その腰痛、仕事のせいかも?職業病の正体とリハビリで治す方法【2026年版】
2026.02.02
健康について
「最近、腰が痛くて…仕事のせいかな?」 「デスクワークで肩がガチガチ…これって職業病?」
こんな悩み、ありませんか?
実は、職業病って特殊な仕事だけの話ではありません。デスクワーク、立ち仕事、介護や医療の現場—どんな職場でも、誰にでも起こりうるんです。
本記事では、職業病の実態と予防法について、理学療法士の視点からわかりやすく解説します。2026年最新の情報と、日常で活かせる実践法もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
職業病ってどんなもの?
職業病の定義
職業病とは、労働条件や環境など、業務の中で発生する病気やケガのことです。
厚生労働省の職業病リストでは、大きく7つに分類されています。
職業病の主な分類
- 業務上の負傷に起因する疾病
- 物理的因子による疾病(熱中症など)
- 身体に過度の負担がかかる作業による疾病(腰痛など)
- 化学物質による疾病
- じん肺症
- 細菌・ウイルスによる疾病
- がん原性物質による疾病
この中で、私たちに最も身近なのが「身体に過度の負担がかかる作業による疾病」、つまり腰痛です。
職業病は増えているの?
令和5年(2023年)の労働災害発生状況によると、業務上疾病の主な原因は以下の通りです。
業務上疾病の主な原因
- 転倒
- 動作の反動・無理な動作
- 墜落・転落
これらが全体の半数以上を占めています。
そして驚くべきことに、業務上疾病の約6割が腰痛なんです。
理学療法士の視点:職業病は「気づき」が大切
理学療法士として多くの方を見てきて感じるのは、職業病の多くは「気づいたときには悪化している」ということです。
「ちょっと痛いけど、まあ大丈夫」 「疲れているだけだから、休めば治る」
そう思って我慢しているうちに、慢性化してしまうケースが本当に多いんです。
だからこそ、職業病について知り、早めに対処することが大切です。
職業病の代表格:腰痛
腰痛が圧倒的に多い理由
業務上疾病の約6割を占める腰痛。なぜこんなに多いのでしょうか?
腰痛が起こりやすい業種
| 業種 | 腰痛の割合 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 保健衛生業(医療・介護) | 81% | 患者・利用者の移乗介助 |
| 運送業 | 高い | 重い荷物の運搬 |
| 製造業 | 中程度 | 長時間の立ち作業 |
| 事務職 | 増加傾向 | 長時間の座位姿勢 |
特に医療・介護分野では、業務上疾病の81%が腰痛という調査結果があります。
どうして腰痛になるの?
腰痛の原因は、大きく4つに分けられます。
1. 動作要因
- 重い物を持ち上げる
- 中腰での作業
- 前かがみの姿勢
- 身体をひねる動作
2. 環境要因
- 狭い作業スペース
- 床の段差
- 不適切な作業台の高さ
3. 個人的要因
- 筋力不足
- 柔軟性の低下
- 肥満
- 過去の腰痛歴
4. 心理・社会的要因
- 仕事への不満
- 職場の人間関係
- 過度な長時間労働
- 心理的ストレス
最近の研究では、この心理・社会的要因が注目されています。
ストレスの高い職場では腰痛の発生率も高く、痛みも強くなる傾向があるんです。
理学療法士の視点:腰痛は複合的な問題
理学療法士として腰痛の方を見ていると、原因は一つではないことがほとんどです。
例えば、介護職の方の腰痛。
移乗介助という「動作要因」だけでなく、人手不足による「長時間労働」、利用者対応での「心理的ストレス」など、複数の要因が重なっています。
だからこそ、予防も対処も、一つの方法だけでなく、多角的なアプローチが必要なんです。
職場でできる腰痛予防
基本の予防3原則
腰痛予防の基本は、以下の3つです。
1. 正しい姿勢・動作
- 重い物を持つときは、膝を曲げて腰を落とす
- 物を身体に近づけてから持ち上げる
- ひねりながら持ち上げない
2. 作業環境の改善
- 作業台の高さを調整する
- 十分な作業スペースを確保する
- 補助具を活用する
3. 適度な運動・ストレッチ
- 勤務前の軽いストレッチ
- 休憩時間の簡単な体操
- 定期的な筋力トレーニング
理学療法士おすすめ:勤務中にできる簡単ストレッチ
忙しい仕事の合間にできる、簡単なストレッチをご紹介します。
腰のストレッチ(30秒)
- 椅子に座る
- 背筋を伸ばす
- 左右にゆっくり身体をひねる
- 各方向10秒ずつキープ
背中のストレッチ(30秒)
- 椅子に座る
- 両手を組んで前に伸ばす
- 背中を丸めるように伸ばす
- 10秒キープ
これだけでも、腰や背中の緊張がほぐれます。
職場全体で取り組む腰痛予防
個人の努力だけでなく、職場全体での取り組みも大切です。
職場でできる取り組み
- 腰痛予防講習会の開催
- 作業環境のリスク評価
- 補助具・福祉用具の導入
- 作業ローテーションの工夫
実際、日本理学療法士協会では「職場における腰痛予防宣言!」という取り組みを毎年実施しています。
理学療法士が職場で腰痛予防の講習会を開いたり、作業環境の改善提案を行ったりしているんです。
意外と多い、その他の職業病
熱中症:夏の職場の大敵
腰痛に次いで注意が必要なのが、熱中症です。
2018年以降、職場での熱中症が多発する傾向が続いています。
熱中症が多い業種
- 建設業
- 製造業
- 警備業
- 農業
特に建設業では、熱中症による死亡災害の割合が高くなっています。
理学療法士の視点:熱中症予防のポイント
熱中症予防の基本は、以下の3つです。
- こまめな水分補給
- のどが渇く前に飲む
- 1時間に200〜250mlが目安
- 適切な休憩
- 涼しい場所で休む
- 30分ごとに短い休憩
- 体調管理
- 睡眠不足を避ける
- 朝食を必ず食べる
特に高年齢の方は、暑さを感じにくくなっているため、より注意が必要です。
メンタルヘルス:見えない職業病
最近、特に注目されているのが、職場でのメンタルヘルス不調です。
メンタルヘルス不調の実態
令和5年(2023年)の統計によると、自殺者のうち「勤務問題」が原因・動機となっているケースは2,875人(13.2%)。
また、定期健康診断を受けた方の有所見率は58.2%で、その中には心理的なストレスによる症状も含まれています。
理学療法士の視点:身体と心はつながっている
理学療法士として感じるのは、身体の不調と心の不調は密接につながっているということです。
慢性的な腰痛や肩こりがある方は、ストレスも抱えていることが多いんです。
逆に、適度な運動は、身体だけでなく心の健康にも良い影響を与えます。
できることから始めよう
- 軽い散歩(1日15分から)
- ストレッチ(朝晩5分ずつ)
- 深呼吸(休憩時間に)
小さなことでも、続けることで心身ともに楽になっていきます。
リハビリで職業病から回復する
リハビリって何をするの?
「リハビリ」と聞くと、病院で行う大がかりなものを想像するかもしれません。
でも実は、職業病のリハビリは、日常生活の中でできることがたくさんあるんです。
リハビリの3つの柱
- 運動療法
- ストレッチ
- 筋力トレーニング
- 体操
- 作業療法
- 動作の工夫
- 環境の調整
- 補助具の活用
- 生活指導
- 姿勢の改善
- 日常動作のアドバイス
- セルフケアの方法
理学療法士ができること
理学療法士は、運動と動作の専門家です。
理学療法士のサポート内容
- 痛みの原因を評価する
- 一人ひとりに合った運動を提案する
- 職場環境の改善をアドバイスする
- 正しい動作を指導する
例えば、腰痛の方には、腰痛の原因となっている動作を一緒に確認し、負担の少ない動き方を練習します。
専門家に相談するタイミング
以下のような症状があれば、早めに専門家に相談しましょう。
相談の目安
- 痛みが2週間以上続く
- 痛みが徐々に強くなる
- 日常生活に支障が出る
- 痛みで眠れない
- しびれや力が入りにくい
我慢して悪化させるより、早めの対処が大切です。
2025年からの新しい取り組み
高年齢労働者の労働災害防止
2025年5月、労働安全衛生法が改正されました。
高年齢労働者の労働災害防止に必要な措置が、事業者の努力義務となったんです。
主な内容
- エイジフリーガイドラインに基づく取り組み
- 体力チェックの実施
- 作業環境の改善
- 健康管理の強化
高齢になると、筋力や反応速度が低下します。
でも、適切な対策をすれば、年齢に関係なく安全に働き続けることができます。
日本理学療法士協会の取り組み
日本理学療法士協会では、毎年「職場における腰痛予防宣言!」を実施しています。
2025年も9月から、全国の理学療法士が所属施設で腰痛予防講習会を開催し、職場のリスク評価と改善提案を行っています。
こうした取り組みが、職場の健康づくりに役立っているんです。
よくあるご質問
Q1. 職業病かどうか、どうやって判断すればいい?
A. 以下のポイントを確認してみましょう。
- 仕事をしているときに症状が強くなる
- 休日に症状が軽くなる
- 同じ職場の人も同じような症状がある
- 特定の作業をすると痛みが出る
これらに当てはまる場合は、職業病の可能性があります。
Q2. 腰痛予防のために、毎日運動しないとダメ?
A. 毎日でなくても大丈夫です。
週2〜3回、各20〜30分程度の運動から始めてみましょう。
大切なのは「続けること」です。無理せず、できる範囲で構いません。
Q3. 職場に理学療法士はいないけど、どこに相談すればいい?
A. 以下の場所で相談できます。
- かかりつけ医
- 整形外科
- リハビリテーション科
- 地域のリハビリテーション施設
また、会社に産業医がいる場合は、産業医に相談するのも良いでしょう。
Q4. デスクワークでも職業病になりますか?
A. はい、なります。
長時間の座位姿勢は、腰痛、肩こり、眼精疲労などの原因になります。
1時間に一度は立ち上がって、軽く身体を動かすことをおすすめします。
Q5. 職業病の治療費は労災保険が使える?
A. 業務が原因で発症した疾病であれば、労災保険の対象となる可能性があります。
まずは会社や労働基準監督署に相談してみましょう。
まとめ
職業病について、理学療法士の視点から解説してきました。
この記事のポイント
✓ 職業病は誰にでも起こりうる:特殊な仕事だけではない ✓ 腰痛が約6割:保健衛生業では81%を占める ✓ 予防は多角的に:動作、環境、心理的要因すべてに配慮 ✓ 熱中症・メンタルヘルスにも注意:身体と心は密接につながっている ✓ 早めの対処が大切:我慢せず専門家に相談を
2025年からの新しい動き
高年齢労働者の労働災害防止が法制化され、誰もが安全に働き続けられる環境づくりが進んでいます。
また、理学療法士による職場での腰痛予防の取り組みも広がっています。
今日からできること
まずは、日常の中で意識してみませんか?
- 正しい姿勢を心がける
- 1時間に一度は身体を動かす
- 痛みや違和感を我慢しない
- 適度な運動習慣を持つ
小さなことから始めて、無理なく続けることが大切です。
専門家に相談するタイミング
もし不安なことがあれば、理学療法士などの専門家に相談してみましょう。
一人ひとりの身体の状態や仕事内容に合わせた、適切なアドバイスを受けることができます。
📚 参考文献
- 厚生労働省. 労働基準法施行規則別表第1の2(職業病リスト). 2025年6月12日現在.
- 厚生労働省. 労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律. 2025年5月14日公布.
- 厚生労働省. 令和5年(2023年)労働災害発生状況. 2024年5月27日公表.
- 全国労働安全衛生センター連絡会議. 日本の労働安全衛生をめぐる状況【2023年→2024年】. 2024年9月.
- 公益社団法人 日本理学療法士協会. 理学療法ハンドブック シリーズ3 腰痛 第2版. 2023.
- 公益社団法人 日本理学療法士協会. 2025 職場における腰痛予防宣言!. 2025.
- 日本リハビリテーション医学会. 腰痛のリハビリテーション. リハビリテーション医学. 2006; 43(10).
執筆者情報
理学療法士
本記事は、2026年1月の最新情報と科学的エビデンスに基づいて作成しています。
免責事項
本記事の情報は一般的な内容です。個人の状態により適切な方法は異なります。
持病のある方、症状が続く方は、医師にご相談ください。
症状が改善しない場合や悪化する場合は、速やかに医療機関を受診してください。