五感とは?視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の役割と人間の優れた感覚能力【2026年版】理学療法士が解説
2026.02.25
健康について
「五感って、普段あまり意識しないけど、実はすごい力を持っているんです」
そう聞いて、どう思いますか?
私たちは毎日、見る・聞く・触る・味わう・嗅ぐという5つの感覚を使って生活しています。 でも、それぞれの感覚がどんな役割を果たしているのか、意外と知らないことも多いんですよね。
本記事では、五感のそれぞれの働きと、人間の感覚能力の素晴らしさについて、理学療法士の視点からわかりやすく解説します。
2026年最新の知見も含めてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
五感とは何か?私たちの感覚の仕組み
五感の基本
五感とは、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の5つの感覚のことです。
これらは、私たちが外の世界を認識するための「窓」のような役割を果たしています。
それぞれの感覚には専用の受容器(センサー)があって、情報を脳に伝えているんです。
| 感覚 | 受容器の場所 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 視覚 | 目(網膜) | 物を見る、色や形を識別 |
| 聴覚 | 耳(内耳) | 音を聞く、バランスを保つ |
| 触覚 | 皮膚全体 | 触れる、温度や痛みを感じる |
| 味覚 | 舌(味蕾) | 味を感じる、食べ物の安全性を判断 |
| 嗅覚 | 鼻(嗅上皮) | 匂いを感じる、記憶と結びつく |
なぜ五感が大切なの?
五感は、単に情報を集めるだけではありません。
実は、私たちの安全を守り、生活の質を高め、他者とのコミュニケーションを支えているんです。
たとえば、道を歩いているとき。 視覚で障害物を避け、聴覚で車の接近に気づき、触覚で足元の感触を確かめています。
こうした感覚が自然に働いているからこそ、私たちは安全に生活できるんですね。
視覚:情報の約80%を担う重要な感覚
視覚の基本的な働き
視覚は、私たちが受け取る情報の約80%を占めると言われています。
目から入った光の情報は、網膜で電気信号に変換され、視神経を通って脳に送られます。
視覚が担う主な役割
- 物の形や大きさの認識
- 色の識別
- 距離感の把握
- 動きの検出
- 文字や図形の理解
人間の視覚の優れた能力
人間の目は、約1,000万色を識別できると言われています。
また、暗い場所から明るい場所まで、幅広い明るさに適応できる能力も持っています。
リハビリの現場でよく実感するのは、視覚情報がバランスにも大きく関わっているということです。
目を閉じて片足立ちをすると、途端にふらついてしまう。 これは、視覚情報がいかに姿勢制御に重要かを示しているんです。
視覚機能の変化
厚生労働省の令和4年調査によると、在宅の身体障害者手帳所持者は約415.9万人いらっしゃいます。
加齢とともに、白内障や緑内障などで視覚機能が低下する方も増えています。
定期的な眼科検診で、早期発見・早期対応することが大切です。
聴覚:コミュニケーションと安全を守る力
聴覚の基本的な働き
聴覚は、音の振動を電気信号に変換して、脳に伝える感覚です。
耳は、外耳・中耳・内耳の3つの部分に分かれていて、それぞれが重要な役割を果たしています。
聴覚が担う主な役割
- 言葉の理解
- 音楽の鑑賞
- 危険の察知(警報音、車の音など)
- バランス感覚の維持
- 環境の把握
人間の聴覚の優れた能力
人間の耳は、約20Hzから20,000Hzまでの広い範囲の音を聞き取ることができます。
また、多くの音の中から特定の音を選んで聞き取る「カクテルパーティー効果」という能力も持っています。
騒がしいパーティー会場でも、自分の名前が呼ばれると気づく。 これも、聴覚の優れた能力のひとつなんです。
聴覚とバランスの関係
意外かもしれませんが、耳の内耳には平衡感覚を司る器官もあります。
三半規管と耳石器が、頭の動きや体の傾きを感知して、バランスを保つのに役立っているんです。
リハビリでは、めまいや平衡障害のある方に対して、前庭リハビリテーションという専門的な訓練も行います。
聴覚機能の変化
加齢性難聴は65歳以上の約3人に1人に見られるとも言われています。
「聞こえにくいな」と感じたら、早めに耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。
触覚:最も広範囲に広がる感覚器
触覚の基本的な働き
触覚は、皮膚全体に分布する感覚受容器によって働く感覚です。
実は、皮膚は人体で最も大きな器官なんです。 成人で約1.6〜1.8平方メートルもあるんですよ。
触覚が担う主な役割
- 物に触れた感触の認識
- 温度の感知
- 痛みの感知
- 圧力の感知
- 振動の感知
人間の触覚の優れた能力
人間の指先は、わずか13ナノメートル(髪の毛の約1/5,000)の凹凸を感じ取ることができると言われています。
これは驚くべき精密さですよね。
また、触覚は痛みを感じることで、体の危険を知らせてくれる重要な警報システムでもあります。
触覚と生活の質
リハビリの現場では、触覚機能の評価もとても大切にしています。
たとえば、糖尿病の方は末梢神経障害で足の感覚が鈍くなることがあります。 そうすると、靴擦れに気づかず、傷が悪化してしまうこともあるんです。
日常生活では、こんな場面で触覚が活躍しています。
- 財布の中のコインを触って識別する
- お風呂の温度を確かめる
- 手触りで生地の素材を判断する
触覚の保護と維持
触覚を保つためには、皮膚の健康が大切です。
保湿ケアや適度な刺激(マッサージなど)が、触覚機能の維持に役立ちます。
また、糖尿病や脊髄疾患など、触覚に影響を及ぼす病気の早期発見・管理も重要です。
味覚:健康維持に欠かせない感覚
味覚の基本的な働き
味覚は、舌にある味蕾(みらい)という器官で感じ取られます。
成人では約7,000〜10,000個の味蕾があると言われています。
基本の5つの味
- 甘味:エネルギー源(糖分)の存在を示す
- 塩味:ミネラル(ナトリウム)の存在を示す
- 酸味:腐敗や未熟さを示す警告
- 苦味:毒物の警告
- うま味:タンパク質(アミノ酸)の存在を示す
人間の味覚の優れた能力
人間の味覚は、食べ物の安全性を判断する重要な役割を持っています。
腐った食べ物の酸っぱい味や、毒物の苦い味を検知することで、体を守っているんです。
また、最近の研究では、味覚が免疫機能とも関連していることがわかってきています。
味覚と栄養
味覚は、適切な栄養摂取にも深く関わっています。
甘味で糖質を、うま味でタンパク質を、塩味でミネラルを。 体が必要とする栄養を、味覚を通じて求めているんです。
リハビリの現場では、高齢の方の味覚低下が食欲不振や低栄養につながることも経験します。
味覚機能の変化
加齢とともに味蕾の数は減少し、味覚の感度が低下していきます。
また、薬の副作用や亜鉛不足、口腔内の乾燥なども味覚に影響します。
「最近、味が薄く感じる」と思ったら、単に調味料を増やすのではなく、医師や歯科医師に相談してみましょう。
嗅覚:記憶と深く結びつく特別な感覚
嗅覚の基本的な働き
嗅覚は、鼻の奥にある嗅上皮という部分で、空気中の化学物質をキャッチする感覚です。
人間は約400種類の嗅覚受容体を持ち、約1兆種類の匂いを識別できると言われています。
嗅覚が担う主な役割
- 食べ物の鮮度や腐敗の判断
- 危険物(ガス漏れなど)の察知
- 記憶や感情の喚起
- 食欲の調整
- 他者の認識
嗅覚と記憶の特別な関係
嗅覚は、他の感覚と違って、脳の記憶や感情を司る部分(海馬や扁桃体)に直接つながっています。
これが「プルースト効果」と呼ばれる現象です。
ふとした匂いで、昔の記憶が鮮明に蘇った経験、ありませんか? おばあちゃんの家の匂い、初めて作った料理の香り。
これは、嗅覚が記憶と深く結びついているからなんです。
嗅覚と味覚の協力
実は、私たちが「味」だと思っているものの多くは、嗅覚の働きなんです。
風邪を引いて鼻が詰まると、食べ物の味がわからなくなる。 これは、嗅覚が働いていないからなんですね。
食事の「おいしさ」の約70〜80%は、嗅覚が担っていると言われています。
嗅覚機能の変化
近年、嗅覚障害が神経疾患の早期兆候として注目されています。
パーキンソン病やアルツハイマー病では、嗅覚低下が運動症状や認知症状よりも数年早く現れることがわかってきました。
また、新型コロナウイルス感染症でも、嗅覚障害が特徴的な症状として知られていますね。
五感を統合する脳の驚くべき能力

感覚統合とは
五感から入ってくる情報は、バラバラに認識されているわけではありません。
脳は、これらの情報を統合して、周囲の状況を総合的に理解しているんです。
これを「感覚統合」と呼びます。
日常での感覚統合の例
リンゴを食べるとき、私たちは同時に複数の感覚を使っています。
- 視覚:赤い色、丸い形
- 触覚:硬さ、ザラザラした表面
- 嗅覚:甘酸っぱい香り
- 味覚:甘味と酸味
- 聴覚:噛んだときのシャキッという音
これらすべてが統合されて、「リンゴを食べている」という経験になるんです。
脳の可塑性と感覚の補完
驚くべきことに、脳には「可塑性」という性質があります。
ある感覚が失われても、他の感覚が補うように発達することがあるんです。
視覚障害のある方が、聴覚や触覚で周囲の情報を驚くほど正確に把握されていることがあります。
これは、脳が状況に適応して、残された感覚を強化しているからなんです。
感覚過敏・感覚鈍麻
感覚統合がうまくいかないと、日常生活に困難が生じることもあります。
感覚過敏の方は、普通の音や光、触れられることが苦痛に感じられます。 逆に、感覚鈍麻の方は、痛みや温度の変化に気づきにくいことがあります。
リハビリでは、こうした感覚の特性を理解して、個々に合わせたアプローチを行います。
日常生活で五感を大切にするポイント
五感を意識的に使う習慣
五感は、使わなければ衰えていきます。 逆に、意識的に使うことで、機能を維持・向上させることができるんです。
今日からできる五感トレーニング
視覚を鍛える
- 散歩中に、季節の変化を観察する
- 絵画や写真をじっくり鑑賞する
- 遠くと近くを交互に見る(ピント調整の訓練)
聴覚を鍛える
- 自然の音(鳥の声、風の音)に耳を傾ける
- 音楽を聴くとき、楽器の音を意識して聞き分ける
- 静かな環境で過ごす時間を作る
触覚を鍛える
- 料理で、食材の感触を楽しむ
- ハンドマッサージやセルフマッサージ
- 裸足で歩く(安全な場所で)
味覚を鍛える
- ゆっくり味わって食べる
- いろいろな食材を試す
- 薄味に慣れる
嗅覚を鍛える
- アロマテラピーを楽しむ
- 料理の香りを意識する
- 季節の花の香りを楽しむ
バランスの良い刺激が大切
五感を鍛えると言っても、過度な刺激は逆効果です。
適度な刺激と、リラックスする時間のバランスが大切なんです。
また、複数の感覚を同時に使う活動もおすすめです。 たとえば、ガーデニング。 視覚・触覚・嗅覚を同時に使いますよね。
定期的な健康チェック
五感の機能は、さまざまな病気の影響を受けます。
定期的な健康診断や、各感覚器の専門的なチェックも大切です。
- 視覚:年1回の眼科検診
- 聴覚:年1回の聴力検査
- 味覚・嗅覚:変化を感じたら耳鼻咽喉科へ
- 触覚:皮膚の健康チェック、糖尿病などの基礎疾患管理
よくあるご質問
Q1. 五感は訓練で鋭くなりますか?
A. はい、ある程度は訓練で鋭くすることができます。特に、意識的にその感覚を使う習慣を持つことが大切です。ただし、加齢による自然な変化を完全に止めることはできません。日常的に五感を使い、刺激を与え続けることで、機能の維持に役立ちます。
Q2. 加齢でどの感覚が最も早く衰えますか?
A. 個人差はありますが、一般的には嗅覚と味覚が比較的早く変化すると言われています。60歳以降で徐々に感度が低下していきます。視覚では、40代から老眼が始まり、聴覚では高音域から聞こえにくくなることが多いです。定期的なチェックと、早めの対応が大切です。
Q3. 五感のうち、最も大切な感覚はどれですか?
A. どれも大切で、優劣をつけることはできません。ただし、情報量という点では視覚が約80%を占めるため、日常生活への影響は大きいと言えます。しかし、他の感覚が失われても、脳が補完する能力を持っているため、すべての感覚が協力して働くことが理想的です。
Q4. ストレスは五感に影響しますか?
A. はい、ストレスは五感の機能に影響します。特に、慢性的なストレスは味覚や嗅覚の低下、耳鳴りや難聴、視覚の疲労などを引き起こすことがあります。適度な休息とストレス管理が、感覚機能の維持にも重要です。
Q5. 五感が鈍くなったと感じたら、どこを受診すればいいですか?
A. 感覚によって受診する科が異なります。視覚は眼科、聴覚・味覚・嗅覚は耳鼻咽喉科、触覚の異常は神経内科や整形外科が適切です。複数の感覚に変化がある場合や、原因がわからない場合は、まずかかりつけ医に相談してみましょう。必要に応じて専門医を紹介してもらえます。
まとめ
五感の働きと、人間の感覚能力の素晴らしさについてご紹介しました。
この記事のポイント
✓ 五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)は外界を認識する重要な窓
✓ 視覚は情報の約80%を担い、日常生活で最も活用される感覚
✓ 聴覚はコミュニケーションとバランス維持に不可欠
✓ 触覚は最も広範囲に広がり、安全を守る警報システム
✓ 味覚は栄養摂取と健康維持に重要な役割
✓ 嗅覚は記憶や感情と深く結びつく特別な感覚
✓ 脳は五感の情報を統合し、総合的に状況を理解している
✓ 五感は意識的に使うことで機能維持が可能
今日からできること
普段何気なく使っている五感。 でも、意識してみると、新しい発見があるかもしれません。
食事のときに、味だけでなく香りや食感も楽しんでみる。 散歩のときに、目に入る景色や聞こえる音を意識してみる。
こうした小さな心がけが、五感を豊かに保つことにつながります。
専門家に相談するタイミング
もし五感に変化を感じたら、早めに専門家に相談してみましょう。
感覚の変化は、体からの大切なサインかもしれません。
理学療法士や各感覚器の専門医が、一人ひとりの状態に合わせて適切なアドバイスを提供できます。
五感を大切にすることは、生活の質を高めることにもつながります。 毎日を豊かに感じられるように、五感を意識してみませんか?
📚 参考文献
- 木下茂, 上野盛夫編. 別冊医学のあゆみ 五感を科学する――感覚器研究の最前線. 医歯薬出版, 2023.
- 厚生労働省. 令和4年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査). 厚生労働省, 2024.
- 日本リハビリテーション医学会, 日本リハビリテーション医学教育推進機構. リハビリテーション医学・医療コアテキスト 第2版. 医学書院, 2022.
- World Health Organization. World report on vision. WHO, 2019.
- 内閣府. 令和6年版障害者白書. 内閣府, 2024.
執筆者情報
理学療法士
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免責事項
本記事の情報は一般的な内容です。
個人の状態により適切な方法は異なります。
感覚機能に変化を感じた場合や、持病のある方は、医師にご相談ください。
症状が改善しない場合や悪化する場合は、速やかに医療機関を受診してください。