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起き上がりがつらい理由|ベッドから起きるコツを理学療法士が解説

2026.08.11

健康について

起き上がりがつらい理由|ベッドから起きるコツを理学療法士が解説

💡 この記事について:本記事は一般的な健康情報の提供を目的としています。個別の診断や治療の代わりにはなりません。痛みや不安がある方は医療機関にご相談ください。

「朝、ベッドから起き上がるのがひと苦労」。そんな悩みはありませんか。

実は、寝返りや起き上がりは、私たちが毎晩無意識に繰り返している高度な動作なんです。

理学療法士として現場で感じるのは、この動作が「一日の最初の関門」だということです。ここでつまずくと、活動全体が止まります。

この記事では、なぜ起き上がりがつらくなるのかを動作の視点で解きます。そのうえで、ベッドから起きるコツをお伝えします。

起き上がりは「一日の活動を決める」最初の動作

起き上がりは、その日の活動量を左右します。スムーズに起きられれば、行動が広がります。

逆に、起き上がりがつらいと横になる時間が増えます。動かない時間が増えると、筋力はさらに落ちます。

体を起こすこと自体が、抗重力筋への刺激になります。横になる時間を減らすだけでも、衰えの予防につながります。

転倒は「居室・寝室」で最も多い

意外かもしれませんが、家庭内の転倒は居室や寝室で多く起きています4。ある調査では居室が最多でした5

寝起きの不安定な姿勢が、転倒の一因になります。特に夜間の起き上がりには注意が必要です6

夜2回以上トイレに起きる人は、転倒や骨折のリスクが高まると報告されています6。起き上がり方そのものが、安全に関わるのです。

起き上がり・寝返りを理学療法士が分解する

タネ明かしです。健康な人は、寝返りと起き上がりを無意識に行っています。

まず体をひねって横向きになります。次に肘で支え、手で床を押して上体を起こします。

そして足をベッドの外へ下ろし、座る姿勢になります。この一連の流れが、起き上がりの基本です。

仰向けから直接起きると「大きな力」が要る

仰向けからまっすぐ起きようとすると、強い腹筋の力が必要です1。重心が、支える面から外れてしまうためです1

一方、横向きから肘・手と支えを増やすと負担が減ります1。支える面が広がり、小さな力で起きられます1

現場では、仰向けから力任せに起きようとして苦労する方が多い傾向があります。横向きを経るだけで、ぐっと楽になります。

「頭の軌跡」で必要な力が変わる

起き上がりでは、頭の動かし方も重要です1。頭で大きな弧を描くと、小さな力で起きられます1

これは、山を斜めに登ると勾配が緩くなるのと同じ理屈です1。まっすぐ起きるより、回り込む方が楽なのです。

起き上がりがつらくなる3つの原因

「起きられない」の背景には、複数の要因があります。主な原因を3つに分けて整理します。

原因1:体幹と腕の筋力低下

起き上がりには、体をひねる力と腕で押す力が要ります。ここが弱ると、上体を起こせません。

筋力は使わない期間が続くほど落ちやすい性質があります2。横になる時間が増えると、起きる力も衰えます。

原因2:体をひねる柔らかさの低下

寝返りは、背骨をひねる動きから始まります。体幹が硬いと、横向きになること自体が難しくなります。

横向きになれないと、起き上がりの段階を踏めません。柔らかさは、楽な起き上がりの土台です。

原因3:起き上がり方の「やり方」のクセ

仰向けからまっすぐ起きるクセは、大きな力を要します1。やり方が、つらさを生んでいる場合があります。

横向きを経る方法に変えるだけで、負担は減ります1。筋力だけでなく、手順も見直す価値があります。

起き上がりにくさが招く悪循環

起き上がりがつらいと、横になる時間が増えます。すると、起き上がる練習の機会が減ります。

機会が減ると筋力はさらに落ち、ますます起きにくくなります。これが「動かない悪循環」です。

横になる時間が長いほど、全身の衰えは進みます2。一日の最初の動作が、活動量を大きく左右します。

だからこそ、起き上がりのコツと練習が大切です。手順を整えれば、必要な力は大きく減らせます。

ベッドから起きるコツとセルフケア

では、楽に安全に起きるにはどうすればよいでしょうか。動作のコツと練習を分けて見ていきます。

「横向きを経て起きる」を習慣にする

起き上がりの基本は、横向きを経ることです。次の順番を、毎朝のクセにしましょう。

  • まず体をひねり、横向きになる
  • 肘で支え、手で押しながら上体を起こす
  • 足を下ろし、ベッドの端に座る

起きたあとは、すぐに立たないことです。少し座って、めまいがないか確かめましょう。

寝返り・起き上がりの自宅練習

動作そのものを練習すると、起き上がりは楽になります。布団やベッドで、安全に試してみてください。

  • 膝を立て、左右に倒す寝返りの練習を繰り返す
  • 横向きから肘で支え、上体を起こす練習をする
  • ベッドの端で、座る姿勢を保つ練習をする

痛みが出たら中止してください。一人で不安なときは、誰かに見守ってもらいましょう。

環境の工夫で起き上がりを支える

環境の工夫も助けになります。ベッドの横に手すりがあると、起き上がりが安定します。

ベッドが低すぎると立ち上がりにくくなります。高さを調整し、足が床につく位置にしましょう。

夜は足元灯を置くと安心です。寝室の動線を明るく整えると、夜間の転倒予防になります4

起き上がりの練習を続ける3つのコツ

起き上がりは、続け方しだいで楽になります。無理なく取り組むための3つのコツを紹介します。

コツ1:寝返りから順番に練習する

いきなり起き上がろうとしないことです。まずは寝返りだけを、ていねいに練習します。

横向きになれたら、肘で支える練習へ進みます。段階を踏むほど、起き上がりは滑らかになります。

コツ2:朝の「儀式」として手順を固める

毎朝、同じ手順で起きると体が覚えます。横向き、肘で支える、足を下ろす、の順です。

頭で弧を描くコツも、毎日使うほど身につきます1。手順が固まると、考えなくても楽に起きられます。

コツ3:起きづらさが続くなら相談する

工夫しても起きづらさが続くことがあります。筋力やめまいなど、隠れた要因があるかもしれません。

専門家なら、どの段階でつまずくかを外から確認できます。一対一なら、その人に合わせて手順を整えられます。

一日の最初の動作を支えることは、活動全体を支えます。起き上がりに寄り添う伴走が、毎日を後押しします。

寝起きの時間を整える工夫

起き上がりは、毎朝必ず行う動作です。だからこそ、生活の中で練習にしやすい動きです。

目が覚めたら、すぐに起きずに体を伸ばします。軽く伸びをしてから、横向きへゆっくり移ります。

横向きから、肘と手を使って上体を起こします。頭で弧を描く意識を持つと、楽に起きられます。

起きたあとは、ベッドの端で少し座って休みます。めまいがないか確かめてから、立ち上がりましょう。

夜中にトイレで起きるときも、同じ手順をたどります。あわてず横向きを経ることが、夜間の転倒を防ぎます。

この一連の流れを、毎朝の習慣にしましょう。起き上がりの質が、一日の始まりを左右します。

よくある質問(FAQ)

Q. ベッドから起き上がれないのは、どこが弱いのですか?

A. 体をひねる体幹の力と、腕で支える力が関わります。仰向けから直接起きると大きな力が要ります。横向きを経て肘や手で支える方法に変えると、少ない力で起き上がりやすくなります。

Q. 寝返りの練習は、起き上がりに役立ちますか?

A. 役立つと考えられます。寝返りは起き上がりの最初の段階だからです。膝を立てて左右に倒す練習で、体をひねる力が養われます。無理のない範囲で、毎日少しずつ続けることをおすすめします。

Q. 起き上がるときにめまいがします。どうすればよいですか?

A. 急に起き上がらず、段階を踏むことが大切です。横向きを経て座り、少し休んでから立ちましょう。めまいが続く場合は、起立性低血圧などの可能性もあるため、医療機関への相談をおすすめします。

Q. 夜のトイレで起き上がるとき、転倒が心配です。

A. 夜間頻尿は転倒や骨折のリスクと関連するとされています。横向きを経てゆっくり起き、足元灯で動線を明るくしましょう。ベッド横の手すりも有効です。回数が多い場合は医療機関に相談してください。

Q. 電動ベッドの背上げ機能に頼ってもよいですか?

A. 必要な場面で使うのは問題ありません。ただ、すべてを機能に任せると、起き上がる力が衰えることがあります。できる部分は自分で動き、難しい部分だけ支えてもらう。この使い分けが、力を保つコツです。状態に合わせて、専門家と相談すると安心です。

Q. 起き上がりの練習は、いつ行うのが効果的ですか?

A. 毎朝の起床時が、もっとも自然な練習の機会です。横向きを経て起きる手順を、毎回くり返しましょう。体が手順を覚えると、考えなくても楽に起きられます。日中に寝返りの練習を足すのも効果的です。無理のない範囲で続けてください。

Q. 朝起きると体がこわばって動けません。対処法はありますか?

A. 起きる前に、布団の中で軽く体を動かすことをおすすめします。手足の指を動かし、ゆっくり伸びをします。膝を立てて左右に倒すと、体幹のこわばりがほぐれます。体が目覚めてから、横向きを経て起き上がりましょう。こわばりや痛みが続く場合は、医療機関への相談をおすすめします。

まとめ|起き上がりは「コツで楽になる」生活動作

起き上がりがつらいのは、力不足だけが理由ではありません。仰向けから直接起きる「やり方」に無理があるのです。

横向きを経て、頭で弧を描く。このコツだけで、必要な力は大きく減ります。練習で、さらに楽になります。

一人での練習が不安なときは、専門家が隣で確認できる環境が安心です。動作の順番やクセを、その場で整えられます。

地味に思えても、一日の最初のこの動作を練習し直すことには意味があります。専門家と一対一で、無理のないペースで取り組めるからです。「自分で起きられる」が、毎日の始まりを支えていきます。

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免責事項

記事の目的と性質

本記事は、起き上がり動作に関する一般的な健康情報を提供することを目的としています。理学療法士の専門的視点から、科学的根拠に基づいた情報をわかりやすく解説していますが、以下の点にご注意ください。

本記事の限界

・個別診断の代替不可:本記事の情報は、あなた個人の症状や状態に対する診断・治療を提供するものではありません。

・医療行為ではない:記事内容は医療行為や医学的助言ではなく、一般的な情報提供です。

・自己判断のリスク:本記事の情報のみに基づく自己判断や自己治療は、症状の悪化や健康被害につながる可能性があります。

医療機関受診の推奨

以下の場合は、必ず医療機関を受診してください:痛みや不調が続いている場合、症状が悪化している場合、日常生活に支障が出ている場合、持病や既往歴がある場合。

情報の正確性について

本記事は2026年6月時点の最新情報に基づいて作成されており、信頼できる医学的根拠や公的ガイドラインを参照しています。医学・医療情報は常に更新されるため、将来的に内容が変更される可能性があります。

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参考文献

1. 福祉医療機構. 起き上がり動作(WAM NET 介護技術). 福祉医療機構.

2. 厚生労働省. 2022年国民生活基礎調査の概況. 厚生労働省, 2023.

3. 長寿科学振興財団. 高齢者の住宅内の事故(健康長寿ネット). 2024.

4. 政府広報オンライン. 転倒事故の起こりやすい箇所. 内閣府.

5. 内閣府. 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査. 内閣府.

6. 日本排尿機能学会・日本泌尿器科学会. 夜間頻尿診療ガイドライン[第2版]. 2020.


執筆者情報

本記事は、リペアルポ(大阪市福島区)の理学療法士が監修・執筆しました。脳卒中・神経疾患・痛みのリハビリに加え、起き上がりや移乗などの生活動作の練習を、完全マンツーマンで提供しています。

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