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脳卒中後のリハビリ:回復のタイムラインと効果的な運動法


脳卒中は、ある日突然私たちの生活を大きく変えてしまう疾患です。
しかし、適切なリハビリテーションを行うことで、失われた機能の回復や、残された機能を最大限に活用した生活を送ることが可能になります。
現在、脳卒中リハビリの分野では革新的な技術が次々と登場し、従来では困難とされていた重度の運動障害に対しても、新しい希望の光が差し始めています。
本コラムでは、脳卒中後のリハビリについて、これまでの常識を覆す最新の研究成果と効果的な運動法をわかりやすくご紹介いたします。

リハビリは「やればやるほど良い」というものではありません。
適切な時期に、適切な方法で行うことが何より重要です。
そして、6ヶ月で回復が止まるという従来の考え方も、最新の研究により見直されています。
一人ひとりの状態に合わせた個別のアプローチこそが、真の回復への道筋となるのです。

脳卒中リハビリの基本的な理解

脳卒中とは何か

脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで起こる疾患の総称です。
血管が詰まる「脳梗塞」、血管が破れる「脳出血」、脳動脈瘤が破裂する「くも膜下出血」の3つに大きく分けられます。
どのタイプの脳卒中でも、脳の特定の部分に酸素や栄養が行き渡らなくなることで、その部分が担っていた機能に障害が現れます。
運動を司る部分が損傷すれば手足の麻痺が、言語を司る部分が損傷すれば話すことや理解することが困難になります。

リハビリテーションの本当の意味

リハビリテーション(rehabilitation)という言葉は、「再び適応する」という意味を持ちます。
つまり、脳卒中によって変化した身体の状態に適応し、その人らしい生活を再び送れるようになることが真の目的なのです。
この過程では、3つの重要なアプローチが組み合わされます。
 機能回復   :損傷を受けた機能そのものの改善を目指す
 代償手段の獲得:残された機能を最大限活用する方法を身につける
 環境整備   :生活環境を整えて、より安全で快適な生活を実現する

回復のタイムライン 3つの時期とその特徴

急性期(発症~1ヶ月):早期介入の重要性

⚫︎急性期の特徴
急性期は、脳卒中が発症してから約1ヶ月間の時期です。
この時期の最も重要なポイントは、発症から48時間以内、できれば3日以内にリハビリを開始することです。
従来は「安静にしていた方が良い」と考えられていましたが、現在では早期からのリハビリが強く推奨されています。
これは早期にリハビリを始めることで、誤嚥性肺炎などの合併症を予防し、死亡リスクを下げることが統計的に明らかになったためです。

⚫︎急性期で行われる主なリハビリ
  廃用症候群の予防:長期間動かないことで起こる筋力低下や関節の硬化を防ぐ
  基本動作の練習 :寝返り、起き上がり、座る、立つなどの基本的な動作
  日常生活動作訓練:食事、着替え、トイレなどの自立を目指す
  摂食・嚥下訓練 :安全に食べ物を飲み込めるようにする練習

回復期(1~6ヶ月):機能回復の黄金期

⚫︎回復期の特徴
回復期は、最も機能回復が期待できる重要な時期です。
この時期には、脳の「神経可塑性」と呼ばれる、損傷を受けた脳が新しい神経回路を作り直そうとする働きが最も活発になります。

⚫︎回復期で重視される訓練
  歩行訓練  :バランス感覚の向上と安全な歩行の獲得
  上肢機能訓練:手や腕の細かな動作の改善
  応用動作訓練:より複雑な日常生活動作の習得
  社会復帰訓練:職場復帰や運転などの社会参加に向けた準備

慢性期(6ヶ月以降):新たな希望

⚫︎従来の誤解と最新の知見
これまで「脳卒中の回復は6ヶ月で頭打ちになる」と言われてきましたが、最新の研究では、適切で継続的な治療介入により、6ヶ月を超えても1年を超えても運動機能の回復が継続することが明らかになっています。

⚫︎慢性期リハビリの重要なポイント
  継続的な神経可塑性:脳の再配線能力は慢性期でも継続している
  個別のアプローチ :一人ひとりの状態に合わせた専門的な訓練
  生活習慣の改善  :健康維持と再発予防のための包括的なケア

最新技術を活用した革新的なリハビリ法

再生医療:革新的な治療アプローチ

近年、脳卒中治療において注目を集めているのが、再生医療とリハビリテーションを組み合わせたアプローチです。再生医療では、幹細胞治療を用いて、損傷を受けた脳組織の修復・再生を促進します。

⚫︎再生医療併用のメリット
再生医療とリハビリの併用により、以下のような相乗効果が期待されています。
 神経再生の促進:幹細胞が損傷部位の修復を助けながら、リハビリが新しい神経回路の形成を促進
 炎症の抑制  :再生医療による抗炎症効果により、リハビリの効果がより発揮されやすい環境を作る
 回復期間の短縮:両方のアプローチを同時に行うことで、より効率的な機能回復が期待できる

⚫︎治療の流れ
再生医療併用リハビリでは、通常以下のような流れで治療が進められます。
 ①詳細な機能評価(現在の状態を正確に把握)
 ②再生医療の実施(幹細胞投与を実施)
 ③集中的なリハビリ(再生医療の効果を最大化するタイミングでのリハビリ)
 ④継続的なモニタリング(回復状況に応じた治療計画の調整)

ロボット支援リハビリ:正確で安全な訓練

ロボット支援リハビリは、急性期・回復期の重度運動障害に有効なリハビリとして、ロボットアシストトレーニングが報告されています。
ロボットというと大型の機械をイメージしがちですが、実際は補助具のような装置も含まれ、患者さんの動きをサポートしながら正確で安全な訓練を可能にします。

⚫︎主な種類と効果
 歩行支援ロボット  :脚の動きをサポートし、正しい歩行パターンを学習
 上肢訓練ロボット  :手や腕の細かな動作を繰り返し練習
 バランス訓練ロボット:転倒リスクを軽減しながら安全にバランス感覚を向上

バーチャルリアリティ(VR):楽しみながら効果的に

バーチャル・リアリティを使ったリハビリを1回あたり60分、週3回、6週間行うことによって運動機能が向上したという研究結果が報告されています。
VRリハビリの最大の特徴は、患者さんが楽しみながら訓練に取り組めることです。
ゲーム感覚で行えるため、モチベーションを維持しやすく、継続的な訓練が可能になります。

電気刺激療法:筋肉と神経の協調を改善

⚫︎電気刺激の種類と効果
 ①神経筋電気刺激(NMES)
 ②経皮的電気刺激(TENS)
 ③筋電トリガー式電気刺激
脳卒中リハビリで使われる電気刺激は、基本的にこれらの3つに大別されます。
特に注目されているのが筋電トリガー式電気刺激で、手を動かそうとするときに発生する筋電をトリガーにして電気刺激を与え、『自分が動かそうとしたときにアシストするように電気が入る』というシチュエーションを作り出します。

効果的な運動法とセルフケア

基本的な運動の原則

リハビリを行う際は、安全性を最優先に考えることが何より重要です。
運動を始める前には必ず血圧や体調を確認し、その日の状態に応じて運動の強度や時間を調整しましょう。
また、転倒防止のために周囲に危険なものがないか確認し、必要に応じて手すりやマットを準備することも大切です。
何より大切なのは、無理のない範囲で実施し、専門家の指導に基づいた内容を心がけることです。

関節可動域運動(ROM運動)の実践

関節が固くなることを防ぐため、ゆっくりとした動作で関節を動かす運動を行います。
肩の運動では、腕を前後や左右にゆっくりと動かしながら、痛みのない範囲で可動域を広げていきます。
肘については、曲げ伸ばしを繰り返すことで、日常生活で必要な動作を維持できます。
手首は回転運動と曲げ伸ばしを組み合わせることで、物を握ったり離したりする動作の改善につながります。
足首の運動では、上下の動きと回転運動を行うことで、歩行時のバランス向上に役立ちます。

筋力強化運動の取り組み方

筋力強化は、無理のない範囲で継続的に行うことが重要です。
まず椅子に座った状態(座位)での運動から始めることをお勧めします。
座位で膝の曲げ伸ばしを行うことで、太ももの筋肉を鍛えながら安全に運動できます。
体調が安定してきたら、手すりを持ちながらの足踏み運動に進むことで、より実用的な筋力を養うことができます。
さらに、タオルやゴムバンドを使った軽い抵抗運動を取り入れることで、日常生活に必要な筋力を効率的に鍛えることが可能です。

バランス訓練で転倒を予防

転倒予防と歩行安定性の向上を目的として、段階的にバランス訓練を行います。
最初は手すりを持ちながらの片足立ちの練習から始めて、徐々に安定性を高めていきます。
次に重心移動の練習を取り入れることで、立ち上がりや歩き始めの動作が安定します。
最終的には歩行時の方向転換の練習を行うことで、日常生活での安全性が大幅に向上します。

動作の工夫で生活の質を向上

脳卒中後の日常生活では、さまざまな工夫により活動の幅を広げることができます。
麻痺のない手(非麻痺側)の使い方を練習することで、これまで両手で行っていた動作を片手でも効率的に行えるようになります。
また、自助具と呼ばれる専用の道具を活用することで、着替えや食事などの動作が格段に簡単になります。
住環境においても、手すりの設置や滑り止めマットの活用により、安全で快適な生活空間を作り出すことができます。
これらの工夫は、単に動作を楽にするだけでなく、自立した生活への自信にもつながる重要な要素です。

自費リハビリの価値と選択のポイント

保険診療で受けられるリハビリには時間的な制限や回数の上限などがあります。
また、訪問で受けているリハビリやデイサービスになどによるリハビリでは十分な設備が整っておらず、効果的なリハビリが受けられない場合があります。
そこで注目なのが自費で行われているリハビリです。
自費リハビリでは、保険を使ったリハビリでは受けられないワンランク上のサービスを体感することができます。

個別対応の充実

自費リハビリの利点の1つは個別対応が可能であることです。
患者のニーズや目標に合わせて、リハビリを柔軟に調整することができます。
保険診療では制限のある時間や頻度でも、自費であれば必要に応じて集中的に取り組むことが可能です。

待ち時間の短縮

公的な医療機関とは異なり待ち時間が少なく、施設やプログラムの利用がスムーズに行えるため、継続的なリハビリを受けやすい環境が整っています。

施設選択のポイント

専門性の確認
・脳卒中リハビリの専門資格を持つスタッフの在籍
・最新機器や技術の導入状況
・個別プログラムの充実度

安全管理体制
・医療的なリスク管理の徹底
・緊急時の対応体制
・定期的な機能評価の実施

継続性とサポート
・自宅でのリハビリサポート
・家族への指導体制
・長期的なフォローアップ体制

まとめ:希望を持って取り組むリハビリ

脳卒中後のリハビリは、単なる機能訓練ではありません。
その人らしい生活を取り戻すための大切な取り組みです。
最新の研究により、脳卒中生存者とその家族にとって、慢性期であっても希望があることを意味します。
進歩が遅いからといって、あきらめたり、落胆したりしないことが重要です。
リペアルポでは実際の浴室やトイレを使ったリハビリが行え、より自宅に近い環境でリハビリに取り組んでいただくことができます。

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