ラジオ体操で認知症リスク18%低下【2025年最新研究】理学療法士が効果を解説
2026.06.29
健康について
「子どもの頃、夏休みにやっていたラジオ体操」
懐かしく思い出す方も多いのではないでしょうか。
実は、このラジオ体操に、驚くべき健康効果があることが、2025年1月に発表された最新研究で明らかになりました。
なんと、ラジオ体操を続けることで、認知症のリスクが18%も低下するというのです。
本記事では、2025年最新の研究結果をもとに、理学療法士の視点から「ラジオ体操のすごさ」をわかりやすく解説します。
「たった3分の体操で、そんなに効果があるの?」と思われるかもしれませんが、科学的な根拠がしっかりあるんです。
ぜひ、最後まで読んでみてください。
ラジオ体操の健康効果|2025年最新研究が証明
世界初:認知症リスク18%低下
2025年1月、帝京大学大学院公衆衛生学研究科の金森悟准教授らのグループが、世界で初めて「ラジオ体操が認知症リスクを低下させる」ことを科学的に証明しました。
この研究は、全国19市町村に住む65歳以上の1万1,219人を対象に、平均5.3年間という長期にわたって追跡調査を行ったものです。
研究結果のポイント
- ラジオ体操を続けたグループは、認知症リスクが18%低下
- 要支援・要介護リスクも13%低下
- 要介護2以上のリスクは19%低下
これは、1万人を超える大規模な調査で得られた、非常に信頼性の高いデータです。
研究者は「高齢化が進む日本で、体操の実践が要支援・要介護や認知症のリスク低減につながる可能性が示されました」と述べています。
フレイル予防にも効果的
2024年12月には、かんぽ生命保険、東京都健康長寿医療センター、東京医科大学、NPO法人全国ラジオ体操連盟による共同研究の結果も発表されました。
この研究では、フレイル(虚弱)またはプレフレイルの高齢者226人を対象に、12週間のランダム化比較試験を実施。
研究結果のポイント
- 敏捷性(素早く動く能力)が向上
- バランス能力が向上
- 持久力が向上
- 運動を継続する自信が維持された
フレイルとは、加齢によって心身の活力が低下し、要介護状態になる危険性が高い状態のこと。
ラジオ体操を続けることで、この状態を改善できることが科学的に証明されたのです。
なぜラジオ体操は「すごい運動」なのか
1. たった3分で全身400箇所の筋肉を動かす
ラジオ体操第一は約3分15秒、第二は約3分30秒。
この短い時間の中に、13種類もの運動が組み込まれています。
ラジオ体操の構成
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 運動の種類 | 13種類 |
| 動かす筋肉 | 全身約400箇所 |
| 運動の種類 | 有酸素運動、筋力トレーニング、ストレッチ、バランス運動 |
| 所要時間 | 第一:約3分15秒、第二:約3分30秒 |
腕を伸ばす、体を曲げる、跳ぶ、ひねる。
これらの動きによって、日常生活ではあまり使わない筋肉も含めて、全身をくまなく動かせるように設計されているのです。
2. 運動強度は卓球やテニスと同等
「ラジオ体操って、運動と呼べるほどの強度があるの?」
そう思われるかもしれませんね。
実は、ラジオ体操の運動強度は、想像以上に高いんです。
運動強度の比較(メッツ値)
| 運動 | メッツ値 |
|---|---|
| 普通の歩行 | 3.0 |
| ラジオ体操第一 | 4.0 |
| 卓球 | 4.0 |
| ラジオ体操第二 | 4.5 |
| テニス(ダブルス) | 4.5 |
| 水中歩行(中等度) | 4.5 |
※メッツ(METs):安静時を1としたときの運動強度
ラジオ体操第一は、普通の歩行の約1.3倍の運動強度。
卓球と同じ強度で、しっかりと体を動かせるんです。
ラジオ体操第二になると、テニスのダブルスと同等の強度になります。
3. 健康維持に必要な要素をすべてカバー
理学療法士の視点から見ると、ラジオ体操の設計は非常に優れています。
ラジオ体操がカバーする体力要素
- 柔軟性:関節や筋肉を伸ばす運動
- 筋力:筋肉に負荷をかける運動
- バランス能力:体の安定性を保つ運動
- 調整力:複数の動きを組み合わせる運動
- 全身持久力:心肺機能を高める運動
これらの要素がバランスよく組み込まれているため、たった3分でも効果的に体を動かせるのです。
ラジオ体操の継続効果|長く続けるとどうなる?
体力年齢が10〜15歳若くなる
平成25年度の簡易保険加入者協会の調査では、ラジオ体操を3年以上(週5日以上)継続している55歳以上の方を対象に調査を実施。
継続実施者の特徴
- 男性:体力年齢が実年齢より約10歳若い
- 女性:体力年齢が実年齢より約15歳若い
体力年齢とは、歩行能力、柔軟性、筋力などから総合的に算出される指標です。
長く続けることで、実年齢よりも若々しい体を維持できることが分かっています。
血管年齢が若く保たれる
ラジオ体操を継続して行っている人は、実年齢よりも血管年齢が若いという調査結果もあります。
血管の老化は、脳卒中や心臓病のリスクを高めます。
ラジオ体操を続けることで、血管を若々しく保ち、これらの病気の予防につながる可能性があるのです。
呼吸機能が維持される
加齢とともに、呼吸機能は低下していきます。
その要因として、姿勢の崩れや呼吸筋の筋力低下があります。
ラジオ体操には、姿勢を正す運動や、深呼吸を促す動きが含まれています。
男女ともに69歳以下と70歳前半のラジオ体操継続者は、予想される呼吸機能よりも高い機能が維持されていました。
ラジオ体操を効果的に行うポイント
ポイント1:第一と第二を両方行う
運動不足解消のためには、ラジオ体操第一と第二の両方を行うことをおすすめします。
第一と第二の違い
| 項目 | 第一 | 第二 |
|---|---|---|
| 対象 | 老若男女誰でも | 若い世代向け |
| 運動強度 | 4.0メッツ | 4.5メッツ |
| 特徴 | 取り組みやすい | やや強度が高い |
第一だけでは少し物足りないという方は、第二も加えてみましょう。
両方で約6分30秒。
朝の習慣として、ちょうど良い長さです。
ポイント2:動きを大きく、丁寧に
ラジオ体操の効果を最大限に引き出すには、一つひとつの動きを大きく、丁寧に行うことが大切です。
意識したいポイント
- 腕を伸ばすときは、指先までしっかり伸ばす
- 体を曲げるときは、無理のない範囲で大きく曲げる
- 呼吸を止めず、自然に呼吸する
- リズムに合わせて、テンポよく動く
「なんとなく」動くのではなく、どこの筋肉を使っているか意識してみてください。
筋肉痛になったら、それは正しく体が使えている証拠です。
ポイント3:毎日続ける
ラジオ体操の効果を実感するには、継続が大切です。
とはいえ、「毎日やらなきゃ」と思うとプレッシャーになりますよね。
週2〜3回でも、続けることで効果は現れます。
続けるコツ
- 朝のルーティンに組み込む
- 音楽を聞けば自然に体が動く
- 家族や友人と一緒に行う
- 公園のラジオ体操会に参加する
大切なのは「続けること」です。
無理のないペースで、長く続けてみましょう。
ラジオ体操を行う際の注意点
体調が悪いときは無理をしない
毎日継続することは大切ですが、体調が悪いときには無理をしないようにしましょう。
ラジオ体操は運動である以上、少なからず体に負担がかかります。
体調不良のときに無理をすると、かえって悪化してしまう可能性があります。
持病のある方は医師に相談を
持病がある方、治療中の方は、運動を始める前に医師に相談してください。
特に以下のような方は注意が必要です。
医師への相談が必要なケース
- 心臓や血管の病気で治療中
- 高血圧で薬を飲んでいる
- 関節や骨に痛みがある
- めまいや立ちくらみがある
- 最近手術を受けた
医師から運動の許可が出たら、無理のない範囲で始めてみましょう。
無理な動きは避ける
関節の可動域は、人によって異なります。
体を曲げる動きや、腕を伸ばす動きで、無理をする必要はありません。
無理をしないための工夫
- 「気持ちがいい」と感じる範囲で行う
- 痛みを感じたらすぐに中止する
- できない動きは無理にやらない
- バランスに不安がある方は座って行う
「できる範囲で、丁寧に」が基本です。
ラジオ体操の認知率と実施率のギャップ
2024年8月にかんぽ生命が実施した調査では、興味深い結果が出ています。
ラジオ体操の認知率と実施率
| 項目 | 割合 |
|---|---|
| 認知率 | 88.2% |
| 週1回以上実施している人 | 12.1% |
ほとんどの人がラジオ体操を知っているのに、実際に行っている人は1割程度。
認知度の高さに対して、実施率が非常に低いんです。
「知っているけど、やっていない」
これが、多くの人の現状なのかもしれません。
でも、今回ご紹介した最新研究の結果を知ったら、少し気持ちが変わりませんか?
たった3分の体操で、認知症リスクが18%も下がる。
フレイルも改善できる。
体力年齢が10〜15歳若くなる。
これだけの効果があると分かれば、「やってみようかな」と思えるのではないでしょうか。
よくあるご質問
Q1. ラジオ体操は毎日やらないとダメですか?
A. 毎日でなくても大丈夫です。
今回ご紹介した研究でも、週5日以上の実施で効果が確認されています。
週2〜3回でも、継続することで効果は現れます。
大切なのは「続けること」です。
Q2. 運動が苦手でもできますか?
A. ラジオ体操は、老若男女誰でもできるように設計されています。
運動が苦手な方でも、音楽に合わせて体を動かせば、自然とできるようになります。
できない動きがあっても、無理をする必要はありません。
できる範囲で行いましょう。
Q3. 座ったままでもできますか?
A. できます。
立位でのバランスに不安がある方は、座って行うことをおすすめします。
座位でのラジオ体操の運動強度は2.8メッツ。
ストレッチ(2.3メッツ)やヨガ(2.5メッツ)よりも高い強度です。
Q4. どのくらい続ければ効果が出ますか?
A. 個人差はありますが、2〜3ヶ月続けることで、体の変化を実感される方が多いようです。
今回ご紹介した研究では、12週間(約3ヶ月)で効果が確認されています。
まずは3ヶ月、続けてみましょう。
Q5. ダイエット効果はありますか?
A. ラジオ体操第一1回あたりの消費カロリーは、体重50kgの人で約10.5kcal、70kgの人で約14.7kcalです。
短期的なダイエット効果は期待しにくいかもしれません。
ただし、全身を動かすことで代謝が上がり、運動習慣を作る土台になります。
長期的に見れば、健康的な体づくりに役立ちます。
まとめ
ラジオ体操の健康効果について、最新の研究結果をもとにご紹介しました。
この記事のポイント
- 2025年1月発表:ラジオ体操で認知症リスク18%低下
- 2024年12月発表:フレイル改善効果を科学的に証明
- たった3分で全身400箇所の筋肉を動かせる
- 運動強度は卓球やテニスと同等(4.0〜4.5メッツ)
- 継続すると体力年齢が10〜15歳若くなる
- 血管年齢や呼吸機能の維持にも効果的
- 第一と第二を両方行うとより効果的
- 動きを大きく、丁寧に行うことが大切
- 週2〜3回でも続けることが重要
今日からできること
朝起きたら、窓を開けて、深呼吸。
そして、あの懐かしい音楽に合わせて、体を動かしてみませんか?
NHKでは、平日は1日4回、日曜は朝1回、ラジオ体操を放送しています。
テレビでも1日1〜2回放送されていますので、画面を見ながら行うこともできます。
YouTubeで「ラジオ体操」と検索すれば、いつでも動画を見ることができます。
スマホに音楽をダウンロードしておけば、好きな時間に、好きな場所で行えます。
「認知症リスク18%低下」
この言葉を思い出して、ぜひ今日から始めてみてください。
専門家に相談するタイミング
もし不安なことがあれば、理学療法士などの専門家に相談してみましょう。
特に、持病がある方、痛みがある方は、医師や理学療法士に相談してから始めることをおすすめします。
一人ひとりの状態に合わせた、適切なアドバイスを受けることができます。
📚 参考文献
- 帝京大学大学院公衆衛生学研究科(金森悟准教授ら). Association between group exercise participation and long-term care and dementia in older adults. SSM – Population Health, 2025.
- かんぽ生命保険, 東京都健康長寿医療センター, 東京医科大学, NPO法人全国ラジオ体操連盟. ラジオ体操の健康効果に関する共同研究の結果について. プレスリリース, 2024年12月.
- 東京都健康長寿医療センター, 東京医科大学, 全国ラジオ体操連盟, かんぽ生命保険. Effects of Radio-Taiso on Health-related Quality of Life in Older Adults With Frailty: a Randomized Controlled Trial. Journal of Epidemiology, 2024;34(10):467-476.
- 厚生労働省. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023. 2023.
- 厚生労働省. 健康づくりのための身体活動基準2013. 2013.
- 一般財団法人簡易保険加入者協会. 平成25年度ラジオ体操事業調査研究. 2013.
- 国立健康・栄養研究所. 改訂版 身体活動のメッツ(METs)表. 2012.
執筆者情報
理学療法士
本記事は、2025年1月および2024年12月に発表された最新の研究論文、厚生労働省のガイドラインに基づいて作成しています。
免責事項
本記事の情報は一般的な内容です。
個人の状態により適切な方法は異なります。
持病のある方、運動制限のある方は、医師にご相談ください。
痛みがある場合や、体調が悪化する場合は、速やかに医療機関を受診してください。