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忍者は本当に天井に張り付けたのか?身体能力を理学療法士が科学する

2026.02.06

未分類

忍者は本当に天井に張り付けたのか?身体能力を理学療法士が科学する

「天井に張り付いて、敵の動きを監視する」

「水の上を歩いて、堀を渡る」

「手裏剣を連続で投げて、敵を倒す」

こんな忍者の姿、映画やアニメで見たことありますよね?

でも、ちょっと待ってください。これ、本当に可能だったんでしょうか?

理学療法士として運動学・解剖学の視点から、忍者の身体能力を徹底的に分析してみたら、とんでもない事実が見えてきたんです。フィクションで描かれる「超人的な忍者」と、実際に存在した「本物の忍者」。その身体能力の真実に、科学のメスを入れていきます。

結論から言うと、忍者は確かに驚異的な身体能力を持っていました。ただし、それは「魔法」ではなく、徹底的な訓練と、人体の仕組みを極限まで活用した「科学」だったんです。

なぜ今、忍者の身体能力を科学するのか?

忍者の身体能力を科学的に解明する動きが、ここ10年で急速に進んでいます。

三重大学では2012年から本格的な忍者研究をスタートさせ、2017年には世界初となる「国際忍者研究センター」を設立しました。歴史学だけでなく、スポーツ科学、医学、薬学など、多分野の専門家が集まって、忍者の実態を科学的に解明しているんです。

2016年には日本科学未来館で「The NINJA -忍者ってナンジャ!?-」という体感型展覧会が開催され、忍術書『万川集海』に記された技術を、最新のスポーツ科学で検証した結果が公開されました。

なぜこんなに注目されているのか?

それは、忍者の身体の使い方に、現代のスポーツ科学やリハビリテーションに応用できる知恵が詰まっているからなんです。

衝撃の真実①:天井に張り付くことは「可能」だった

さて、最初の疑問です。

忍者は本当に天井に張り付けたのか?

答えは…「可能でした」。

ただし、条件があります。

天井張り付きの条件

忍者が天井に張り付くためには、以下の条件が必要でした。

身体条件:

  • 体重60kg以下(これが忍者の体重制限でした)
  • 指の握力が自重を支えられるレベル
  • 体幹の安定性が極めて高い

建築条件:

  • 江戸時代の建物は現代より天井が低い(2m前後)
  • 木造建築で梁や柱に突起が多い
  • 天井板の隙間に指を引っ掛けられる構造

なぜ60kgが限界だったのか?

忍者の体重が60kg以下に制限されていたのには、明確な理由があります。

米俵1俵の重さが、約60kgでした。

忍者は日常的に米俵を持ち上げる訓練を繰り返していました。自分の体重と同じ重さの米俵を軽々と持ち上げられれば、自分の体を天井付近まで持ち上げることもできる、という理屈です。

これ、すごくないですか?

理学療法士が分析:天井張り付きのメカニズム

運動学的に分析すると、天井に張り付く動作は以下の筋肉・関節を極限まで使う、究極の複合運動です。

使用する主な筋肉:

  • 前腕屈筋群:指の握力を生み出す
  • 広背筋・僧帽筋:体を引き上げる
  • 腹直筋・腹斜筋:体幹を安定させる
  • 大臀筋・ハムストリングス:下半身を保持する

現代のロッククライマーやパルクール選手と同じような身体の使い方ですが、忍者は400年以上前にこれを実践していたんです。

ちなみに、現代のボルダリングの世界では、体重が軽いほど有利とされています。トップクライマーの多くは、身長に対して極めて体重が軽い体型をしています。忍者の「60kg以下」という制限は、現代のスポーツ科学から見ても理にかなっているんです。

実際の訓練方法

『万川集海』という忍術伝書には、天井での活動のための訓練方法が記されています。

段階的トレーニング:

  1. 米俵(60kg)を両手で持ち上げる
  2. 米俵を片手で持ち上げる(上級)
  3. 指2本(親指と人差し指)で米俵を持ち上げる(超上級)

3つ目、信じられますか?

でも、考えてみてください。天井に張り付くとき、使えるのは指の力だけです。指2本で60kgを持ち上げられれば、天井の隙間や梁に指を引っ掛けて、自分の体重を支えることができます。

これは極限まで鍛え抜かれた握力と、効率的な体の使い方があって初めて可能になる技術です。

衝撃の真実②:水蜘蛛で水の上は歩けない

さて、次の疑問です。

忍者は「水蜘蛛」という道具を使って、水の上を歩けたのか?

答えは…「歩けませんでした」。

これ、意外じゃないですか?

水蜘蛛の真実

水蜘蛛は、一般的に「足に装着して水の上を歩く道具」として知られています。4枚の木製の板を足に装着して、アメンボのように水面を歩く…というイメージですよね。

でも、三重大学の研究チームが浮力を測定した結果、体を支えて浮かせるための浮力には全く足りないことが判明しました。

実際に甲賀の里忍術村では、水蜘蛛の下に発泡スチロールを付け、さらには池の上にロープを張って、それをたぐり寄せて対岸に行けるようにしていますが、それでもバランスを取るのが極めて難しいそうです。

山田雄司教授(三重大学)も実際に挑戦して、見事に池に落ちてずぶ濡れになったとのこと。

では、水蜘蛛の本当の使い方は?

最新の研究で、水蜘蛛の本当の使い方が分かってきました。

水蜘蛛は「浮き輪」として使われていた可能性が高いんです。

木製の板を腰の周りに装着して浮力を得て、さらに水掻きを足に履いて泳いで堀や川を渡っていたと考えられています。

つまり、「水の上を歩く」のではなく、「浮きながら泳ぐ」ための道具だったんです。

これ、がっかりしましたか?

でも、ちょっと待ってください。

理学療法士が分析:泳ぎの効率性

水蜘蛛を浮き輪として使い、水掻きで推進力を得るこの方法、実は極めて効率的な泳法なんです。

メリット:

  • 浮力の確保:体力を温存できる
  • 推進力の最大化:水掻きで水を効率的に捉える
  • 音を立てない:静かに移動できる
  • 長距離移動可能:持久力を最大限活用

現代の水泳でも、プルブイ(浮力補助具)を使ったトレーニングは一般的です。下半身を浮かせることで上半身の泳ぎに集中でき、効率的なフォームを身につけられます。

忍者の水蜘蛛も、同じ原理を400年前に実践していたんです。

さらに、沼地を移動する際には、水蜘蛛を「かんじき」のように足に装着して、足が沈む速度を抑えていたとも考えられています。接地面積を広げることで、泥に足を取られにくくする工夫です。

フィクションの「水上歩行」ほど派手ではありませんが、実用性は抜群です。

衝撃の真実③:手裏剣はほとんど使わなかった

さて、忍者の代名詞とも言える「手裏剣」。

これ、実は実戦ではほとんど使われなかったんです。

手裏剣が使われなかった理由

三重大学の山田雄司教授によると、「手裏剣は16世紀初めに存在していましたが、鉄製で重く携帯には向いていません」とのこと。

手裏剣のデメリット:

  • 重い(1個100〜200g)
  • かさばる
  • 近くの石を投げる方が効率的
  • 実際に使う場面がほとんどない

さらに、国立国会図書館の調査によると、『万川集海』『忍秘伝』『正忍記』という三大忍術伝書には、手裏剣に関する記述がほとんどないんです。

つまり、手裏剣は忍者にとって「通常の忍器」として認識されておらず、実戦での使用は極めて限定的だったと考えられています。

では、なぜ手裏剣=忍者のイメージが定着したのか?

これ、面白いんです。

手裏剣と忍者を結びつけたのは、江戸時代の歌舞伎や、戦後の映画・漫画なんです。特に1960年代のテレビ時代劇「隠密剣士」が大ヒットして、「忍者といえば手裏剣」というイメージが定着しました。

ちなみに、「卍型手裏剣」は、「隠密剣士」のプロデューサーが「先が尖っていては危ないから卍にした」という理由で創作したもので、実在しませんでした。

手裏剣の実験結果

それでも、手裏剣自体の威力は本物です。

三重大学の実験では、以下の結果が出ています。

命中率(直径30cmの標的):

  • 3m:約47%(15回中7発命中)
  • 4.5m:約27%(15回中4発命中)
  • 6m:約13%(15回中2発命中)

威力:

  • 160gの手裏剣を5mから投擲
  • 速度:時速55km/h
  • 到達時間:0.33秒
  • 標的の切り株に深く突き刺さる

3mで約5割の命中率は、実は決して低くありません。そして一撃必殺の威力があります。

ただし、忍者の任務は「情報収集」です。手裏剣を使うということは、敵に見つかって窮地に陥ったことを意味します。忍者自身も、懐に入れたまま使う機会が来ないことを望んでいたに違いありません。

理学療法士が分析:投擲動作のメカニズム

手裏剣を投げる動作は、実は全身を使った複雑な運動です。

投擲動作の運動連鎖:

  1. 下半身:地面を蹴って力を生み出す
  2. 体幹:回旋運動でエネルギーを増幅
  3. 肩甲骨:腕を加速させる土台
  4. 肩関節:回旋・水平内転で加速
  5. 肘・手首:最終的なスナップ

野球のピッチングと同じメカニズムです。現代のトップアスリートと、400年前の忍者が、同じ身体の使い方をしていたんです。

忍者の驚異的な持久力:1日200km走る秘密

忍者の身体能力で最も驚くべきは、その持久力です。

「韋駄天」と呼ばれる忍者は、1日に50里(約200km)も走ることができたと言われています。

200kmですよ?

東京から静岡まで、1日で走り切る計算です。

これ、本当に可能だったんでしょうか?

二重息吹:忍者の呼吸法

忍者は「二重息吹(ふたえのいぶき)」という独自の呼吸法を使っていました。

呼吸のリズム: 「吸う、吐く、吐く、吸う、吐く、吸う、吸う、吐く」

この拍子で呼吸を繰り返すと、酸素摂取量が増えるとされていました。

そして驚くべきことに、三重大学の検証でも持久力の向上が確認されているんです。

理学療法士が分析:呼吸と持久力の関係

呼吸法が持久力に与える影響は、現代のスポーツ科学でも重要視されています。

呼吸の重要性:

  • 酸素供給:筋肉のエネルギー産生に不可欠
  • 二酸化炭素の排出:疲労物質の除去
  • リズム調整:運動のペース配分
  • 精神の安定:集中力の維持

「二重息吹」の「吸う、吐く、吐く」というパターンは、現代のランニングでも推奨される「2:2の呼吸」や「3:3の呼吸」に通じるものがあります。

吸うより吐くことを意識することで、次の吸気でより多くの新鮮な空気を取り込めます。これは呼吸生理学の観点からも理にかなっています。

なんば歩き:究極の省エネ走法

忍者は「なんば歩き」という独特の歩行技術を使っていたとされています。

なんば歩きの特徴:

  • 右手と右足、左手と左足を同時に出す
  • 体を捻らない
  • 左右交互に2つの軸を取りながら前に進む

現代の常識では、右足を出すときに左手を出す「対側性歩行」が自然とされています。でも、忍者はあえて「同側性歩行」を使っていました。

なぜか?

理学療法士が分析:なんば歩きのメリット

実は、なんば歩きには以下のメリットがあると考えられています。

省エネ効果:

  • 体幹の回旋運動が少ない→エネルギー消費が少ない
  • 重心の上下動が小さい→疲労が蓄積しにくい
  • 股関節・膝関節の負担軽減

長距離移動への適応:

  • 着物での移動に適している
  • 荷物を担いでの移動に有利
  • 疲労が蓄積しにくい

ただし、なんば歩きが本当に省エネなのかについては、現在も研究が続いています。確実なのは、忍者が長距離移動のために、独自の歩行技術を編み出していたということです。

忍者の体格:小柄でも強かった理由

戦国時代の成人男性の体格は、平均で身長約150cm、体重約40kgだったと言われています。

現代の日本人男性(平均身長約172cm、体重約68kg)と比べると、かなり小柄ですよね。

でも、小柄だからこそ、忍者には有利な点がたくさんありました。

小柄な体格のメリット

運動能力の観点から:

  • 敏捷性が高い:体が軽いほど素早く動ける
  • 狭い場所に入れる:天井裏・床下での活動に有利
  • 持久力が高い:体重が軽いほど長距離移動が楽
  • 隠れやすい:目立ちにくい

エネルギー効率の観点から:

  • 基礎代謝が低い→少ない食料で活動できる
  • 移動に必要なエネルギーが少ない
  • 長期の潜伏任務に適している

理学療法士が分析:体格と運動能力の関係

体格と運動能力の関係は、現代のスポーツでも重要な要素です。

体重と運動能力の関係:

  • パワー系競技:体重が重い方が有利(重量挙げ、相撲)
  • 持久系競技:体重が軽い方が有利(マラソン、自転車)
  • 技術系競技:体格より技術が重要(体操、武術)

忍者の任務は、敵地への潜入と長距離移動が中心です。つまり、持久系・技術系の能力が求められます。小柄な体格は、まさに忍者の任務に最適だったんです。

マラソンのトップ選手を見てください。身長は高くても、体重は驚くほど軽いです。男子のトップランナーでも、身長170cm前後で体重50kg台の選手が珍しくありません。

忍者の「体重60kg以下」という制限は、現代のマラソン選手の体型に近いんです。

忍者の訓練:日常生活が鍛錬だった

三重大学の山田雄司教授によると、「伊賀、甲賀など『忍者の里』と呼ばれる場所は多くが山中で、彼らは木に登って枝打ちをしたり、野山を歩き回って生活していたことから、日々の生活が鍛錬になっていたのではないでしょうか」とのこと。

忍者は農民でした。

農作業を終えた後に、武芸弓馬を研究し、忍術を鍛錬していました。

農作業という最高のトレーニング

農作業は、実は全身を使う究極のファンクショナルトレーニングです。

農作業で鍛えられる能力:

  • 筋力:重い物を持ち運ぶ
  • 持久力:長時間の労働
  • 柔軟性:しゃがむ・立つを繰り返す
  • バランス能力:不整地での作業
  • 体幹の安定性:姿勢を保持する

現代のジムでのトレーニングは、特定の筋肉を鍛える「アイソレーション」が中心です。でも、忍者の訓練は、複数の筋肉を同時に使う「コンパウンド」トレーニングでした。

これは、現代のファンクショナルトレーニングやクロスフィットの考え方に非常に近いんです。

理学療法士が分析:機能的な体づくり

リハビリテーションの世界でも、「機能的な体づくり」が重視されています。

機能的な体とは:

  • 日常生活動作(ADL)がスムーズに行える
  • 複数の筋肉・関節を協調して使える
  • バランスと安定性が高い
  • 疲れにくい体の使い方ができる

忍者の訓練は、まさに「機能的な体づくり」の究極形でした。

特定の筋肉だけを鍛えるのではなく、全身を協調して使う能力を高める。これこそが、忍者の驚異的な身体能力の秘密だったんです。

忍者の体術:現代に活かせる知恵

忍者の体術には、現代の私たちにも応用できる知恵が詰まっています。

抜き動作:無駄な力を省く

「抜き動作」とは、無駄な力を省いて運動効率を高める技術です。

ポイント:

  • 必要な筋肉だけを使う
  • リラックスした状態から瞬時に力を発揮
  • 脱力と力の入れ方のメリハリ

これ、日常生活でも活かせます。

重い物を持ち上げるとき、全身に力を入れていませんか?実は、必要な筋肉だけに力を入れた方が、効率的に持ち上げられます。

井桁動作:関節を連動させる

「井桁動作」とは、複数の関節を連動させて素早く動く技術です。

メリット:

  • 動作が素早くなる
  • 疲労が蓄積しにくい
  • ケガのリスクが減る

例えば、床から物を拾うとき。膝だけ曲げる、腰だけ曲げる、ではなく、足首・膝・股関節・腰椎を協調して動かすことで、効率的でケガのリスクが低い動作になります。

これは、リハビリテーションでも重視される「運動連鎖」の考え方そのものです。

気合:声を出して力を発揮

「気合」とは、声を出すことで通常より強い力を発揮する技術です。

これ、科学的にも証明されています。

声を出す効果:

  • 呼吸のリズムが整う
  • 腹圧が高まって体幹が安定
  • 神経系が活性化して筋力発揮が向上
  • 心理的な抑制が解除される

テニスやバドミントンの選手が、打つときに「ハッ!」と声を出すのも、同じ原理です。

現代に蘇る忍者の技術:パルクールとの共通点

フランスで生まれた「パルクール」という競技をご存知ですか?

町中の障害物を走る・跳ぶ・登るなどの動作で走り抜ける、アクロバティックな競技です。

実は、このパルクールの動き、忍者の体術に非常に似ているんです。

パルクールと忍者の共通点

共通する技術:

  • 壁を登る
  • 高所から飛び降りる
  • 障害物を飛び越える
  • 狭い場所を移動する
  • 効率的な体の使い方

三重大学の山田雄司教授も、「パルクールという競技がありますが、忍者に向いているかもしれませんね」と語っています。

理学療法士が分析:機能的な動作の本質

パルクールも忍者の体術も、本質は同じです。

機能的な動作の原則:

  • 全身を協調して使う
  • 効率的なエネルギーの使い方
  • 環境を最大限活用する
  • 安全性と実用性の両立

現代のパルクール選手は、スポーツ科学に基づいたトレーニングを行っています。一方、忍者は経験と工夫で、400年以上前に同じレベルの動作を実現していました。

人間の体の使い方の本質は、時代を超えても変わらないんです。

忍者の精神:正心と不動心

忍者の身体能力を支えていたのは、肉体だけではありません。

『万川集海』という忍術伝書では、かなりの紙幅を割いて「正心」の重要性や精神統一法などが説かれています。

正心:正しき心を持つこと

「正心(せいしん)」とは、正しき心を持つことです。

忍者にとって、技や知識よりも重要なものとされていました。

正心の内容:

  • 誠実であること
  • 冷静な判断力を持つこと
  • 感情に流されないこと
  • 任務への強い責任感

どれほど優れた術を持っていようとも、心が乱れていては真の忍びになれない。これが忍者の教えでした。

不動心:どんな状況にも動じない心

日々の鍛錬により、忍者はどんな状況にも動じない「不動心」を身に付けました。

敵地に潜入し、いつ見つかるか分からない緊張状態。そんな極限状態でも、冷静に任務を遂行するために、精神力の鍛錬は不可欠でした。

呼吸法と印:精神をコントロールする技術

忍者は呼吸法と「印を結ぶ」ことで、精神をコントロールしていました。

呼吸法の効果:

  • 副交感神経を活性化
  • 心拍数を落ち着かせる
  • 集中力を高める
  • 不安を軽減する

これ、現代のマインドフルネスや瞑想と同じ原理です。

印を結ぶことは、一種の儀式として精神を整える役割を果たしていたと考えられています。

理学療法士が分析:心と体の関係

リハビリテーションでも、心と体の関係は非常に重要です。

心身相関:

  • ストレスは筋肉の緊張を生む
  • 不安は呼吸を浅くする
  • 精神状態が動作に影響する
  • 逆に、呼吸や姿勢で精神状態を整えられる

忍者は、400年前から心身相関を理解し、実践していたんです。

現代医学から見た忍者の知恵:自費リハビリでの応用

忍者の身体能力と鍛錬方法を分析してきましたが、ここまで読んで、こう感じた方もいるかもしれません。

「これ、自分にも応用できそう…」

その直感、正しいです。

機能的な体づくりという共通点

忍者の訓練とリハビリテーションには、実は共通する考え方があります。

共通する原則:

  • 全身を協調して使う
  • 効率的な体の使い方を学ぶ
  • 日常生活動作の質を高める
  • 持久力と安定性を重視する

現代のリハビリテーションでは、「機能的な体づくり」が重視されています。特定の筋肉を鍛えるだけでなく、複数の筋肉・関節を協調して使えるようにする。これは、忍者の訓練の考え方と同じです。

体の使い方を学ぶことの重要性

多くの方が、「正しい体の使い方」を意識する機会がありません。

よくある体の使い方の問題:

  • 片側だけに体重をかけて立つ
  • 腰だけ曲げて物を拾う
  • 呼吸が浅い
  • 肩に力が入りっぱなし

これらの問題は、慢性的な痛みや疲労の原因になります。

忍者が徹底的に体の使い方を学んだように、私たちも「効率的で体に負担の少ない動作」を学ぶことで、日常生活の質が大きく変わります。

自費リハビリという選択肢

保険診療のリハビリテーションは、時間や回数に制限があります。

一方、自費リハビリでは:

  • じっくり時間をかけた評価(60〜90分)
  • 個別プログラムの作成
  • 体の使い方の徹底的な分析
  • 予防やパフォーマンス向上にも対応

忍者のように「機能的で疲れにくい体」を作りたい方、日常生活やスポーツでのパフォーマンスを高めたい方にとって、自費リハビリは有効な選択肢の一つです。

理学療法士による専門的な評価と、個別のトレーニングプログラムで、あなたの体の可能性を最大限引き出すことができます。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 忍者の身体能力は本当に超人的だったのですか?

A. 「超人的」というより「極限まで鍛え抜かれていた」というのが正確です。忍者は幼少期から徹底的な訓練を積み、人体の仕組みを最大限活用する技術を身につけていました。三重大学の研究により、忍術の多くは科学的に説明可能であることが分かっています。

Q2. 忍者の訓練は現代人にも応用できますか?

A. 多くの原理は応用可能です。特に「効率的な体の使い方」「呼吸法」「全身を協調して使う」という考え方は、現代のファンクショナルトレーニングやリハビリテーションに通じます。ただし、当時の忍者と同レベルの訓練は、現実的ではありません。

Q3. 水蜘蛛で本当に水の上を歩けないのですか?

A. はい、三重大学の実験で浮力が不足することが証明されています。水蜘蛛は「浮き輪」として使われていた可能性が高く、水上を歩くのではなく、浮きながら泳ぐための道具だったと考えられています。

Q4. 忍者の体重が60kg以下だったというのは本当ですか?

A. 忍術伝書や伝承に記されています。米俵1俵(約60kg)を持ち上げる訓練を行っており、自分の体重を支えられるようにするためでした。ただし、これは天井での活動などに必要な理想値で、全ての忍者が60kg以下だったわけではないと考えられます。

Q5. なんば歩きは本当に効率的なのですか?

A. 現在も研究が続いていますが、特定の条件下(着物での移動、荷物を担ぐなど)では効率的だった可能性があります。ただし、現代の歩行スタイルと比較して一概に優れているとは言えません。文化や環境に適応した歩行技術だったと理解するのが適切です。

Q6. 手裏剣は実戦で使われなかったのですか?

A. 頻繁には使われませんでした。三重大学の山田雄司教授によると、手裏剣は重く携帯に不向きで、主要な忍術書にもほとんど記載がありません。使うこと自体が「敵に見つかった」ことを意味するため、使用は限定的でした。

Q7. 忍者の呼吸法「二重息吹」は科学的に効果があるのですか?

A. はい、三重大学の検証で持久力の向上が確認されています。呼吸のリズムを整えることで酸素摂取量が増え、運動効率が向上します。現代のスポーツ科学でも、呼吸法は重要視されています。

Q8. 天井に張り付くことは現代人にもできますか?

A. 適切な訓練を積み、体重が軽く、握力が十分にあれば可能性はあります。ただし、現代の建築物は天井が高く突起も少ないため、江戸時代の建物より難易度が高いです。ロッククライミングやパルクールの技術に近いものです。

Q9. 忍者は本当に1日200km走れたのですか?

A. 「韋駄天」と呼ばれる特に優れた忍者は可能だったとされています。ただし、これは「走る」だけでなく「歩く」も含めた移動距離で、休憩も取りながらの数字です。現代のウルトラマラソンランナーが24時間で200km以上走ることを考えると、不可能ではありません。

Q10. 忍者の訓練で最も重要だったことは何ですか?

A. 『芥川家文書』という史料によると、忍者修行の第1は「本を読むこと」でした。知識が最も重要とされ、あらゆることに長けていなくてはならないとされています。第2が「歩くこと」で、派手な忍術よりも基本的な能力が重視されていました。

Q11. 忍者の精神修養はどのようなものでしたか?

A. 『万川集海』では「正心」が最も重視されています。正しき心を持ち、どんな状況にも動じない不動心を養うことが重要でした。呼吸法や印を結ぶことで精神をコントロールする技術も伝えられています。

Q12. 現代の格闘技と忍術の違いは何ですか?

A. 忍術は「戦う」ことよりも「逃げる」「隠れる」「情報を持ち帰る」ことを目的としていました。敵を倒す攻撃力よりも、敵から逃れる守備力が重視されていた点が大きく異なります。

Q13. 忍者の食事はどのようなものでしたか?

A. 「兵糧丸」という携帯食が知られています。生薬や穀物を丸めたもので、栄養価が高く携帯に便利でした。忍者は薬学や栄養学にも通じており、限られた食料で最大限のパフォーマンスを発揮する工夫をしていました。

Q14. 忍者の寿命は短かったのですか?

A. 危険な任務が多かったため、任務中に命を落とすリスクは高かったと考えられます。ただし、体系的な訓練により身体能力が高く、健康的な生活を送っていたため、任務を生き延びた忍者の寿命が特別短かったという証拠はありません。

Q15. 忍者の子孫は現代にいるのですか?

A. 江戸時代には伊賀や甲賀の忍者が徳川幕府に仕えていましたが、江戸時代後期には実質的な諜報活動はほとんどなくなりました。現代に「忍者の子孫」を名乗る方はいますが、忍術の実践的な伝承は限定的です。三重大学などの研究機関が、学術的に忍者の技術を解明しています。

まとめ:忍者が教えてくれる「機能的な体」の本質

忍者は、超人ではありませんでした。

でも、徹底的な訓練と、人体の仕組みを極限まで活用することで、驚異的な身体能力を獲得していました。

この記事のポイント:

  • 天井に張り付くことは「可能」だった(条件付き)
  • 水蜘蛛で水上歩行は「不可能」(浮き輪として使用)
  • 手裏剣は実戦で「ほとんど使わなかった」
  • 1日200kmの移動は「可能」だった(最上級の忍者)
  • 体重60kg以下は「合理的な制限」だった
  • 呼吸法「二重息吹」は「科学的に効果あり」
  • 訓練の本質は「機能的な体づくり」だった
  • 精神修養も「極めて重要」だった
  • 日常生活が「最高のトレーニング」だった
  • 現代にも「応用可能な知恵」が詰まっている

「機能的な体」という普遍的な真理

忍者の訓練が教えてくれるのは、「機能的な体」の重要性です。

特定の筋肉だけを鍛えるのではなく、全身を協調して使う。効率的で疲れにくい体の使い方を学ぶ。これは、400年前も現代も変わらない、普遍的な真理です。

私たちにできること

忍者と同じレベルの訓練をする必要はありません。

でも、日常の体の使い方を少し工夫するだけで、疲れにくく、痛みの出にくい体を作ることができます。

今日から始められること:

  • 深い呼吸を意識する
  • 全身を使って物を持ち上げる
  • 階段を使って下半身を鍛える
  • 正しい姿勢を意識する
  • 毎日少しずつ体を動かす

これだけで、1年後には「以前より疲れにくくなった」と実感できるはずです。

温故知新:古い知恵を現代に活かす

忍者は、科学的な知識がなくても、経験と工夫で驚異的な身体能力を手に入れていました。

現代の私たちは、スポーツ科学やリハビリテーション医学の力を借りながら、忍者の知恵を再評価できます。

古い技術だからといって、すべてが時代遅れとは限りません。むしろ、時代を超えて受け継がれてきた知恵には、現代にも通じる本質が隠されています。

忍者から学んだ「機能的で疲れにくい体の使い方」を、今日から実践してみませんか?


📚 参考文献

  1. 三重大学国際忍者研究センター公式サイト. 2012年設立. https://ninjacenter.rscn.mie-u.ac.jp/
  2. 山田雄司. 『万川集海』忍術伝書. 三重大学人文学部, 2012-2024年研究成果.
  3. 三重大学. 体育学・スポーツ科学による忍者の身体能力検証. 2016年「The NINJA展」.
  4. 忍者・忍術学研究. 三重大学大学院人文社会科学研究科. 2018年カリキュラム導入.
  5. 山田雄司監修. 「The NINJA -忍者ってナンジャ!?-」日本科学未来館企画展. 2016年.
  6. 三重大学. 二重息吹呼吸法の持久力向上効果検証. スポーツ科学研究.
  7. 伊賀流忍者博物館. 忍者の訓練・身体能力に関する展示資料.
  8. nippon.com. 「忍者のリアルに迫る」三重大学山田雄司教授インタビュー.

執筆者情報

理学療法士 

本記事は、三重大学国際忍者研究センターの研究成果、忍術伝書『万川集海』『忍秘伝』『正忍記』、および現代のスポーツ科学・運動学の知見に基づいて作成しています。忍者の身体能力に関しては、科学的に未解明な部分も多いため、「可能性」として記載している箇所があります。


免責事項

本記事で紹介している忍者の訓練方法を実践する際は、ご自身の健康状態に合わせて無理のない範囲で行ってください。特に高所での活動や過度な負荷のかかる訓練は危険を伴います。持病のある方、運動制限のある方は、必ず医師や理学療法士にご相談ください。

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