24時間のエネルギー消費まとめ|デスクワーカーから高齢者まで理学療法士が解説
2026.06.08
健康について
私たちは一日中、エネルギーを消費し続けています。
仕事をしているときはもちろん、実は寝ている間でも、体は休むことなくエネルギーを使っているんです。
この記事では、理学療法士の視点から、デスクワーカー・主婦・高齢者など、さまざまな人が24時間でどのくらいのエネルギーを使っているのかを分かりやすく解説します。
「最近、体力が落ちてきた気がする」「若い頃と同じように食べているのに太りやすくなった」そんな変化の理由も見えてくるかもしれません。
💡 この記事について
この記事は一般的な健康情報を提供するものであり、個別の医学的診断や治療の代わりとなるものではありません。体調に不安がある場合は、必ず医療機関を受診してください。
目次
- エネルギー消費の基本を知ろう
- 24時間のエネルギー消費の内訳
- 臓器と筋肉が使うエネルギー
- デスクワーカーの1日のエネルギー消費
- 主婦の1日のエネルギー消費
- 高齢者のエネルギー消費と筋肉の衰え
- 年齢による基礎代謝の変化
- サルコペニアとエネルギー代謝
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
エネルギー消費の基本を知ろう
エネルギー消費とは何か
エネルギー消費とは、私たちの体が生命維持や活動のために使うエネルギー量のことです。
単位は「kcal(キロカロリー)」で表されます。
食事から摂取したエネルギーと、体が消費するエネルギーのバランスが健康維持の基本なんです。
1日のエネルギー消費は3つに分けられる
私たちが1日に消費するエネルギーは、大きく3つに分類されます。
1. 基礎代謝(約60%)
- 心臓を動かす、呼吸をする、体温を保つなど
- 生命維持に必要な最低限のエネルギー
- 寝ているときも消費される
2. 身体活動(約30%)
- 歩く、家事をする、仕事をする、運動をする
- 日常生活での動きで消費されるエネルギー
3. 食事誘発性熱産生(約10%)
- 食事をしたときに体が温かくなる現象
- 食べ物を消化・吸収するときに使われるエネルギー
この3つの合計が、1日の総エネルギー消費量になります。
24時間のエネルギー消費の内訳
基礎代謝が6割を占める
意外かもしれませんが、私たちが1日に消費するエネルギーの約6割は基礎代謝です。
つまり、何もせずじっとしているだけでも、体は多くのエネルギーを使っているんです。
心臓を動かし続け、呼吸をし、体温を保つ。
これらの活動は24時間休むことがありません。
身体活動は3割程度
仕事や家事、運動など、体を動かすことで消費するエネルギーは全体の約3割です。
「もっと多いと思っていた」という方も多いかもしれません。
ただし、これは平均的な身体活動レベルの場合です。
立ち仕事の多い職業や、スポーツ選手などは、この割合が高くなります。
食事でもエネルギーを使う
食事誘発性熱産生は、全体の約1割です。
食べ物を消化・吸収するためにも、体はエネルギーを使います。
特にタンパク質は消化に多くのエネルギーを必要とします。
摂取カロリーの約30%がタンパク質の消化に使われるんです。
臓器と筋肉が使うエネルギー
基礎代謝の臓器別内訳
基礎代謝のエネルギーは、体のさまざまな臓器や組織で使われています。
2026年1月時点の最新研究によると、以下のような割合になっています。
臓器別エネルギー消費の割合
- 肝臓: 21〜27%
- 脳: 19〜20%
- 骨格筋(筋肉): 18〜22%
- 心臓: 7〜9%
- 腎臓: 8〜10%
- 脂肪組織: 4%
- その他: 16〜19%
意外と少ない筋肉の割合
「筋肉が一番エネルギーを使う」と思われがちですが、実は肝臓や脳と同じくらいなんです。
体重70kgの人の場合、筋肉が1日に消費する基礎代謝は全体の約22%です。
筋肉1kgあたりでは、1日に約13kcalを消費します。
これは、筋肉を1kg増やしても基礎代謝は13kcalしか増えないことを意味します。
肝臓と脳は常にフル稼働
肝臓は体の中で最も大きな臓器で、500以上の機能を持っています。
栄養素の代謝、解毒、胆汁の生成など、休むことなく働き続けています。
脳も同様に、寝ているときでもエネルギーを消費し続けます。
記憶の整理や、体の機能調整など、24時間活動しているんです。
デスクワーカーの1日のエネルギー消費
デスクワークの身体活動レベル
デスクワーカーの身体活動レベルは「低い〜ふつう」に分類されます。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、以下のような数値になります。
30歳男性デスクワーカー(身体活動レベル: ふつう)
- 推定エネルギー必要量: 約2,650kcal/日
- 基礎代謝: 約1,530kcal
- 身体活動: 約800kcal
- 食事誘発性熱産生: 約320kcal
30歳女性デスクワーカー(身体活動レベル: ふつう)
- 推定エネルギー必要量: 約2,000kcal/日
- 基礎代謝: 約1,110kcal
- 身体活動: 約600kcal
- 食事誘発性熱産生: 約290kcal
デスクワーク8時間の消費カロリー
体重50kgの人がデスクワークを8時間行った場合、約550〜630kcalを消費します。
これは、ご飯茶碗2杯分程度のエネルギーです。
座っているだけでも、姿勢を保つために筋肉は働いています。
ただし、立っている状態と比べると、消費カロリーは約120〜210kcal少なくなります。
通勤や家事も含めた1日
デスクワーカーでも、通勤での歩行や家事などで体を動かします。
これらを合わせると、身体活動レベルは「ふつう」になることが多いんです。
ただし、在宅勤務で外出が少ない場合は「低い」に該当する可能性があります。
⚠️ こんな症状がある場合は医療機関へ
- 座りっぱなしで腰や肩に痛みが続く
- 体重が急激に増加または減少している
- 疲れやすさが日常生活に支障をきたしている
主婦の1日のエネルギー消費
家事労働のエネルギー消費
主婦の方の1日は、実は想像以上に体を動かしています。
掃除、洗濯、料理、買い物など、立ち仕事や歩行が多いためです。
40歳女性主婦(身体活動レベル: ふつう)
- 推定エネルギー必要量: 約2,050kcal/日
- 基礎代謝: 約1,160kcal
- 身体活動: 約620kcal
- 食事誘発性熱産生: 約270kcal
主な家事の消費カロリー(体重50kgの場合)
- 掃除機かけ(30分): 約90kcal
- 床の雑巾がけ(30分): 約110kcal
- 料理(1時間): 約110kcal
- 洗濯物を干す・たたむ(30分): 約70kcal
- 買い物(徒歩30分+買い物30分): 約150kcal
これらを合計すると、1日の家事だけで約500〜600kcal消費することもあります。
子育て中の場合
小さなお子さんがいる場合、さらにエネルギー消費は増えます。
抱っこや追いかけっこ、公園での遊びなど、身体活動レベルは「ふつう〜高い」になることも。
ただし、その分疲労も蓄積しやすくなります。
適度な休息とバランスの取れた食事が大切です。
高齢者のエネルギー消費と筋肉の衰え
高齢者の推定エネルギー必要量
加齢とともに、基礎代謝量は低下していきます。
厚生労働省の最新基準(2025年版)では、以下のようになっています。
75歳以上男性(身体活動レベル: 低い)
- 推定エネルギー必要量: 約1,800kcal/日
- 基礎代謝: 約1,280kcal
75歳以上女性(身体活動レベル: 低い)
- 推定エネルギー必要量: 約1,400kcal/日
- 基礎代謝: 約990kcal
これは、30歳代と比べて約600〜800kcal少ない数値です。
なぜ高齢者はエネルギー消費が減るのか
高齢者のエネルギー消費が減る主な理由は3つあります。
1. 筋肉量の減少
- 20歳代をピークに、10年ごとに男性は約2kg、女性は約1kg減少
- 筋肉が減ると基礎代謝も低下する
2. 臓器の代謝率低下
- 肝臓や腎臓などの臓器も、加齢とともに代謝率が下がる
3. 身体活動量の減少
- 外出機会の減少や運動習慣の低下
- 座っている時間が増える
食事量は減らすべきか
高齢になると「食べる量を減らさなければ」と考えがちです。
しかし、エネルギー量を減らしすぎると、必要な栄養素が不足してしまいます。
特にタンパク質の不足は、筋肉量の減少を加速させる原因になります。
量より質を重視し、栄養密度の高い食事を心がけることが大切です。
⚠️ 高齢者の方は特に注意が必要な症状
- 食欲不振が1週間以上続く
- 体重が1ヶ月で2kg以上減少
- 立ち上がりや歩行が困難になってきた
- 転倒やつまずきが増えた
これらの症状がある場合は、早めに医療機関や理学療法士に相談してください。
年齢による基礎代謝の変化
基礎代謝基準値の年齢別推移
厚生労働省のデータによると、基礎代謝基準値は年齢とともに低下します。
男性の基礎代謝基準値(体重1kgあたり/日)
- 18〜29歳: 23.7kcal
- 30〜49歳: 22.5kcal
- 50〜64歳: 21.8kcal
- 65〜74歳: 21.6kcal
- 75歳以上: 21.5kcal
女性の基礎代謝基準値(体重1kgあたり/日)
- 18〜29歳: 22.1kcal
- 30〜49歳: 21.9kcal
- 50〜64歳: 20.7kcal
- 65〜74歳: 20.7kcal
- 75歳以上: 20.7kcal
具体的な数値で見る変化
体重70kgの男性の場合で比較してみましょう。
- 20歳代: 基礎代謝 約1,680kcal/日
- 50歳代: 基礎代謝 約1,505kcal/日
- 差: 約175kcal/日
1日で約175kcalの差は、1年間では約64,000kcalにもなります。
これは体脂肪約9kg分に相当する計算です。
若い頃と同じ食生活を続けていると、体重が増えやすくなる理由がここにあります。
基礎代謝を維持するために
加齢による基礎代謝の低下は自然な現象ですが、ある程度は維持することができます。
効果的な方法:
- 筋力トレーニングで筋肉量を維持する
- タンパク質をしっかり摂取する
- 身体活動量を意識的に増やす
- 規則正しい生活リズムを保つ
特に下半身の大きな筋肉(太もも、お尻)を鍛えることが効果的です。
⚠️ 運動を始める前の注意
持病がある方、高血圧や心疾患の既往がある方は、運動を始める前に必ず医師に相談してください。
サルコペニアとエネルギー代謝
サルコペニアとは
サルコペニアは、加齢や疾患などによって筋肉量が減少する状態のことです。
ギリシャ語の「サルコ(筋肉)」と「ペニア(喪失)」からきた言葉です。
75〜79歳の約2割、80歳以上では男性の約3割、女性の約半数が該当するとされています。
サルコペニアがエネルギー代謝に与える影響
筋肉量が減ると、エネルギー消費も減少します。
さらに、筋肉が少ないと運動や日常活動でのエネルギー消費も減ります。
その結果、摂取したエネルギーが余って脂肪として蓄積されやすくなるんです。
サルコペニア肥満の危険性
サルコペニア肥満とは、筋肉量の減少に肥満が加わった状態です。
体重やBMIは標準でも、筋肉が脂肪に置き換わっている「隠れサルコペニア肥満」もあります。
通常の肥満よりも生活習慣病のリスクが高く、歩行能力の低下や寝たきりにつながる可能性があります。
サルコペニアのチェック方法
簡単なセルフチェックができます。
以下に2つ以上当てはまる場合は注意:
- 階段を上るのがつらい
- よくつまづく・すべる
- 椅子からすぐに立ち上がれない
- お腹のお肉が気になる
- 歩くのが遅くなった気がする
- 握力が弱くなった気がする
- タンパク質をあまり摂らない
- 食事制限ダイエットをしたことがある
サルコペニアの予防方法
サルコペニアは予防と改善が可能です。
食事面:
- 肉、魚、卵、大豆製品などのタンパク質をしっかり摂る
- カロリーは控えめに、栄養バランスは充実させる
- 野菜と一緒にバランスよく食べる
運動面:
- 週2〜3回の筋力トレーニング
- ウォーキングなどの有酸素運動
- 日常生活での活動量を増やす
⚠️ 専門家の指導のもとで行うことをおすすめします
特に高齢者の方や持病のある方は、自己判断でのトレーニングは避け、理学療法士や医師の指導を受けることをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q1: 基礎代謝を上げるにはどうすればいいですか?
A: 筋肉量を増やすことが最も効果的です。特に太ももやお尻など、下半身の大きな筋肉を鍛えるスクワットなどがおすすめです。ただし、筋肉1kgあたりの基礎代謝増加は約13kcal/日と大きくないため、筋トレと同時に身体活動量を増やすことが重要です。無理のない範囲で継続することを心がけてください。
Q2: デスクワークで座りっぱなしですが、何か対策はありますか?
A: 1時間に1回は立ち上がって軽く体を動かすことをおすすめします。立っているだけでも、座っている状態より1日で約120〜210kcal多く消費します。また、通勤時に一駅分歩く、階段を使うなど、日常生活で活動量を増やす工夫も効果的です。長時間の座位が続く場合は、ストレッチなどで血流を促すことも大切です。
Q3: 高齢者はどのくらいのエネルギーを摂取すればいいですか?
A: 75歳以上で身体活動レベルが低い場合、男性は約1,800kcal/日、女性は約1,400kcal/日が目安です。ただし、これは平均的な体格の場合であり、個人差があります。重要なのは、エネルギー量だけでなく、タンパク質やビタミン、ミネラルなど、必要な栄養素をバランスよく摂ることです。食欲不振や体重減少が続く場合は、医師や管理栄養士に相談してください。
Q4: 若い頃と同じ量を食べているのに太りやすくなったのはなぜ?
A: 加齢とともに基礎代謝が低下し、身体活動量も減少するためです。例えば、体重70kgの男性の場合、20歳代と50歳代では1日の基礎代謝に約175kcalの差があります。さらに、筋肉量の減少も影響しています。食事量を見直すか、運動習慣を取り入れることで、エネルギーバランスを整えることができます。
Q5: サルコペニアは若い人でもなりますか?
A: はい、若い人でもサルコペニアになる可能性があります。過度な食事制限ダイエットや運動不足によって、必要な栄養素が摂取できず筋肉が減少してしまうケースがあります。特に食事制限だけで体重を落とそうとすると、脂肪だけでなく筋肉も減ってしまいます。バランスの取れた食事と適度な運動を組み合わせることが大切です。
Q6: 筋肉を増やすにはどんな食事がいいですか?
A: タンパク質を十分に摂ることが重要です。肉、魚、卵、大豆製品などを毎食取り入れましょう。高齢者の場合、タンパク質の摂取が特に重要で、体重1kgあたり1.0〜1.2g程度が推奨されています。ただし、タンパク質だけでなく、炭水化物やビタミン、ミネラルもバランスよく摂ることが筋肉の合成には必要です。サプリメントに頼るよりも、食事からの摂取を優先してください。
Q7: 基礎代謝量はどうやって測定できますか?
A: 体組成計を使用すると、自宅で簡単に推定値を測定できます。ただし、計算式による推定値には±300〜400kcal程度の誤差があることを理解しておきましょう。より正確に知りたい場合は、医療機関やスポーツ施設で専門的な測定を受けることができます。体重や体調の変化を定期的にチェックしながら、自分に合った食事量を見つけていくことが実用的です。
まとめ
私たちが1日に消費するエネルギーは、基礎代謝、身体活動、食事誘発性熱産生の3つで構成されています。
その約6割は基礎代謝で、心臓や肝臓、脳、筋肉などが休むことなくエネルギーを使っています。
デスクワーカー、主婦、高齢者など、生活スタイルによってエネルギー消費量は大きく異なります。
特に高齢者では、加齢に伴う筋肉量の減少(サルコペニア)によって、基礎代謝が低下していきます。
筋肉量を維持し、適度な身体活動を続けることが、健康的なエネルギー代謝を保つカギです。
バランスの取れた食事、特にタンパク質の十分な摂取と、無理のない運動習慣を心がけましょう。
「最近疲れやすい」「体力が落ちてきた」と感じたら、それは体からのサインかもしれません。
日常生活に支障が出る場合や、体重が大きく変動する場合は、早めに医療機関や理学療法士に相談してください。
適切な対処で、健康的で活動的な毎日を取り戻すことができます。
免責事項
記事の目的と性質
本記事は、24時間のエネルギー消費に関する一般的な健康情報を提供することを目的としています。理学療法士の専門的視点から、科学的根拠に基づいた情報をわかりやすく解説していますが、以下の点にご注意ください。
本記事の限界
- 個別診断の代替不可: 本記事の情報は、あなた個人の症状や状態に対する診断・治療を提供するものではありません
- 医療行為ではない: 記事内容は医療行為や医学的助言ではなく、一般的な情報提供です
- 自己判断のリスク: 本記事の情報のみに基づく自己判断や自己治療は、症状の悪化や重大な健康被害につながる可能性があります
医療機関受診の推奨
以下の場合は、必ず医療機関を受診してください:
- 疲労感や体力低下が続いている場合
- 食欲不振や体重減少が続く場合
- 立ち上がりや歩行に支障が出ている場合
- 持病や既往歴がある場合
- 高齢者や妊娠中の方
医師や理学療法士などの専門家による適切な診断と治療を受けることが最も重要です。
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参考文献
- 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書. 2024.
- 厚生労働省 e-ヘルスネット. 身体活動とエネルギー代謝. 2025年更新版.
- 厚生労働省 e-ヘルスネット. 加齢とエネルギー代謝. 2025年更新版.
- 厚生労働省 e-ヘルスネット. エネルギー消費量の測定方法. 健康長寿ネット. 2025年9月更新.
- FAO/WHO/UNU合同特別専門委員会報告. Energy and protein requirements. 1989.
- 日本肥満学会. BMI判定基準. 2024年版.
- Asian Working Group for Sarcopenia 2019(AWGS2019). サルコペニア診断ガイドライン. 2019.
執筆者情報
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