまに肉や魚も食べるスタイルです。

栄養バランスを取りやすいスタイルとして注目されています。

極端な制限がないため、続けやすいのが特徴です。

不足リスクも下げやすいといえます。

Q5. 子どもにヴィーガン食を続けさせても問題ない?

子どもの場合、成長に必要な栄養素が幅広いので注意が必要です7

慎重な計画と専門家の指導が重要と考えられています。

自己判断ではなく、小児科医や管理栄養士に相談しながら進めてください。

まとめ

ベジタリアンと肉食、体には確かに違いがあります。

  • 筋肉づくりには動物性タンパク質がやや有利
  • 骨密度はベジタリアンでやや低めの傾向
  • 腸内環境はベジタリアンに分がある
  • 心血管・代謝面は植物性中心が有利
  • ビタミンB12・鉄・オメガ3はベジタリアンの注意ポイント

どちらが正解というものではありません。

目的とライフスタイルに合わせた選択が大切です。

食事は毎日続ける長期戦です。

極端な選択よりも、植物性食品を増やすスタイルがおすすめです。

必要な栄養を確保しながら続けることが、健康を保つコツかもしれません。

気になる症状や栄養面の不安がある場合は、自己判断は避けてください。

医療機関や管理栄養士への相談をおすすめします。

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免責事項

記事の目的と性質

本記事は、ベジタリアンと肉食の体の違いに関する一般的な健康情報を提供することを目的としています。理学療法士の専門的視点から、科学的根拠に基づいた情報を分かりやすく解説していますが、以下の点にご注意ください。

本記事の限界

  • 個別診断の代替不可:本記事の情報は、あなた個人の症状や状態に対する診断・治療を提供するものではありません。
  • 医療行為ではない:記事内容は医療行為や医学的助言ではなく、一般的な情報提供です。
  • 自己判断のリスク:本記事の情報のみに基づく自己判断や食事の急な変更は、健康被害につながる可能性があります。

医療機関受診の推奨

以下の場合は、必ず医療機関を受診してください。

  • 慢性的な疲労・しびれ・貧血症状がある場合
  • 食事制限後に体調の変化を感じる場合
  • 持病や既往歴がある場合
  • 妊娠中・授乳中・成長期のお子様の食事で迷う場合

情報の正確性について

本記事は2026年5月時点の最新情報に基づいて作成されており、信頼できる医学的根拠や公的ガイドラインを参照しています。医学・医療情報は常に更新されるため、将来的に内容が変更される可能性があります。

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参考文献

1. 鈴廣魚肉たんぱく研究所. タンパク質の手軽なとり方とは. 2023.

2. Lim MT, et al. Protein Source and Quality for Skeletal Muscle Anabolism. PMC, 2021.

3. Pinto AM, et al. Risk of Osteoporosis and Anemia in Plant-Based Diets. PMC, 2025.

4. 厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書. 2024.

5. Sakkas H, et al. Effect of Plant-Based Diets on Gut Microbiota. PMC, 2023.

6. Bakaloudi DR, et al. Nutrient Intake in Adults Consuming Plant-Based Diets. Nutrients, 2021.

7. Chiavaroli L, et al. Impact of Vegan and Vegetarian Diets on Neurological Health. PMC, 2025.


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