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衣替えで腰や肩を痛めない|理学療法士が教える動作のコツ

2026.09.23

健康について

衣替えで腰や肩を痛めない|理学療法士が教える動作のコツ

衣替えの時期になると、腰や肩を痛めて動けなくなる方が増えます。

実は、腰痛は日本人の自覚症状で男女とも上位を占めています1。理学療法士として、多くの方の動作を見てきました。痛みの多くは、一瞬の無理な姿勢から始まると感じています。この記事では、衣替えや布団の入れ替えで腰や肩を守る体の使い方を、わかりやすくお伝えします。

💡 この記事について:本記事は一般的な健康情報です。痛みや持病がある方は、自己判断せず専門家にご相談ください。

目次

  • 衣替えで腰や肩を痛めやすいのはなぜ?
  • 衣替えの動作に潜む3つの負担
  • 腰痛や肩の不調はどれくらい多い?
  • 腰を守る衣替えの正しい体の使い方
  • 肩を守る「高い場所」の扱い方
  • 布団の上げ下ろしで腰を守るコツ
  • 理学療法士が伝えたい「分けて運ぶ」考え方
  • よくある質問(FAQ)
  • まとめ

衣替えで腰や肩を痛めやすいのはなぜ?

衣替えは、短い時間に負担の大きい動作が集中する作業です。ふだん動かさない範囲まで、体を一気に使います。だからこそ、思わぬ痛みにつながりやすいのです。

普段の家事は、ある程度決まった動きの繰り返しです。ところが衣替えは、非日常の動作の連続になります。高い場所に手を伸ばし、重い物を持ち、床にかがみます。慣れない動きが重なるほど、体は対応しきれません。

厚生労働省の指針でも、中腰やひねり動作は腰への負担要因とされています2。同じ指針は、寒さや床での転倒も要因に挙げています2。気温が下がる衣替えの時期は、条件が重なりやすいと言えます。

体が冷えると、筋肉は硬くなります。硬い状態で急に動くと、腰や肩を傷めやすくなります。準備なく重い物を持つと、負担はさらに増します。まずは、なぜ痛めるのかを知ることが第一歩です。

衣替えの動作に潜む3つの負担

高い棚への手伸ばしで肩に負担

押し入れの上段や高い棚は、腕を大きく上げて使います。肩を無理に上げると、関節や腱に強い刺激が加わります。中高年では、これが五十肩の引き金になることもあります5。

とくに、重い箱を頭より高い位置で扱う動作は危険です。腕を伸ばしたまま支えると、肩の一点に力が集まります。落としそうになって、とっさに耐える瞬間も痛めやすいのです。

肩は、腕を上げるほど内部で組織がこすれやすくなります。その状態で重さが加わると、負担はさらに増します。高い場所の作業は、短時間で終わらせる意識が大切です。

重い収納ケースの持ち上げで腰に負担

衣類を詰めた収納ケースは、見た目より重くなります。床に置いた重い物を、腰だけで持ち上げるのは危険です。腰を丸めたまま引き上げると、負担が一点に集中します。

持ち上げの研究でも、体から離れた位置ほど負担が増えるとされています3。同じ重さでも、ひねりが加わると危険は高まります3。衣替えは、この条件がそろいやすい作業です。

研究では、床に近い低い位置からの持ち上げも負担が大きいとされています3。深くかがんだ姿勢は、腰への力が増えやすいのです。だから、持ち上げ方には工夫が必要になります。

中腰の反復でじわじわ蓄積

衣類をたたむ動作は、中腰で繰り返されます。一回ずつは軽くても、積み重なると負担になります。気づかないうちに、腰の筋肉が疲れていくのです。

途中で強い痛みが出なくても、油断はできません。翌朝になって、腰が動かしにくくなることもあります。作業を区切り、こまめに立ち上がることが大切です。

床に座り込んでの長時間の作業も、腰にはつらい姿勢です。低い位置での作業は、テーブルを使うと楽になります。少し高さを変えるだけで、負担は大きく変わります。

腰痛や肩の不調はどれくらい多い?

腰痛や肩の不調は、多くの人が抱える身近な悩みです。令和4年の調査では、自覚症状の第1位は男女とも腰痛でした1。肩こりも、女性で1位、男性で上位に入っています1。

つまり、腰や肩の不調は特別な人だけの問題ではありません。ふだん元気な方でも、衣替えのひと動作で痛めることがあります。だからこそ、動作を少し工夫する意味があるのです。

一度痛めると、日常生活のあらゆる動きがつらくなります。着替えや靴下をはく動きも、腰に響きます。予防にまさる対策はない、と現場では実感します。

季節の変わり目は、気温の差で体調もゆらぎやすい時期です。自律神経の乱れから、疲れがたまることもあります。そんなときは、体も痛めやすい状態だと考えましょう。

「少しだるいな」と感じる日は、無理をしないのが賢明です。作業を別の日に回す判断も、立派な予防です。体調と相談しながら進めることが、何より大切です。

痛みは、体からの大切なサインでもあります。がまんして続けると、回復に時間がかかります。早めに手を止める勇気も、覚えておきたいですね。

腰を守る衣替えの正しい体の使い方

持ち上げは「膝を曲げて体に近づける」

厚生労働省の指針は、持ち上げ方の基本を示しています2。片足を少し前に出し、膝を曲げて腰を落とします2。物を体に引き寄せ、膝を伸ばして立ち上がります2。

ポイントは、腰ではなく脚の力で持ち上げることです。物は、できるだけ体の近くで抱えましょう。離すほど負担が増えると覚えておくと安心です。

背中は、丸めずにまっすぐ保つ意識を持ちましょう。おへそに力を入れると、体幹が安定します。息を止めず、ゆっくり吐きながら持ち上げると楽です。

ひねりながら動かさない

持ち上げと同時に体をひねる動きは避けましょう。方向を変えるときは、足を踏みかえて向き直ります。腰だけをねじると、痛める危険が高まります。

重い収納ケースは、一度に運ぼうとしないことも大切です。中身を分けて軽くすれば、負担はぐっと減ります。台車やキャスター付きの箱を使うのも良い工夫です。

環境と体を整えてから始める

作業の前に、少し体を動かして温めておきましょう。冷えたままでは、筋肉が硬く動きにくい状態です。肩を回し、腰をゆっくり動かすだけでも違います。

床に物を広げすぎると、足元が不安定になります。つまずきを防ぐため、通り道は確保しておきましょう。日ごろから体を動かす習慣も、負担に強い体をつくります6。

腰の不調が気になる方は、腰痛を和らげるセルフケアの記事もあわせてご覧ください。日々の小さな積み重ねが、痛みの予防につながります。

肩を守る「高い場所」の扱い方

高い棚の物は、無理に腕を伸ばして取らないでください。踏み台を使い、体を対象に近づけて扱います。肩より上での重い作業を減らすことが基本です。

重い箱を下ろすときは、一気に受け止めないようにします。少し体を寄せ、両手で支えながら下ろしましょう。急な負荷は、肩を痛める大きな原因になります5。

片手で持つと、肩の一点に負担が集まります。できるだけ両手で、左右に分けて持ちましょう。重い物ほど、体の正面で扱うと安定します。

もし肩に強い痛みが出て、腕が上がらないときは注意が必要です。無理に動かさず、専門家に相談してください。肩の不調とリハビリの考え方は、五十肩のリハビリを解説した記事も参考になります。

布団の上げ下ろしで腰を守るコツ

季節の変わり目は、布団の入れ替えも重なります。厚い布団は、水分を含むとさらに重くなります。押し入れへの上げ下ろしは、腰に負担の大きい作業です。

布団を持ち上げるときも、膝を曲げるのが基本です。腰を落として布団を抱え、体に引き寄せます。そのまま膝を伸ばし、立ち上がる力を使いましょう。

押し入れの上段へ入れるときは、ひねらないことが大切です。体ごと正面を向けてから、まっすぐ収めます。腕を伸ばしきって押し込む動きは、肩にも負担です5。

一度に運ばず、二回に分ける工夫も有効です。布団カバーを外して軽くしてから運ぶのも良い方法です。急がず、無理のない範囲で進めましょう。

収納袋にまとめると、かさは減りますが重さは増します。ずっしりした袋を高い位置へ入れるのは危険です。上段には軽い物、下段には重い物を置くと安全です。

敷布団を床から持ち上げる動きも、腰に負担がかかります。膝をついて、体に近づけてから抱えましょう。低い位置ほど、姿勢を工夫する意味が大きいのです。

理学療法士が伝えたい「分けて運ぶ」考え方

腰や肩を守る動作には、共通する考え方があります。それは、負担を一度に集中させないことです。重さも、回数も、無理なく分けるのが基本です。

重い一箱より、軽い二箱に分けたほうが安全です。長い一気作業より、短い休憩を挟むほうが楽です。時間に余裕を持って計画すると、無理が減ります。

また、家族と作業を分担するのも良い方法です。重い物は二人で持てば、負担は半分になります。一人で抱え込まないことも、立派な予防策です。

日ごろの運動習慣も、負担に耐える体をつくります6。歩く、立ち座りをするといった動きを続けましょう。小さな積み重ねが、季節の作業を支えます。

道具に頼ることも、決して手抜きではありません。台車やキャスター、踏み台は体を守る味方です。使えるものは、遠慮なく活用しましょう。

「痛くなってから対処する」よりも「痛める前に工夫する」ほうが楽です。ほんの少しの手間が、あとの大きな痛みを防ぎます。動作の工夫は、いちばん身近な予防なのです。

衣替えの前後におすすめの軽い準備

作業の前に体を温めると、動きがぐっと楽になります。難しい運動は必要なく、簡単な動きで十分です。冷えた筋肉を、少しずつ目覚めさせるイメージです。

まず、肩を前後に大きくゆっくり回してみましょう。次に、腰を左右へやさしくねじります。深呼吸をしながら、痛みのない範囲で行うのがコツです。

作業のあとにも、軽く体をほぐしておくと安心です。同じ姿勢で固まった筋肉を、そっと動かします。湯船につかって温めるのも、疲れを残さない工夫です。

こうした習慣は、ふだんの運動にもつながります。国のガイドでは、無理のない範囲で体を動かすことがすすめられています6。日々の小さな動きが、痛みに強い体を育てます。

首をゆっくり左右に傾けると、肩まわりもほぐれます。太ももの裏を軽く伸ばすと、かがむ動作が楽になります。どれも数十秒で、道具もいりません。

準備と後片づけを丁寧にすると、痛めるリスクは下がります。急がず、体の声を聞きながら進めましょう。次の章では、よくある疑問にお答えします。

よくある質問(FAQ)

Q. 衣替えで腰を痛めないコツは何ですか?

A. 重い物は膝を曲げ、体に近づけて持ち上げるのが基本です。腰を丸めたまま引き上げたり、ひねったりしないようにします。中身を分けて軽くする工夫も有効とされています。

Q. 衣替えで肩が痛くなるのはなぜですか?

A. 高い棚への手伸ばしや、頭より上での重い作業が原因になりやすいです。肩を無理に上げると関節や腱に強い刺激が加わります。踏み台を使い、体を近づけて扱うと負担が減ります。

Q. 布団の上げ下ろしで腰を守るには?

A. 膝を曲げて布団を体に引き寄せ、脚の力で立ち上がるのが基本です。押し入れへ入れるときは、体ごと正面を向けてひねらないようにします。二回に分けて運ぶと、負担を減らせます。

Q. 作業中に軽い痛みが出たらどうすればいい?

A. まず作業を中断し、無理に続けないことが大切です。休んでも改善せず、痛みが強い場合や続く場合は受診をおすすめします。しびれを伴うときは、早めに医療機関へ相談してください。

Q. 衣替えの前にしておくと良いことは?

A. 体を軽く動かして温めておくと、筋肉が動きやすくなります。作業スペースを片づけ、通り道を確保しておくと安全です。時間を区切り、こまめに休むこともおすすめします。

まとめ

衣替えや布団の入れ替えは、腰や肩に負担が集中しやすい季節の作業です。膝を曲げて体に近づける持ち上げ方が、腰を守る基本になります。高い場所の作業は踏み台を使い、肩への急な負荷を避けましょう。

大切なのは、派手な運動ではなく、日常の動作を見直すことです。立つ、しゃがむ、持ち上げるといった動きは、練習で整えられます。専門家と一対一で、自分の暮らしに合わせて動作を確かめ直すと安心です。無理のないペースで、体をいたわりながら季節を迎えていきたいですね。

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免責事項

本記事は、衣替えの動作と腰・肩の負担に関する一般的な健康情報を提供することを目的としています。理学療法士の専門的視点から、科学的根拠に基づいた情報をわかりやすく解説していますが、以下の点にご注意ください。

本記事の情報は、あなた個人の症状や状態に対する診断・治療を提供するものではありません。記事内容は医療行為や医学的助言ではなく、一般的な情報提供です。本記事の情報のみに基づく自己判断は、症状の悪化につながる可能性があります。

痛みや不調が続く場合、症状が悪化している場合、日常生活に支障が出ている場合、持病や既往歴がある場合は、必ず医療機関を受診してください。

本記事は2026年8月時点の情報に基づいて作成されており、公的ガイドライン等を参照しています。医療情報は更新されるため、将来的に内容が変わる可能性があります。情報の完全性・正確性・有用性について保証するものではなく、利用により生じた損害について当施設は責任を負いかねます。

参考文献

1. 厚生労働省. 令和4年国民生活基礎調査 有訴者の状況. e-Stat, 2023.

2. 厚生労働省. 職場における腰痛予防対策指針. 厚生労働省.

3. 労働安全衛生総合研究所. 重量物持ち上げガイドライン. JNIOSH, 2024.

4. 日本整形外科学会・日本腰痛学会. 腰痛診療ガイドライン2019. Minds, 2019.

5. 日本整形外科学会. 五十肩(肩関節周囲炎). 日本整形外科学会.

6. 厚生労働省. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023. e-ヘルスネット, 2024.

執筆者情報

本記事は、理学療法士をはじめとする国家資格者が監修するリペアルポ編集部が作成しました。姿勢と動作の視点から、暮らしに役立つ健康情報をお届けしています。

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