コラム

COLUMN

COLUMN

コラム

人は一生で何回、病気や怪我をするのか?理学療法士が統計と予防法をわかりやすく解説【2026年版】

2026.05.19

健康について

人は一生で何回、病気や怪我をするのか?理学療法士が統計と予防法をわかりやすく解説【2026年版】

💡 この記事について
本記事は、一生涯の病気・怪我の傾向と予防を理学療法士の視点で解説したものです。特定の症状・疾患に対する診断・治療の提供ではありません。気になる不調がある場合は、医療機関を受診してください。

突然ですが、あなたは今まで何回、病院に行きましたか?

風邪、捻挫、健康診断での再検査……思い返すと、意外とたくさん出てきませんか。

「人は一生涯に、どれくらい病気や怪我を経験するのか」。この問いに、データをもとに向き合ってみました。

理学療法士として感じるのは、「知っていれば防げたことが多い」ということです。

この記事では、統計から見える”一生涯の体の軌跡”を整理し、PTの視点から予防のヒントをお伝えします。

目次

  1. 一生涯の受療回数――どのくらい病院に行くのか
  2. 人生の節目で増える「主な病気・怪我」
  3. 健康寿命と平均寿命の”差”が示すもの
  4. 怪我や病気を予防できる割合はどのくらいか
  5. 理学療法士が教える「今日からできる予防行動」
  6. よくある質問(FAQ)
  7. まとめ

一生涯の受療回数――どのくらい病院に行くのか

令和5年(2023)患者調査によれば、外来受療率は人口10万対5,850と報告されています1

これは「ある1日に、人口の約5.85%が外来受診している」ことを示します。

一生涯で単純に換算すると、成人以降だけでも数百回以上の受療が想定されます。

令和4年国民生活基礎調査では、自覚症状がある「有訴者率」は千人あたり約276人でした2

つまり約4人に1人以上が「今、何かしらの不調を感じている」状態です。

さらに同調査では、通院者率は人口千人あたり約398人。これは40歳以上では半数を超えます。

「病院と縁がない人生」は、統計的にみると少数派といえるかもしれません。


人生の節目で増える「主な病気・怪我」

病気や怪我の種類・頻度は、年代によって大きく変わります。

ここでは年代ごとの傾向を整理します。

10〜20代:スポーツ外傷・感染症が中心

この時期は感染症(風邪・インフルエンザなど)と、スポーツや日常動作による外傷が多い時期です。

捻挫・打撲・骨折・筋挫傷など、急性の怪我が目立ちます。

骨や筋肉の回復力は高い年代ですが、繰り返すと慢性化する怪我も出てきます。

30〜40代:慢性的な「姿勢・過負荷」系の不調

デスクワークの増加や子育てによる身体的負荷が重なり、腰痛・肩こり・頚部痛が急増します。

生活習慣病(高血圧・脂質異常・糖尿病予備群)の兆候が現れ始める時期でもあります。

令和4年患者調査では、筋骨格系・結合組織の疾患は外来患者数の上位に入り続けています1

50〜60代:生活習慣病・がんのリスクが本格化

この年代から、生活習慣が積み重なった結果としての疾患が増えてきます。

国立がん研究センターの2023年データでは、生涯がん罹患リスクは男性61.1%。

女性も50.1%と、2人に1人以上がかかる可能性があるとされています3

つまり2人に1人以上が、一生のうちに一度はがんを経験する可能性があるということです。

また、変形性関節症・骨粗しょう症・脊柱管狭窄症など、運動器の慢性疾患も増加します。

70代以降:転倒・骨折・認知症・フレイル

加齢とともに筋力・バランス機能が低下し、転倒リスクが高まります。

骨折の中でも「大腿骨頚部骨折(太ももの付け根の骨折)」は、寝たきりの大きな原因の一つです。

令和6年版高齢社会白書では、介護が必要な原因の上位に「骨折・転倒」「関節疾患」が挙げられています4

怪我が「その後の人生の質」を大きく左右する年代です。


健康寿命と平均寿命の”差”が示すもの

日本人の平均寿命(2023年)は男性81.09年、女性87.14年です5

一方、健康寿命(2022年)は男性72.57年、女性75.45年とされています6

その差は男性で約8.5年、女性で約12年にのぼります。

この”差の期間”は、何らかの病気や障害を抱えながら生活する時間に相当します。

「長生きすること」と「健康でいること」は、イコールではないのです。

この差を縮めることが、現代の健康政策の最大テーマの一つとなっています。

詳しくは人生100年時代を健康に生きる|超高齢社会における健康寿命延伸の重要性もあわせてご覧ください。


怪我や病気を予防できる割合はどのくらいか

「病気や怪我は仕方ない」と思っていませんか?

実は、多くの疾患・怪我には予防できる可能性があるとされています。

生活習慣病の多くは「行動変容」で防げる

身体活動・運動ガイド2023では、適切な身体活動が生活習慣病リスクの低減に寄与するとしています7

2型糖尿病は、食事・運動・禁煙などの生活改善で予防または遅延できるとするエビデンスが蓄積されています。

がんについても、禁煙・節酒・適正体重の維持などで、一定割合のリスク低減が期待されるとされています。

日常的な怪我の多くは予防行動で減らせる

転倒・捻挫・腰痛など日常の怪我の多くは、筋力やバランスの維持・環境整備で予防が期待できます。

日本整形外科学会によれば、ロコモ予防は転倒・骨折リスクの軽減に有効とされています8

PTの立場からは、早めに相談いただいた方が、回復が早く次の怪我も起きにくい傾向があると感じています。

怪我の予防と対処については、怪我予防とリハビリの最新ガイド|科学的アプローチで詳しく解説しています。


理学療法士が教える「今日からできる予防行動」

「予防が大切」とわかっていても、何から始めればいいか迷う方が多いです。

ここでは、PT視点で特に効果が期待できる行動を整理します。

①毎日の「動く習慣」をつくる

身体活動ガイド2023では、成人に対して1日60分以上の中強度の身体活動を推奨しています7

難しく考えなくても大丈夫です。

「一駅分を歩く」「エレベーターを階段に変える」だけでも積み重ねは大きくなります。

②筋力とバランスを同時に鍛える

特に40代以降は、筋力低下が転倒リスクに直結します。

片足立ち・スクワット・つま先立ちなど、バランスと筋力を同時に使う動作が予防に有効とされています。

毎日10〜15分でも、継続が重要です。

③「小さな不調」を見逃さない

「少し痛いけど我慢できる」という状態が一番危ないと感じています。

小さな痛みを放置すると、代償動作が定着し、他の部位まで傷めるケースが多いのです。

「なんとなく不調」を放置しないことが、長期的な健康維持につながります。

④定期的な検診を習慣にする

生活習慣病やがんは、早期発見が最大の予防策の一つです。

「症状が出てから受診する」では手遅れになることも少なくありません。

年1回の健康診断・特定健診・がん検診を、予防投資として活用しましょう。


よくある質問(FAQ)

Q1. 日本人は一生涯に平均何回入院するのですか?

厚生労働省の患者調査では1日あたりの入院受療率(人口10万対)は945とされています。平均在院日数なども加味すると、一般的な成人は一生で数回の入院を経験するとみられます。ただし個人差が非常に大きく、「ゼロ回」の方もいれば「10回以上」の方もいます。

Q2. がんは必ずかかるものですか?

「2人に1人がかかる」と言われますが、裏返せば「2人に1人はかからない」とも言えます。リスクは生活習慣・遺伝的背景・環境要因によって変わります。禁煙・節酒・適正体重の維持などで一定のリスク低減が期待できるとされています。

Q3. 腰痛は一生つきあうしかないのですか?

慢性腰痛の多くは、適切な運動療法・姿勢改善・生活環境の見直しで改善が期待できるとされています。「一生つきあうもの」と諦めず、専門家に相談することをおすすめします。

Q4. 健康診断の数値が少し悪い。すぐ治療が必要ですか?

基準値をわずかに超えた場合でも、まずは生活習慣の改善から始めることが多いです。ただし「少しだから大丈夫」と自己判断せず、担当医の指示に従うことが重要です。

Q5. 運動で本当に怪我を予防できますか?

適切な運動は筋力・バランス・骨密度の維持に寄与し、転倒や骨折予防に効果があるとされています。ただし、無理な運動はむしろ怪我のリスクを高めます。自分の体力に合った内容から始めることが大切です。

Q6. 生涯医療費はどのくらいかかりますか?

一般的に日本人一人当たりの生涯医療費は2,000〜3,000万円台とも言われます。予防行動によってこのコストを抑えられる可能性があります。詳しくは生涯医療費2,800万円を減らす方法|リハビリは「投資」である理由をご覧ください。


まとめ

今回の内容を整理すると、以下のようになります。

  • 日本人は人口の約5.85%が毎日外来受診している(令和5年患者調査)
  • 年代によって主な病気・怪我の種類は変わる
  • 平均寿命と健康寿命の差は男性約8.5年、女性約12年
  • 生活習慣病・転倒・骨折の多くは予防行動で軽減できる可能性がある
  • 「早めに動く」ことが、一生涯の健康の質を決める

「病気になってから治す」時代から「病気にならないように整える」時代へ。

理学療法士として、あなたの体の変化に早めに気づき、対処していただければと思います。

身体の不調や予防について気になることがあれば、ぜひ一度、専門家に相談してみてください。

あわせて読みたい記事


免責事項

記事の目的と性質

本記事は、一生涯の病気・怪我の傾向と予防に関する一般的な健康情報を提供することを目的としています。理学療法士の専門的視点から、科学的根拠に基づいた情報をわかりやすく解説していますが、以下の点にご注意ください。

本記事の限界

  • 個別診断の代替不可:本記事の情報は、あなた個人の症状や状態に対する診断・治療を提供するものではありません。
  • 医療行為ではない:記事内容は医療行為や医学的助言ではなく、一般的な情報提供です。
  • 自己判断のリスク:本記事の情報のみに基づく自己判断や自己治療は、症状の悪化や健康被害につながる可能性があります。

医療機関受診の推奨

  • 痛みや不調が続いている場合
  • 症状が悪化している場合
  • 日常生活に支障が出ている場合
  • 持病や既往歴がある場合

情報の正確性について

本記事は2026年5月時点の最新情報に基づいて作成されており、信頼できる医学的根拠や公的ガイドラインを参照しています。医学・医療情報は常に更新されるため、将来的に内容が変更される可能性があります。

運営者の責任範囲

当施設は、本記事の情報をできる限り正確かつ有用なものとするよう努めていますが、情報の完全性・正確性・有用性・適時性について保証するものではありません。本記事の情報を利用したことにより生じた損害について、当施設は一切の責任を負いかねます。


参考文献

1. 厚生労働省. 令和5年(2023)患者調査の概況. 2024.

2. 厚生労働省. 令和4年国民生活基礎調査の概況. 2023.

3. 国立がん研究センター. 最新がん統計(累積がん罹患リスク2023年データ). 2025.

4. 内閣府. 令和6年版高齢社会白書(健康・福祉). 2024.

5. 厚生労働省. 令和5年簡易生命表の概況. 2024.

6. 厚生労働省. 健康寿命の令和4年値について. 2024.

7. 厚生労働省. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023. 2023.

8. 日本整形外科学会. ロコモティブシンドローム(運動器症候群). 2024.


執筆者情報

本記事は、理学療法士の専門的視点から作成しました。科学的根拠に基づいた信頼性の高い情報提供を心がけています。

page
top

アクセス

ACCESS