「1日1万歩歩かないと健康になれない?」
「歩数計を見て、目標に届かず落ち込んでしまう」
「忙しくて、そんなに歩く時間がない…」
もしこんな悩みを抱えているなら、この記事を読んでみてください!
実は、健康維持のために必ずしも1万歩は必要ないんです。
最新の研究では、もっと現実的な歩数でも十分な健康効果が得られることが分かってきました。
あなただけではありません
厚生労働省の令和元年「国民健康・栄養調査」によると、日本人の1日あたりの平均歩数は、
男性:6,793歩
女性:5,832歩
つまり、多くの方が「1日1万歩」という目標には届いていないのが現状です。
「もっと歩かないと…」と思いながらも、仕事や家事、育児で忙しく、なかなか時間が取れない方は少なくありません。でも、安心してください。
最新の研究では、7,000〜8,000歩程度でも十分な健康効果が得られることが明らかになっています。
「1日1万歩」の真実
💡 知っていますか?
「1日1万歩」という目標、実は科学的根拠から生まれたものではないんです。ハーバード大学の研究者によると、この数字は1960年代に日本の歩数計メーカーが「万歩計」という商品名をつけたことから広まったとされています。音の響きが良く、覚えやすい数字だったため、いつの間にか健康の目標値として定着しました。
では、科学的にはどれくらいの歩数が健康維持に必要なのでしょうか。
最新研究が示す「本当に必要な歩数」
7,000歩で十分な健康効果
2025年に発表されたシドニー大学などの大規模研究では、10カ国以上・16万人以上のデータを分析した結果、以下のことが明らかになりました。
1日7,000歩で得られる健康効果
✓ 全死因死亡リスクが47%低下
✓ 心血管疾患死亡リスクが47%低下
✓ がん死亡リスクが37%低下
✓ 認知症リスクが38%低下
✓ うつ症状リスクが22%低下
✓ 2型糖尿病リスクが14%低下
これは、1日2,000歩の人と比較した数値です。
7,500歩を超えると効果は横ばいに
興味深いことに、歩数が増えるほど健康効果が高まるわけではありません。
2019年の高齢女性を対象とした研究では、1日約7,500歩で健康効果が最大になり、それ以上歩いても大きな追加効果は見られませんでした。
つまり、無理に1万歩を目指さなくても、7,000〜8,000歩で十分な健康効果が得られるのです。
厚生労働省の最新ガイドライン(2023年)
日本でも、厚生労働省が2023年に発表した「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」で、歩数の目標が見直されました。
👤 成人(18〜64歳)
目標歩数:8,000歩以上/日
働き盛りの世代は、生活習慣病予防のために1日8,000歩が推奨されています。
👴 高齢者(65歳以上)
目標歩数:6,000歩以上/日
身体機能の低下を防ぎ、自立した生活を維持するために、無理のない範囲で6,000歩を目標とします。
疾患別の予防歩数
東京都健康長寿医療センターの青柳幸利氏による「中之条研究」では、65歳以上の住民を10年以上追跡調査し、疾患ごとに必要な歩数が明らかになりました。
病気を防ぐための歩数の目安
✓ 5,000歩(うち速歩き7.5分)
→ 心疾患、脳卒中、認知症、要支援・要介護の予防
✓ 7,000歩(うち速歩き15分)
→ 骨粗しょう症、動脈硬化、がんの予防
✓ 8,000歩(うち速歩き20分)
→ 高血圧症、糖尿病、脂質異常症の予防
✓ 10,000歩(うち速歩き30分)
→ メタボリックシンドロームの予防
(出典:青柳幸利「健康長寿を実現する至適身体活動パターンの解明」)
重要なポイント
単に歩数を増やすだけでなく、「うち〇分は速歩き」という「質」が大切です。
歩きすぎにも注意が必要
⚠️ 1万歩以上は「やりすぎ」の可能性
中之条研究では、1万歩以上の歩行には以下のリスクがあることも指摘されています。
- 疲労の蓄積
- 免疫機能の低下
- 病気になりやすくなる可能性
また、過度な歩行は、
- 膝や腰への負担増加
- 関節の痛み
- 足のトラブル(外反母趾、魚の目など)
を引き起こすこともあります。
「多ければ多いほど良い」わけではないのです。
歩数よりも大切なこと
リハビリテーション現場で多くの方を見てきて感じるのは、歩数そのものよりも「継続すること」と「質を高めること」が大切だということです。
完璧を目指さなくて良い
「今日は7,000歩届かなかった…」と落ち込む必要はありません。
2023年の研究では、週1〜2日だけ8,000歩以上歩いた人でも、週3日以上定期的に歩いた人とほぼ同じ死亡リスクの減少効果があったことが示されています。
つまり、平日に歩けなくても、週末にしっかり歩けば効果があるということです。
「質」が重要:中強度の運動を含める
ただダラダラ歩くのではなく、「うっすら汗ばむ程度の速歩き」を1日20分程度含めることで、健康効果は大きく高まります。
中強度の歩行
- 大股で力強く歩く
- うっすら汗ばむ程度の速さ
- 何とか会話ができる程度
このような歩き方を意識するだけで、同じ歩数でも効果が変わってきます。
日常生活の中で歩数を稼ぐ
「ウォーキングのための時間を作らなければ」と気負う必要はありません。現場でよくお伝えするのは、
- 通勤時に一駅手前で降りる
- 階段を使う
- 車を少し遠めの駐車場に停める
- 昼休みに5〜10分散歩する
こうした日常の工夫だけでも、十分に歩数を増やせます。焦らず、ご自身のペースで。できることから始めてみてください。
年齢別・目的別の推奨歩数まとめ
👶 18〜64歳(成人)
基本目標:8,000歩/日
生活習慣病予防、体力維持のために。通勤や日常生活の中で8,000歩を目指しましょう。
👴 65歳以上(高齢者)
基本目標:6,000歩/日
身体機能維持、フレイル予防のために。無理のない範囲で、安全に歩くことを優先します。
💪 メタボ予防
目標:10,000歩/日
うち速歩き30分
体重管理、内臓脂肪減少を目指す方向け。ただし、膝や腰に問題がある場合は要注意。
🏥 持病がある方
目標:主治医と相談
心血管疾患、糖尿病、関節疾患などがある場合は、必ず医師に相談してから目標を設定しましょう。
効果的な歩き方の5つのポイント
1. 正しい姿勢で歩く
✓ 顎を軽く引き、まっすぐ前を向く
✓ 背筋を伸ばす
✓ 肩の力を抜く
✓ 腕を自然に振る
2. かかとから着地
✓ かかとから地面につける
✓ 親指の付け根に重心を移動
✓ つま先で地面を蹴る
3. 大股で歩く
✓ いつもより少し歩幅を広げる
✓ 股関節から脚を動かす意識
✓ 膝を伸ばして歩く
4. 速歩きを取り入れる
✓ 1日20分程度は速歩きに
✓ うっすら汗ばむ程度の速さ
✓ 会話ができるくらいのペース
5. 継続を優先する
✓ 毎日完璧を目指さない
✓ 週2〜3回でも効果あり
✓ 日常生活の中で歩数を稼ぐ
よくあるご質問
Q1. 1日1万歩達成できないのですが、意味がありませんか?
A. いいえ、そんなことはありません。
最新の研究では、7,000〜8,000歩でも十分な健康効果が得られることが示されています。また、4,000歩から効果が出始めるという研究もあります。
重要なのは、完璧を目指すことより、今より少しでも歩数を増やすことです。
- 今日3,000歩なら→4,000歩を目指す
- 今日5,000歩なら→6,000歩を目指す
こうした小さな積み重ねが、健康につながります。
Q2. 歩く時間帯はいつが良いですか?
A. 基本的に、いつ歩いても効果はあります。
2025年の研究でも、「歩く時間帯や場所はあまり関係なかった」という結果が出ています。
おすすめの時間帯
- 朝: 1日の活動をスタートさせ、代謝を上げる
- 昼: 食後の血糖値上昇を抑える効果
- 夕方: 夕食前の運動で食欲調整
- 夜: ストレス解消、睡眠の質向上(ただし就寝2時間前までに)
ご自身のライフスタイルに合わせて、続けやすい時間帯を選びましょう。
Q3. 雨の日や暑い日はどうすれば良いですか?
A. 無理に外を歩く必要はありません。
室内でできる工夫
- 室内での足踏み運動
- ショッピングモールでウォーキング
- 階段の昇り降り
- 家事を意識的に行う(掃除機がけ、雑巾がけなど)
暑い日・寒い日の対策
- 早朝や夕方の涼しい時間帯を選ぶ
- 室内施設を活用する
- こまめな水分補給
- 体調を最優先に、無理はしない
Q4. 歩数計は必要ですか?
A. 必須ではありませんが、あると便利です。
歩数計のメリット
- 自分の歩数を「見える化」できる
- 目標達成の実感が得られる
- モチベーション維持につながる
スマートフォンにも歩数計機能が標準で付いていることが多いので、まずはそれを活用してみましょう。
Q5. 持病があるのですが、歩いても大丈夫ですか?
A. 必ず主治医に相談してから始めてください。
特に以下の場合は要注意
- 心血管疾患(心臓病、狭心症など)
- 重度の高血圧
- 糖尿病(低血糖リスク)
- 変形性膝関節症など整形外科的疾患
- 骨粗しょう症
医師の許可を得た上で、ご自身の体調に合わせた歩数目標を設定しましょう。
Q6. 高齢の親にも歩くよう勧めたいのですが…
A. 高齢者には、安全第一で無理のない範囲で勧めましょう。
高齢者の歩行で注意すること
- 転倒リスクに配慮(平らな道を選ぶ)
- 適切な靴を履く(滑り止め、衝撃吸収性)
- 暑さ・寒さ対策をしっかり
- 水分補給をこまめに
- 体調不良時は無理しない
まずは1日10分の散歩から始め、徐々に時間を延ばしていくのがおすすめです。
⚠️ こんな時は歩くのを控えましょう
以下のような場合は、無理に歩かず休養を優先してください。
【チェックリスト】
⚠ 発熱がある
⚠ 強い痛みがある(胸痛、腹痛、関節痛など)
⚠ めまい、ふらつきがある
⚠ 極端に体調が悪い
⚠ 猛暑日・酷暑日(熱中症リスク)
⚠ 悪天候(台風、大雨、雪など)
⚠ 医師から運動制限を受けている
「今日は休む」という選択も大切です。体調を最優先に、無理のない範囲で続けましょう。
まとめ
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。この記事では、1日の理想的な歩数について、最新の研究をもとにお伝えしてきました。
この記事の要点
【チェックリスト】
✓ 「1日1万歩」は必ずしも必要ない
✓ 7,000〜8,000歩で十分な健康効果が得られる
✓ 4,000歩から効果が出始める
✓ 厚生労働省の最新ガイドライン:成人8,000歩、高齢者6,000歩
✓ 7,000歩で糖尿病、心血管疾患、がん、認知症、うつのリスク軽減
✓ 1万歩以上は「やりすぎ」で免疫機能低下のリスクも
✓ 歩数だけでなく「質」(速歩きを20分含む)が重要
✓ 週1〜2日でも効果あり、完璧を目指さなくて良い
✓ 日常生活の中で歩数を稼ぐ工夫を
大切なのは、完璧を目指さないこと
「1日1万歩達成できなかった…」と落ち込む必要はありません。
今より少しでも歩数を増やすこと。
週に数回でも意識的に歩くこと。
日常の中で階段を使ったり、少し遠回りしたりすること。
そんな小さな積み重ねが、健康につながります。
体は、適度な運動に応えてくれます
7,000歩という目標は、多くの方にとって現実的で、続けやすい数字です。
無理なく、ご自身のペースで。
できることから始めてみてください。
歩くことは、お金もかからず、特別な道具も必要ありません。
今日から、あなたの健康づくりを始めましょう。
ご注意いただきたいこと
- 持病がある方は、必ず医師に相談してから始めてください
- 体調不良時は無理をせず、休養を優先してください
- 効果には個人差があります
- この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療相談に代わるものではありません
📚 参考文献
- Ding D, et al. Association of daily step count and intensity with incident disease and mortality: a prospective cohort study in 163,150 adults. Lancet Public Health. 2025.
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- Paluch AE, et al. Daily steps and all-cause mortality: a meta-analysis of 15 international cohorts. Lancet Public Health. 2022;7(3):e219-e228.
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- 健康長寿ネット. 高齢者に適したウォーキングとは. Available from: https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shintai-training/koureisha-walking.html [Accessed 2025-11-21]
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- 健康日本21(第三次)における身体活動・運動の目標. e-ヘルスネット. Available from: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-00-001.html [Accessed 2025-11-21]
執筆者情報
理学療法士
専門分野:運動器リハビリテーション、高齢者リハビリテーション、健康増進
免責事項
本記事は医学的知識に基づいて作成されていますが、個別の医療相談に代わるものではありません。健康状態に不安がある場合や、持病をお持ちの方は、必ず医師にご相談ください。