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フレイル・プレフレイルとは?気づいていない人が多い虚弱の前兆サイン【2026年版】

2026.04.16

健康について

フレイル・プレフレイルとは?気づいていない人が多い虚弱の前兆サイン【2026年版】

最近、ペットボトルのふたが開けにくくなった。横断歩道を青信号で渡りきれないことがある。半年で体重が2kg以上減った――。

こうした変化に心当たりはありませんか。「年のせいだから仕方ない」と思っていたその症状、実は「フレイル」や「プレフレイル」のサインかもしれません。

この記事では、理学療法士の専門的視点から、フレイルとプレフレイルの基本、見逃しやすい前兆サイン、そして今日からできる予防法をわかりやすく解説します。

💡 この記事について

この記事は一般的な健康情報を提供するものであり、個別の医学的診断や治療の代わりとなるものではありません。症状や不安がある場合は、必ず医療機関を受診してください。


目次

  1. フレイルとは?
  2. プレフレイルとは?「4割の人が気づいていない」予備群
  3. こんな人はフレイル・プレフレイルかも?日常生活の具体例
  4. フレイルの3つの側面
  5. フレイルサイクル――なぜ悪循環に陥るのか
  6. 自分でできるフレイルチェック
  7. フレイル予防の3つの柱
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ

フレイルとは?

フレイルとは、英語の「frailty(フレイルティー)」を語源とする言葉です。日本語では「虚弱」を意味します。

2014年に日本老年医学会が提唱した概念で、「健康な状態」と「要介護状態」の中間に位置します(日本サルコペニア・フレイル学会, 公式ページ)。

もう少しかみ砕いて言うと、「病気ではないけれど、心身の力が落ちてきて、ちょっとしたきっかけで一気に介護が必要になりかねない状態」です。

フレイルの3つの大きな特徴

フレイルには、知っておきたい3つの特徴があります。

1つ目は「中間の段階」であること。 健康と要介護の間にある状態です。突然倒れるのではなく、じわじわと進みます。

2つ目は「多面的」であること。 筋力の低下だけでなく、気分の落ち込みや社会的な孤立も含みます。体だけの問題ではないのです。

3つ目は「可逆性がある」こと。 ここが最も重要なポイントです。適切な対処をすれば、健康な状態に戻れる可能性があります(フレイル診療ガイド2018年版)。

つまり「早く気づけば、引き返せる」。これがフレイルという概念の核心です。


プレフレイルとは?「4割の人が気づいていない」予備群

フレイルの一歩手前の状態を「プレフレイル(前虚弱)」と呼びます。

東京都健康長寿医療センターの全国調査によると、65歳以上の日本人高齢者のうち、フレイルに該当する人は約8.7%です。一方、プレフレイルに該当する人は約40.8%にのぼります(東京都健康長寿医療センター, 2020)。

つまり、高齢者の約4割がフレイルの「予備群」です。そして、その多くが自分の状態に気づいていません。

なぜ気づきにくいのか

プレフレイルが見逃されやすい理由は、変化がとてもゆっくり進むからです。

「去年と比べて少し疲れやすくなった」「以前より歩くのが遅くなった気がする」。こうした小さな変化は、日常生活に大きな支障がないため、「年のせいだろう」と見過ごされがちです。

しかし、プレフレイルの段階で気づいて対処すれば、フレイルへの進行を防げる可能性が高いとされています。

さらに注目すべきデータがあります。ツムラ社が実施したフレイルに関する中年世代の調査(2024年)では、50代でフレイルまたはプレフレイルに該当する人が約9割という結果も報告されています。フレイルは高齢者だけの問題ではありません。

また、フレイルの認知度は全体で約4割にとどまっており、特に高齢者自身の認知度は約2割と低い状況です(タニタ, 人生100年時代の健康とフレイルに関する調査2022)。「知らなかった」ために対策が遅れるケースが多いのです。


こんな人はフレイル・プレフレイルかも?日常生活の具体例

フレイルやプレフレイルは、特別な検査をしなくても、日常生活のなかで気づけるサインがあります。

以下のような経験に心当たりはありませんか。

身体面のサイン

  • ペットボトルのふたが開けにくくなった。 以前は何も考えずに開けられたのに、最近は両手を使ったり、タオルを巻いて開けたりしている。これは握力の低下を示す代表的なサインです。未開栓のペットボトルのキャップを開けるには約20kgの握力が必要とされており、フレイルの目安となる握力(男性28kg未満、女性18kg未満)との関連が指摘されています(日本版CHS基準(J-CHS基準)
  • 横断歩道を青信号で渡りきれないことがある。 日本の横断歩道の信号は、歩行速度が秒速1.0mで渡れるように設計されています。青信号のうちに渡りきれないということは、歩行速度が低下している可能性があります
  • 階段の上り下りがつらくなった。 以前は1段飛ばしで上れたのに、いまは手すりにつかまらないと不安。これは下肢の筋力低下を反映しています
  • 買い物袋を持つのがつらい。 2Lのペットボトル2本(約4kg)を片手で持ち帰るのが大変になった

体調面のサイン

  • 半年で体重が2kg以上減った(意図していないのに)。 ダイエットをしていないのに痩せてきた場合は要注意です
  • わけもなく疲れた感じがする(2週間以上)。 特に忙しいわけでもないのに、何をするにも億劫に感じる
  • 飲み物や汁物でむせることが増えた。 のど周りの筋力低下による嚥下機能の衰え(オーラルフレイル)のサインです

社会面・心理面のサイン

  • 外出の回数が減った。 以前は週に何度も出かけていたのに、最近は用事がないと家にいることが多い
  • 友人や家族との会話が減った。 電話やメールの頻度が明らかに減っている
  • 趣味や楽しみに興味がなくなった。 以前は楽しんでいたことが面倒に感じるようになった
  • ちょっとしたことでイライラする、または気分が沈みがち。

これらのサインが1つでも当てはまる場合、プレフレイルの可能性があります。複数当てはまる場合は、医療機関や地域包括支援センターへの相談をおすすめします。


フレイルの3つの側面

フレイルは「体の問題」だけではありません。大きく3つの側面があり、それぞれが連鎖しています。

1. 身体的フレイル

筋力の低下、歩行速度の低下、体重減少など、体の機能が衰えた状態です。

加齢によって筋肉量が減少する「サルコペニア」は、身体的フレイルの中核的な要因とされています。サルコペニアについては、別の記事で詳しく解説する予定です。

2. 精神・心理的フレイル

気分の落ち込み(抑うつ)、意欲の低下、軽度の認知機能低下などが含まれます。

定年退職やパートナーとの死別など、ライフイベントの変化がきっかけになることもあります。「何をするにも面倒」と感じる状態が続く場合は、この側面に注意が必要です。

3. 社会的フレイル

社会とのつながりが希薄になった状態です。外出の減少、友人との交流の減少、孤立などが該当します。

東京大学の飯島勝矢教授の研究では、社会的なつながりの喪失がフレイルの最初の入り口になりやすいことが示されています(長寿科学振興財団, 令和2年度業績集)。

体が元気でも、人との交流がなくなると、気力が低下し、活動量が減り、やがて体も衰えていく。この連鎖が、フレイルの怖さです。


フレイルサイクル――なぜ悪循環に陥るのか

フレイルには「フレイルサイクル」と呼ばれる悪循環があります。理学療法士の視点から、この仕組みを解説します。

サイクルの流れは、次のとおりです。

筋肉量の減少 → 筋力の低下 → 活動量の減少 → エネルギー消費の減少 → 食欲の低下 → 低栄養 → さらなる筋肉量の減少

たとえば、加齢で筋肉量が減ると、歩くスピードが落ちます。歩くのが遅くなると、外出が億劫になります。外出しなくなると、お腹が空かず、食事量が減ります。食事量が減ると栄養が不足し、さらに筋肉が落ちる。

この悪循環に一度入ると、自力で抜け出すのは難しくなります。

だからこそ、サイクルに入る前の「プレフレイル」の段階で気づくことが大切です。

サイクルのどこかを断ち切れば、悪循環を止められます。運動で筋力を維持する、栄養をしっかり摂る、社会参加で活動量を保つ。この3つが予防の柱になります。


自分でできるフレイルチェック

フレイルのチェックは、自宅でも簡単にできます。代表的な方法を2つご紹介します。

方法1:5つのチェック項目(J-CHS基準の簡易版)

以下の5つの項目を確認してみてください(日本サルコペニア・フレイル学会)。

チェック項目具体的な目安
体重減少6か月間で2kg以上、意図せず体重が減った
筋力低下ペットボトルのふたが開けにくいことがある
疲労感ここ2週間、わけもなく疲れた感じがする
歩行速度の低下横断歩道を青信号で渡りきれないことがある
身体活動量の低下軽い運動や体操を週1回もしていない

3項目以上に該当 → フレイルの可能性

1〜2項目に該当 → プレフレイル(予備群)の可能性

0項目 → 現時点では健常

⚠️ このチェックはあくまで簡易的な目安です。気になる結果が出た場合は、医療機関を受診するか、お住まいの地域包括支援センターに相談してください。

方法2:指輪っかテスト

両手の親指と人差し指で輪っかを作り、ふくらはぎの一番太い部分を囲んでみてください。

  • 輪っかで囲めない → 筋肉量は十分
  • ちょうど囲める → 注意が必要
  • 隙間ができる → 筋肉量が少なく、フレイルのリスクが高い可能性

この方法は、東京大学の飯島勝矢教授が考案したもので、自宅で手軽にチェックできるのが特徴です。

ただし、個人差がありますので、結果だけで判断せず、複数のチェック項目とあわせて評価することが大切です。


フレイル予防の3つの柱

フレイル予防には「運動」「栄養」「社会参加」の3つの柱が重要です。どれか1つだけではなく、3つをバランスよく取り入れることがポイントです。

柱1:運動――筋力を維持する

フレイル予防において、運動は最も重要な要素の一つです。

フレイル診療ガイド2018年版では、運動介入は歩行・筋力・身体運動機能を改善し、フレイルの進行を予防し得るとして推奨されています(フレイル診療ガイド2018年版)。

特に効果が期待できるのは、以下の組み合わせです。

  • レジスタンストレーニング(筋力トレーニング): スクワット、かかと上げ、椅子からの立ち座りなど。週2〜3回が目安です
  • 有酸素運動: ウォーキング、水中エクササイズなど。少し息がはずむ程度の強度が適切です
  • バランス運動: 片足立ち、つま先歩きなど。転倒予防にも効果が期待できます

筑波大学の研究(2024年)では、約7万人の高齢者を3年間追跡した結果、フレイル予防効果が高い運動として、ウォーキング、筋トレ、ゴルフ、卓球などが報告されています(筑波大学, JAGES研究 2024)。

大切なのは、無理なく継続できる運動を選ぶことです。 痛みがある場合は無理をせず、医師や理学療法士に相談してから始めることをおすすめします。

柱2:栄養――たんぱく質を意識する

2025年に刊行された「サルコペニア・フレイルに関する栄養管理ガイドライン2025」では、たんぱく質の摂取と運動の併用がフレイル改善に有効であるとして、強い推奨(エビデンスの確実性:A)がなされています(栄養管理ガイドライン2025, 南江堂)。

具体的には、以下のポイントを意識しましょう。

  • たんぱく質を毎食とる: 肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などを朝昼晩の各食事でバランスよく摂取する。1日の目安は体重1kgあたり1.0〜1.2g程度とされています
  • 多様な食品を食べる: 主食・主菜・副菜をそろえ、10種類以上の食品群を意識する
  • 低栄養に注意する: BMI(体格指数)が21.5未満の方は要注意。高齢期は「少し太め」のほうが健康的とされています

中年期までは「メタボ予防」が重視されますが、高齢期にはむしろ「痩せすぎ」がリスクになります。この切り替えの意識が大切です。

柱3:社会参加――人とつながる

フレイル予防の3つの柱のなかで、見落とされがちなのが社会参加です。

研究では、社会的なつながりの喪失がフレイルの最初の入り口になりやすいことが示されています。体が元気なうちから、人との交流を維持することが予防の第一歩です。

  • 地域の活動に参加する: 体操教室、サロン活動、ボランティアなど
  • 趣味の仲間をつくる: 同じ趣味を持つ人との交流は、外出のきっかけになります
  • 家族や友人と定期的に連絡をとる: 電話やメールでのやりとりも有効です

社会参加は、運動や栄養と違って「数値で測りにくい」分野です。しかし、心の健康や生活の質に大きく影響します。

⚠️ 持病がある方、体調に不安がある方は、運動や食事の変更を始める前に、必ず主治医に相談してください。


よくある質問(FAQ)

Q1. フレイルは何歳から気をつけるべきですか?

一般的には65歳以上で注目される概念ですが、筋肉量の減少は40代から始まるとされています。50代でプレフレイルに該当する人も多いというデータがあり、「まだ早い」ということはありません。気づいたときから対策を始めることが重要です。

Q2. フレイルとサルコペニアは違うものですか?

サルコペニアは「筋肉量と筋力の低下」に焦点をあてた概念で、フレイルの身体的側面の中核を担います。一方、フレイルはサルコペニアに加えて、精神・心理的な問題や社会的な問題も含む、より広い概念です。サルコペニアについては、別記事で詳しく解説予定です。

Q3. フレイルは治りますか?

フレイルは「可逆性がある」とされています。特にプレフレイルの段階であれば、運動・栄養・社会参加の3つの柱を実践することで、健常な状態に戻れる可能性があります。ただし、個人差がありますので、気になる場合は専門家に相談してください。

Q4. 運動が苦手なのですが、それでも予防できますか?

激しい運動は必要ありません。1日20〜30分のウォーキングや、椅子に座ったままできる筋トレでも効果が期待できます。掃除や買い物などの日常動作を「少し大きな動きで行う」だけでも、筋肉への刺激になります。

Q5. 一人暮らしですが、社会参加はどうすればいいですか?

地域の通いの場や体操教室への参加が理想的ですが、電話やオンラインでの交流も有効とされています。まずはお住まいの地域包括支援センターに相談してみてください。一人ひとりの状況に合った活動を紹介してもらえます。

Q6. 家族がフレイルかもしれません。どうすればいいですか?

「疲れた顔をしている」「痩せてきた」「家の中にいて体を動かさない」などの変化に気づいたら、まずはかかりつけ医や地域包括支援センターに相談しましょう。本人が自覚していない場合も多いため、家族の気づきが早期発見の大きなきっかけになります。

Q7. フレイル健診とは何ですか?

2020年度から開始された、75歳以上の後期高齢者を対象とした健診です。15の質問項目でフレイルの兆候をチェックします。ただし、受診率は約2割程度にとどまっており、積極的な受診が推奨されています(厚生労働省, 高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン第2版)。


まとめ

フレイルは、「健康な状態」と「要介護状態」の中間に位置する状態です。そして、日本の65歳以上の高齢者の約4割がその予備群である「プレフレイル」に該当しています。

ペットボトルのふたが開けにくい。横断歩道を渡りきれない。わけもなく疲れる。外出が減った。こうした日常の小さな変化が、フレイルのサインです。

しかし、フレイルには「可逆性」があります。早い段階で気づき、「運動」「栄養」「社会参加」の3つの柱に取り組むことで、健康な状態を取り戻せる可能性があります。

「年のせい」と諦めず、まずは今日ご紹介したセルフチェックを試してみてください。気になる結果が出た場合は、医療機関や理学療法士、地域包括支援センターに相談することをおすすめします。

小さな気づきが、健康な毎日への大きな一歩になります。


免責事項

記事の目的と性質

本記事は、フレイル・プレフレイルに関する一般的な健康情報を提供することを目的としています。理学療法士の専門的視点から、科学的根拠に基づいた情報をわかりやすく解説していますが、以下の点にご注意ください。

本記事の限界

  • 個別診断の代替不可: 本記事の情報は、あなた個人の症状や状態に対する診断・治療を提供するものではありません
  • 医療行為ではない: 記事内容は医療行為や医学的助言ではなく、一般的な情報提供です
  • 自己判断のリスク: 本記事の情報のみに基づく自己判断や自己治療は、症状の悪化や重大な健康被害につながる可能性があります

医療機関受診の推奨

以下の場合は、必ず医療機関を受診してください:

  • 痛みや不調が続いている場合
  • 症状が悪化している場合
  • 日常生活に支障が出ている場合
  • 持病や既往歴がある場合
  • 高齢者や妊娠中の方

医師や理学療法士などの専門家による適切な診断と治療を受けることが最も重要です。

情報の正確性について

本記事は2026年2月時点の最新情報に基づいて作成されており、信頼できる医学的根拠や公的ガイドラインを参照しています。しかし、医学・医療情報は常に更新されており、将来的に内容が変更される可能性があります。

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参考文献

  1. 日本サルコペニア・フレイル学会. フレイル診療ガイド2018年版. ライフサイエンス出版, 2018. https://jssf.umin.jp/clinical_guide.html
  2. 日本臨床栄養学会, 日本サルコペニア・フレイル学会(編). サルコペニア・フレイルに関する栄養管理ガイドライン2025. 南江堂, 2025. https://www.nankodo.co.jp/g/g9784524221394/
  3. 東京都健康長寿医療センター研究所. 日本人高齢者全体のフレイル割合は8.7%. 2020. https://www.tmghig.jp/research/release/2020/0903.html
  4. 日本サルコペニア・フレイル学会. フレイルとは(公式ページ). https://www.jasf.jp/contents/flail.html
  5. 厚生労働省. 高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン第2版. 令和元年10月. https://www.mhlw.go.jp/content/000605507.pdf
  6. 長寿科学振興財団. フレイル予防・対策:基礎研究から臨床、そして地域へ(令和2年度長寿科学研究業績集). 2021. https://www.tyojyu.or.jp/kankoubutsu/gyoseki/frailty-yobo-taisaku/index.html
  7. 筑波大学. フレイル予防効果が高い運動・スポーツ種目の検証(JAGES研究). European Review of Aging and Physical Activity, 2024. https://www.jages.net/

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本記事は、理学療法士の専門的視点から作成しました。科学的根拠に基づいた信頼性の高い情報提供を心がけています。

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