プールで行う運動まとめ【2026年版】理学療法士が解説する水中エクササイズの効果と実践法
2026.02.23
リハビリ
「運動したいけど、膝が痛くて…」 「ジョギングは続かなかったんだよね」
こんな悩み、ありませんか?
実は、プールでの運動は「陸上での運動が難しい」という方にこそおすすめなんです。水の中という特別な環境が、体に優しく、それでいて高い運動効果をもたらしてくれます。
本記事では、プールで行う運動について、理学療法士の視点からわかりやすく解説します。2026年最新の研究データも含めてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
プール運動が注目される理由
厚生労働省が2024年1月に公表した「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、高齢者が安全に楽しめる軽スポーツのひとつとして、水泳・水中歩行・水中ダンスが推奨されています。
近年、フィットネスクラブや公営プールでも、水中運動のプログラムが充実してきました。年齢や体力に関係なく、誰でも取り組みやすいことが人気の理由です。
水の4つの特性がすごい
プール運動が「体に優しいのに効果的」なのは、水ならではの4つの特性があるからです。
1. 浮力:体が軽くなる魔法
水中に入ると、体が浮きますよね。これが「浮力」です。
肩まで水に浸かると、なんと体重が約10分の1になるんです。体重60kgの方なら、水中では6kg程度の負担しか関節にかかりません。
これにより、膝や腰への負担が大幅に軽減されます。陸上でジャンプすると、着地の瞬間に膝には体重の2〜3倍もの負荷がかかりますが、水中ではその衝撃をほとんど受けません。
「体重が気になって運動できない」「関節が痛くて動けない」という方でも、プールなら安心して体を動かせます。
2. 抵抗:効率よく鍛えられる
水の密度は、空気の約800倍もあります。
そのため、水中で体を動かすと、空気中よりもはるかに大きな抵抗を受けます。普通に歩いているだけでも、かなりの運動量になるんです。
しかも、動きが速ければ抵抗も大きくなり、ゆっくり動かせば抵抗は小さくなります。つまり、自分の体力に合わせて負荷を調整できるということです。
「自分のペースで無理なく」が実現できるのが、プール運動の大きな魅力です。
3. 水圧:血流改善と呼吸筋強化
水中に立っていると、全身に水圧がかかります。特に足元には強い圧力がかかるため、血液が心臓に戻りやすくなります。
これにより血液循環が改善され、むくみの解消にもつながります。まるで天然のマッサージを受けているような効果です。
また、胸部にかかる水圧により、自然と腹式呼吸になります。これが呼吸筋を鍛え、呼吸機能の向上につながるんです。
4. 水温:カロリー消費アップ
プールの水温は、一般的に29〜31℃程度に設定されています。これは体温より少し低い温度です。
水中にいると、体温を維持しようと体がエネルギーを使います。つまり、水に入っているだけでカロリーを消費しているということです。
さらに、水は空気よりも熱を伝えやすいため、運動によって上昇した体温を適度に冷ましてくれます。そのため、長時間の運動も続けやすいんです。
プール運動の具体的な効果
では、プールでの運動には、具体的にどんな効果があるのでしょうか。
ダイエット効果が高い
2025年に医学誌「BMJ Open」に掲載された最新の研究によると、水中運動を10週間以上継続した場合、体重とウエスト周囲径(お腹周り)の明確な減少が確認されました。
特に女性や45歳以上の中高年層では、より大きな効果が見られたそうです。
水の抵抗により、陸上で同じ運動をした場合の約1.5倍のカロリーを消費できることも、ダイエット効果が高い理由です。
全身の筋力アップ
水中での運動は、全身の筋肉をバランスよく使います。
歩くだけでも、水の抵抗に対抗するために、腕、脚、腹部、背中など、普段使いにくい筋肉まで動員されます。
筋肉量が増えると基礎代謝が向上し、日常生活でも自然とカロリーが消費されやすい体になります。
心肺機能の向上
水圧により、呼吸筋が鍛えられます。また、有酸素運動として継続することで、心臓と肺の働きが強化されます。
これにより、持久力がつき、疲れにくい体になります。
リラックス・ストレス解消
水に浮かんでいると、重力から解放され、筋肉の緊張がほぐれます。
また、一定のリズムで体を動かす運動は、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌を促すといわれています。
プールは、体だけでなく心にも良い影響を与えてくれるんです。
プールでできる運動の種類
プール運動には、いくつかの種類があります。自分の体力や目的に合わせて選びましょう。
水中ウォーキング(初心者向け)
どんな運動? その名の通り、水中を歩く運動です。泳げない方でも気軽に始められます。
やり方のポイント
- 背筋をまっすぐ伸ばし、やや前傾姿勢
- 膝を高く上げるように意識
- 足の裏全体で踏みしめて前へ進む
- 肘を軽く曲げて大きく腕を振る
慣れてきたら、横歩き、後ろ歩き、大股歩きなど、バリエーションを加えてみましょう。
おすすめ頻度 週2〜3回、1回20〜30分から始めて、徐々に時間を延ばしていきます。
アクアビクス(中級者向け)
どんな運動? 音楽に合わせて水中で体を動かすダンスエクササイズです。
水中ウォーキングよりも運動強度が高く、全身をバランスよく鍛えられます。ジャンプや腕を使った動きも加わります。
おすすめの方
- 水中ウォーキングに慣れてきた方
- 楽しみながら運動したい方
- 仲間と一緒に続けたい方
多くのプールでは、インストラクター付きの教室が開催されています。
水中筋トレ
どんな運動? 水の抵抗を利用した筋力トレーニングです。
スクワット、腕の上げ下げ、足の蹴り出しなど、単純な動きでも水中では負荷が大きくなります。
体幹の強化にも効果的です。
水泳(泳げる方向け)
クロール・背泳ぎ・平泳ぎ 泳げる方は、もちろん泳ぐのもおすすめです。
泳法により使う筋肉が変わるため、いろいろな泳ぎ方を組み合わせると、より全身を鍛えられます。
長時間泳ぎ続けられるなら、高い有酸素運動効果が期待できます。
プール運動の効果を高めるコツ
せっかくプールで運動するなら、効果を最大限に引き出したいですよね。
継続が最も大切
前述の研究でも、10週間以上継続した場合に効果が明確に現れています。
短期間では効果が出にくいため、最低でも2〜3ヶ月は続けてみましょう。
週2〜3回、1回30〜60分が目安
多くの研究では、週3回、1回60分程度の頻度で実施されています。
ただし、最初から無理をする必要はありません。週2回、1回30分から始めて、徐々に増やしていきましょう。
ウォーミングアップとクールダウンを忘れずに
ウォーミングアップ プールサイドで軽くストレッチをして、関節を動かします。水中でも、最初はゆっくりとした動きから始めましょう。
クールダウン 運動後は、水中で肩や太もも、ふくらはぎなどの筋肉をゆっくり伸ばします。急に水から上がらず、階段を使ってゆっくりと上がりましょう。
プール運動の注意点とリスク
どんな運動にも注意点はあります。安全に続けるために、以下の点に気をつけましょう。
運動前の体調チェック
以下のような症状がある場合は、その日の運動は中止しましょう。
- 熱がある
- 体調が悪い、だるい
- 前日飲酒して二日酔い
- 睡眠不足
- 食事直後(30分以内)
「いつもと違う」と感じたら、無理をしないことが大切です。
水温に注意
プールの水温が冷たすぎると、体が冷えすぎてしまいます。また、温かすぎると脱水症状のリスクがあります。
29〜31℃程度が適温とされていますが、施設によって異なります。体が冷えすぎたり、逆に暑すぎたりしたら、無理せず休憩しましょう。
疲れを感じたら休憩
水の抵抗があるため、思った以上にエネルギーを消費します。
疲労を感じたら、プールサイドで休憩を取りましょう。無理をして続けると、水から上がったときにめまいを起こすこともあります。
持病がある方は主治医に相談
心臓病、高血圧、糖尿病などの持病がある方、膝や腰に痛みがある方は、運動を始める前に主治医に相談しましょう。
個人の状態に合わせた運動の可否や注意点について、アドバイスを受けることが大切です。
感染症のリスク
プールは多くの人が利用する施設です。プール熱(咽頭結膜熱)などの感染症のリスクがゼロではありません。
利用前後のシャワー、うがい、手洗いをしっかり行いましょう。
よくあるご質問
Q1. 泳げなくてもプール運動はできますか?
A. はい、できます。
水中ウォーキングやアクアビクスは、泳げなくても問題ありません。背が立つ深さで行いますので、安心して取り組めます。
Q2. どれくらいの期間で効果が出ますか?
A. 個人差はありますが、10週間以上継続すると、体重やウエスト周囲径の変化が現れやすいという研究結果があります。
まずは2〜3ヶ月、続けてみましょう。
Q3. 週に何回くらいやればいいですか?
A. 週2〜3回、1回30〜60分が目安です。
最初は週2回、1回30分から始めて、慣れてきたら徐々に回数や時間を増やしていくのがおすすめです。
Q4. 高齢者でも大丈夫ですか?
A. プール運動は、高齢者にもおすすめです。
浮力により関節への負担が少ないため、安全に運動できます。ただし、持病がある方は事前に主治医に相談しましょう。
Q5. ダイエット目的なら、どの運動が効果的ですか?
A. 水中ウォーキングでも十分効果があります。
慣れてきたら、アクアビクスや水泳など、強度を上げていくとさらに効果的です。継続することが最も大切です。
まとめ
プールで行う運動の魅力と効果について、ご紹介しました。
この記事のポイント
✓ プール運動は膝・腰に優しく、効果は陸上運動の1.5倍 ✓ 水の4大特性(浮力・抵抗・水圧・水温)が効果を高める ✓ 2025年の研究で10週間以上の継続で効果が確認されている ✓ 泳げなくても水中ウォーキングから始められる ✓ 週2〜3回、1回30〜60分が目安 ✓ ダイエット、筋力アップ、心肺機能向上、リラックス効果が期待できる
今日からできること
「プール、行ってみようかな」
そう思ったら、まずは近くのプールを探してみませんか。
公営プールなら料金も手頃ですし、フィットネスクラブなら教室プログラムが充実しています。最初は見学から始めてもいいでしょう。
無理なく、楽しく、自分のペースで。 それがプール運動を続けるコツです。
専門家に相談するタイミング
もし運動を始める前に不安があれば、理学療法士などの専門家に相談してみましょう。
一人ひとりの体の状態に合わせた、適切なアドバイスを受けることができます。
📚 参考文献
- 厚生労働省. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023. 厚生労働省, 2024.
- Ding Z, Gao Z, Zhou H, et al. Effects of water aerobics on body composition in obesity and overweight people: a systematic review and meta-analysis. BMJ Open. 2025;15:e091743.
- 厚生労働省. 身体活動・運動 | 健康日本21. https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b2.html
- 厚生労働省. アクアエクササイズ | e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-071.html
- 健康長寿ネット. アクアエクササイズ(水中運動)の効果と方法. 公益財団法人長寿科学振興財団. https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shintai-training/aquabics.html
- オムロンヘルスケア. アクアサイズ(水中運動)の効用と注意点. https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/10.html
執筆者情報
理学療法士
本記事は、2026年1月時点の最新の文献・ガイドラインに基づいて作成しています。
免責事項
本記事の情報は一般的な内容です。個人の状態により適切な方法は異なります。
持病のある方、運動制限のある方は、医師にご相談ください。
症状が改善しない場合や悪化する場合は、速やかに医療機関を受診してください。