筋力トレーニングの効果と役割|最新ガイドライン2023準拠【理学療法士が解説】
2026.01.12
リハビリ
はじめに
筋力トレーニングについて、こんな疑問や不安を持っていませんか?
「筋力トレーニングってどうやっていいか分からない」 「仕事して家帰ったら筋トレする時間なんてない」 「筋力トレーニングをすると、大きくなってスタイルが悪くなるかも」
実は、筋力トレーニングは「筋肉を大きくするため」だけのものではありません。
令和5年(2023年)の国民健康・栄養調査によると、運動習慣のある人は男性で36.2%、女性で28.6%。つまり、約7割の方が運動習慣を持っていないのが現状です。
特に、男性30歳代では23.5%、女性20歳代では14.5%と、働き盛り・子育て世代での運動不足が深刻化しています。
最近では、各地にスポーツジムが増えており、健康意識は高まってきています。また、テレビやSNSなどで健康体操や「ここに効く運動」など目にする機会も増えました。
2024年1月、厚生労働省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を公表し、成人・高齢者に対して週2〜3日の筋力トレーニングを推奨しています。
身体機能維持について、リハビリテーションとの相性の良い筋力トレーニングはより注目を受けています。
今回は、理学療法士の視点から、筋力トレーニングの効果、最新のエビデンス、そして実践方法について詳しく解説していきます。
筋肉とは|3つの種類と骨格筋の役割
まず、筋肉とは何か知っていますか。
筋肉には大きく分けて3つに分類されます。
骨格筋(こっかくきん)
腕や足など全身に存在する筋肉です。意識して動かすことができ、筋肉全体の**約40%**を占めます。体重の約40%が骨格筋ということは、人体最大の臓器とも言えます。
平滑筋(へいかつきん)
内臓・血管などに存在しています。意識して動かすことはできませんが、消化や血流の調整など、生命維持に重要な働きをしています。
心筋(しんきん)
心臓にある筋肉です。意識して動かしたり止めたりできませんが、必要に応じて自動的に動きを調節できます。
以上のことからわかる通り、筋力トレーニングは主に骨格筋を対象にしているトレーニングと言えます。
筋繊維の種類|速筋と遅筋
筋肉をさらに細かくすると、筋繊維が束になってできていることがわかります。その繊維も2種類に分けることができます。
速筋(そっきん)|白筋(はっきん)
主に強大なパワーを発揮することができ、重いものを持つとき、速く走るときに使用されます。瞬発力に優れていますが、疲れやすい特徴があります。
遅筋(ちきん)|赤筋(せっきん)
主に持久力を必要とするときに使用されます。ウォーキングやマラソンなど、長時間の活動に適しています。疲れにくく、持続的な力を発揮できます。
筋力トレーニングの方法は、どちらの筋繊維を鍛えるかによって異なります。目的に応じた専門的な指導を受けていただくことで、より効果的なトレーニングが可能になります。
筋肉の5つの役割|単なる「動かす組織」ではない
身体中に存在する筋肉ですが、筋肉にはどんな役割があるかご存知でしょうか。
実は筋肉には5つの重要な機能が存在します。
1. 身体を安定させる、動く、衝撃から守る
筋肉は全身の体に存在しており、意識して動かしたり、逆に動かないように保持をすることができます。
また、外部からの衝撃に対して衝撃を吸収する働きをします。内臓や血管など大事な器官を守る存在です。
転倒時に手をついたり、ぶつかった際に筋肉がクッションの役割を果たすことで、骨折や内臓損傷を防いでいます。
2. 血液循環の補助|第二の心臓としてのポンプ機能
心臓が全身に血液を送り出していますが、送り出された血液がまた心臓へ戻ることは大変なことです。
特に下半身の血液は、重力によって下に溜まりやすく、むくみとして出現しやすい部位とされています。
筋肉の役割の一つとして、心臓へ血液を戻す働きを担っています。筋肉が働くと「ポンプ」のように血管を圧迫し、血管内にある血液を心臓へ押し戻すような作用があります。
例えば、ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれており、足から心臓へ血液を戻すことに大きく関与しています。
デスクワークで長時間座りっぱなしの方や、立ち仕事の方が足のむくみを感じやすいのは、このポンプ機能が十分に働いていないためです。
3. 発熱と代謝と免疫|体温調節と健康維持
寒い日など体が震えたりすることはありませんか?これは熱産生を行なっています。
人間は恒温動物にあたり、体温が36~37度に保たれています。熱産生によってどの環境下でも一定の温度を保てるような仕組みとなっています。
ちなみに、体温を下げる機能としては発汗があります。
熱産生を行うことはエネルギー消費を意味します。骨格筋は代謝にも関与しているということです。
筋力トレーニングを行い基礎代謝を上げることで、生活習慣病予防やダイエットなどにつながります。
免疫機能との関係
体温は1度上がるごとに免疫機能は最大で5~6倍上がると言われています。
風邪をひいた時は、自動的に体温を上げて免疫機能を働かせて治癒を図るため、熱が出ます。
逆に体温が1度下がるごとに免疫機能は3割低下すると言われています。筋力が低下している方は、平均体温が低く風邪や病気になりやすい状態にあると言えます。
新型コロナウイルス感染症の研究では、身体活動量や骨格筋量が少ないほど重症化リスクが高くなるという報告もあり、筋肉と免疫の関係が改めて注目されています。
4. 水分の貯蔵庫|脱水予防に重要
人間の約60%は水分でできています。その水分のうち75%は筋肉に貯蓄してあると言われています。
生きている私たちにとって水分はとても重要なものです。血液や代謝など様々なところで水は利用されています。
高齢者や運動習慣がない方は、筋肉量の低下から同時に水分を貯蓄できないことで脱水症状を起こしやすいため、特に夏場は注意が必要です。
これは、サルコペニア(加齢による筋肉量減少)やフレイル(虚弱)との関連も指摘されています。
5. ホルモンの産生|マイオカインという「希望の分子」
ここ20年ほどの研究で、筋肉には驚くべき機能があることが明らかになりました。
筋肉には様々なホルモン物質が作られており、その総称を「マイオカイン(myokine)」と名付けられました。
マイオカインは、ギリシャ語のmyo(筋肉)とkine(作動物質)を組み合わせて作られた言葉で、現在数十種類が発見されています。
海外では「hope molecule(希望の分子)」と呼ばれ、脳、体、精神に直接影響を与える重要な物質として注目されています。
マイオカインの驚くべき効果
がんの予防効果
- がんの増殖を抑える可能性が報告されています
脳機能の向上
- 脳由来神経栄養因子(BDNF)が分泌され、記憶力が高まる
- 認知機能の向上や認知症予防に期待
メンタルヘルスへの効果
- うつ症状の改善に効果が現れたという論文が提出されています
- ストレス解消に関わる物質の分泌
生活習慣病の予防
- 動脈硬化の抑制
- 糖尿病の予防(血糖値の安定化)
- 高血圧症の抑制
代謝機能の向上
- 脂肪燃焼の促進
- 白色脂肪を褐色脂肪に変換(エネルギー消費の増加)
美肌効果(最新研究) 2023年、立命館大学の研究チームが世界で初めて、筋力トレーニングが真皮の厚みを増加させ、若々しい外見に貢献する可能性を明らかにしました。
マイオカインはコラーゲンの生成にも関わっており、筋肉量が多い人ほどシミやシワが少なく、肌の状態が良いことが確認されています。
善玉と悪玉のマイオカイン
マイオカインには、腸内細菌と同様に「善玉マイオカイン」と「悪玉マイオカイン」が存在することが分かっています。
善玉マイオカイン
- 日常的に運動を行っている人から分泌
- 健康や若さを保つ働き
悪玉マイオカイン
- 運動不足により筋肉が衰えることで分泌増加
- 筋肉の萎縮を促進
- 筋肉の線維化(硬くなる)を進める
一見筋肉とは関係がないことに思えますが、全身に効果をもたらしているのではと発表がされています。
単純に筋力増強だけではなく、体全体に効果をもたらす筋力トレーニングにはたくさんの可能性を秘めていると言えるでしょう。
筋肉痛のメカニズム|来るのはいつ?治るのはいつ?
筋力トレーニングを行なった場合、多くの方は筋肉痛について考えるのではないでしょうか。
実際、筋肉痛はどのくらいの日数で修復されるのでしょうか。
筋肉痛と年齢の関係
最近は年齢による筋肉痛の遅れは関係ないとされています。
筋肉トレーニングによって、筋繊維にダメージを負うと炎症反応が起こります。炎症反応から分泌された物質によって体が認識すると痛みを感じます。
認識することに個人差はありますが、遅れて感じるのはこれが原因ではないかと言われています。
回復に必要な時間
筋肉の修復は部位によって異なりますが、大まかに24~72時間程要するとされています。
筋肉痛がある場合は軽く動かす程度に抑えて、休ませてあげる必要があります。
筋力トレーニングのメカニズム|超回復の科学
筋力トレーニングで筋肉が強くなる仕組みを理解しましょう。
超回復のサイクル
1. 筋肉に負荷がかかる トレーニングによって筋繊維が微細に損傷
2. 炎症反応から筋肉痛の出現 損傷した筋繊維の修復プロセス開始
3. 回復する(超回復) 適切な栄養と休息により、元の状態よりも強く太い筋繊維に
このサイクルを繰り返すことで、筋繊維がより太く・強くなり、より大きな力を発揮できるようになります。
筋力トレーニングとは、このサイクルを繰り返し行うことで、元の身体状態よりも強い能力を発揮できる方法だと言えます。
トレーニングの頻度
「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人および高齢者に対して週2~3日の筋力トレーニングを実施することを推奨しています。
同じ部位の筋トレは毎日連続して行うのではなく、1~2日おきに行うのが最適です。筋肉が刺激を受けて大きくなるための時間を空ける必要があるためです。
有酸素運動はできるだけ毎日行いたいものですが、筋トレは適切な休息が重要です。
筋力トレーニングの健康効果|最新エビデンスに基づく
筋力トレーニングには、筋肉を大きくする以外にも多くの健康効果があります。
基礎代謝の向上
筋トレを継続すると筋肉量が増えます。それにともなって向上するのが基礎代謝量です。
じっとしていたり眠っているときなども、体内では生命活動を維持するために必要な心拍・呼吸・体温維持などが行われています。
基礎代謝はこの活動で消費される必要最低限のエネルギーのことです。筋肉量が増えることで、安静時のエネルギー消費量が増加し、太りにくい体質になります。
疾患発症予防と死亡リスクの軽減
国際的な身体活動ガイドラインの策定のために実施されたレビュー(主に介入研究)において、筋トレにより以下の効果が報告されています。
- 2型糖尿病の発症予防
- 心血管疾患のリスク低下
- がんによる死亡リスクの軽減
- 全死因死亡率の低下
2022年のBritish Journal of Sports Medicineに発表されたメタアナリシスでは、筋力トレーニングが主要な非感染性疾患のリスクと死亡率の低下に関連することが示されています。
生活機能の維持・向上
筋力を高めることで、以下の効果があります。
- 日常生活がより楽に行えるようになる(階段の昇降や買い物袋の持ち運びなど)
- 転倒予防と骨折リスクの低下
- 姿勢の改善とバランス能力の向上
- 腰痛・膝痛の軽減
筋力トレーニングによって筋力が向上し、筋肉量が増えることによって関節への負担が減り、腰痛や膝痛の軽減につながります。
骨密度の増加
筋力トレーニングは筋肉を強化するだけでなく、骨密度を増加させるなど、骨の健康維持にも重要です。
マイオカインは筋肉の横にある骨でも働き、骨量を維持する働きもあります。
特に女性は閉経後、ホルモンバランスの変化から骨の老化が加速しやすくなります。骨の健康を保つためにも、運動を心掛けてマイオカインの分泌を増やし、骨の健康維持に繋げることが大事です。
慢性疾患の改善
筋力トレーニングは慢性疼痛の緩和や関節炎、腰痛、筋萎縮などの症状の軽減にも効果的です。
筋肉を鍛えることによって、身体の負担を軽減し、疼痛の原因となる不安定な関節や筋肉の負担を減らすことができます。
腰部を支える腹筋群や背筋群の筋力が低下してしまうと腰部を支えられなくなり、腰痛の原因になります。適切な筋力トレーニングで、これらの症状を予防・改善できます。
メタボリックシンドロームの改善
筋力トレーニングはインスリン抵抗性、糖代謝を改善し、糖代謝異常の予防が期待できます。
また、脂質代謝の改善、適切な負荷での筋力トレーニングによる血圧や血管への良い影響が期待できます。
有酸素運動とレジスタンス運動(筋力トレーニング)との組み合わせが、血糖値、血圧値、中性脂肪値を低下させることが報告されています。
サルコペニア・ロコモ・フレイル予防|筋力トレーニングの重要性
深刻化する運動器疾患
日本は超高齢社会を迎えており、ロコモティブシンドローム(ロコモ)の推計患者数は予備軍を含めて4,700万人に達しています。
また、フレイル(虚弱)の有病率は、65歳以上の高齢者全体の約10%とされています。
サルコペニアとは
サルコペニアとは、加齢により全身性の筋肉量の減少と筋力が低下した状態です。
身体的な障害や生活の質の低下、および健康寿命の短縮などに関わります。
ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは
ロコモティブシンドロームは、運動器の障害により日常生活での自立度が低下し、要介護の状態や要介護の危険のある状態を指します。
原因として加齢による筋量や筋力の低下、神経活動の低下に加えて、以下の運動器疾患が挙げられます。
- 骨粗鬆症(推計患者数: 1,590万人)
- 変形性膝関節症(推計患者数: 2,530万人)
- 変形性腰椎症(推計患者数: 2,790万人)
フレイルとは
フレイルとは、高齢期に心身の活力が低下し、要介護状態になる危険性が高くなった、健康な状態と要介護状態の中間に位置する状態をいいます。
フレイルには以下の3つの側面があります。
身体的フレイル
- 筋力低下、歩行速度の低下、体重減少など
精神心理的フレイル
- 認知機能障害、うつなど
社会的フレイル
- 独居、経済的困窮、社会的孤立など
筋力トレーニングによる予防効果
加齢に伴い筋肉が衰えるサルコペニア、加齢による虚弱によって介護が必要となるフレイル、運動器の疾患により日常生活に支障をきたすロコモティブシンドロームは、筋力トレーニングを行い、筋力の向上、筋肉量の増加を促すことが予防、改善に有効です。
筋力トレーニングによって、生活に必要な基本的な姿勢の保持、移動能力が向上することで生活機能の向上が望めます。
自宅でできる筋力トレーニング|理学療法士が厳選
筋力トレーニングの種類
筋力トレーニングには、自分の体重だけで行う「自重トレーニング」、バーベルやダンベルを使った「フリーウエイトトレーニング」、板状の重りや空気抵抗を用いた「マシントレーニング」など様々な負荷のかけ方があります。
ダンベル等の器具を使わない自重トレーニングの場合は、自宅や公園など場所を選ばずに行う事ができます。
たとえば、カーフレイズ(かかと上げ)は、電車の中や、料理などの家事をする際、立っている場面ならいつでも行うことができます。
トレーニングの強度設定
筋力トレーニングの中でダンベルやバーベルなどを使う「フリーウェイトトレーニング」を行う際は、筋力測定や1RMテストなどを行い自分の体力・筋力に合った負荷を把握することが必要です。
しかし、テストをする環境がない場合は、少しずつ負荷を上げながら調整していきます。
ここですぐに高い負荷をかけてトレーニングを行おうとすると、フォームが崩れ、転倒などの事故が起き怪我をしやすくなります。
筋力トレーニングは無理せず、自分に合った負荷で行うことが大切です。
効果的なトレーニングのタイミング
もし時間に余裕があれば、朝の時間帯に筋トレを行うのがおすすめです。
全身の筋肉を朝に動かしておくと、その日1日の代謝を高い状態に保つことができます。
ただし、空腹状態で行うと逆効果になってしまうため、バナナ1本など軽い補食を取ってから始めましょう。
筋トレ後は、たんぱく質をしっかりと摂取して、筋肉の回復をサポートすることを意識することも大切です。
大きな筋肉から鍛える
筋トレのモチベーションを保つためには、効果を実感しやすい大きな筋肉から鍛えていくのも良いでしょう。
大腿四頭筋(太もも前面) スクワットなどで鍛えることができます。下半身の大きな筋肉を鍛えることで、マイオカインの分泌も促進されます。
大臀筋(お尻) レッグプレスなどのマシンを使った筋トレで、比較的早く効果を実感しやすいトレーニングです。
大胸筋(胸) チェストプレスなどを使ったトレーニングで働きかけることができます。
筋力トレーニングを継続するために
適切な栄養摂取
筋肉量を増やすには、筋肉の元となるタンパク質を摂取することが重要であることは広く知られています。
しかし本来は、エネルギー源になる炭水化物、筋肉を合成したり回復させたりするビタミンやミネラルもタンパク質と同時に摂ることがとても重要です。
様々な食材を組み合わせて、主食・主菜・副菜のそろったバランスの良い食事を心掛けましょう。
十分な休息(睡眠)
運動をすることによって筋肉の筋繊維は傷つきますが、それを修復するためには、十分な休息(睡眠)を取ることも重要です。
筋繊維が壊れ、修復することによってより強い筋肉を得ることができます。これを超回復と言います。
運動や食事に加え、しっかりと休息を取ることも心掛けましょう。
無理のない継続
筋力トレーニングでは筋線維が損傷を受けます。そのため、筋力トレーニングで同じ筋群を鍛える場合は48時間から72時間の間隔をあけて筋を回復させる必要があります。
筋を十分に回復させることで、前よりも太く強い筋に変わっていきます。
しかし、回復させずに筋トレを繰り返し行うとオーバートレーニングに陥り、筋力トレーニングをすることで逆に筋力低下を招いてしまいます。
まずは週30分の筋トレを2か月続けて、効果を実感することから始めましょう。自分のペースで無理なく続けられる筋トレを取り入れていきましょう。
理学療法士の視点|リハビリテーションと筋力トレーニング
リハビリ現場での活用
リハビリテーションの現場では、筋力トレーニングは治療の中核をなすものです。
病気や怪我で筋力が低下した方、手術後の方、高齢により身体機能が低下した方など、様々な方に対して個別のプログラムを作成し、実施しています。
保険リハビリと自費リハビリ
筋力トレーニングにおいて、リハビリテーションは重要な役割を果たします。
ここでは、現場で感じる両者の違いを客観的にお伝えします。
保険リハビリ(医療保険適用)
メリット:
- 費用負担が少ない(1〜3割負担)
- 医師の診断に基づく治療
制約:
- 時間制限(1回20分程度)
- 頻度制限(週2〜3回が一般的)
- 症状改善後は継続困難
自費リハビリ
特徴:
- 時間をかけた評価・治療(60〜90分)
- 個別プログラムの作成
- 予防・パフォーマンス向上も対応
- 継続的なフォローアップ
向いている方:
- じっくりと評価してほしい
- 根本原因を知りたい
- 再発予防に取り組みたい
- スポーツパフォーマンスを向上させたい
どちらを選択するかは、ご自身の目的や状況に応じて判断していただければと思います。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 筋力トレーニングは毎日やった方がいいですか?
A. 同じ部位の筋トレは、48〜72時間の休息が必要です。週2〜3日の実施が推奨されています。筋肉の回復時間を確保することで、効果的に筋力が向上します。
Q2. 年齢を重ねてからでも筋肉はつきますか?
A. はい、何歳からでも筋肉は鍛えられます。適切な負荷と栄養、休息があれば、高齢者でも筋肉量・筋力の向上が期待できます。むしろ、高齢者こそ筋力トレーニングが重要です。
Q3. 筋トレで太くなりすぎませんか?
A. 通常の健康目的の筋力トレーニングでは、極端に筋肉が太くなることはありません。ボディビルダーのような体型になるには、専門的で非常に高強度のトレーニングと食事管理が必要です。
Q4. 筋肉痛がないと効果がないのでしょうか?
A. いいえ、筋肉痛がなくても効果はあります。筋肉痛は筋繊維の損傷の一つの指標ですが、筋力向上には必須ではありません。
Q5. 筋トレ前後に食事は必要ですか?
A. 空腹状態での筋トレは避けましょう。トレーニング前に軽い補食(バナナなど)、トレーニング後にタンパク質を含む食事を摂ることで、筋肉の成長と回復をサポートできます。
Q6. 自宅でのトレーニングだけで効果はありますか?
A. はい、自重トレーニングでも十分効果があります。スクワット、腕立て伏せ、プランクなど、器具なしでも効果的なトレーニングは多数あります。
Q7. 有酸素運動と筋トレ、どちらを優先すべきですか?
A. 両方を組み合わせることが最も効果的です。可能であれば、筋トレを先に実施してから有酸素運動を行うと、脂肪燃焼効果が高まります。
Q8. どのくらいで効果が実感できますか?
A. 個人差はありますが、週2回のトレーニングを2〜3ヶ月継続すると、筋力向上や体の変化を実感できることが多いです。
Q9. 持病がある場合、筋トレをしても大丈夫ですか?
A. 持病のある方、運動制限のある方は、必ず医師にご相談ください。適切な指導のもとで行えば、多くの場合、筋力トレーニングは有益です。
Q10. マイオカインを増やすには、どんなトレーニングが効果的ですか?
A. スクワットなど、下半身の大きな筋肉を鍛える運動が効果的です。また、筋肉量が増えずとも運動を継続することでマイオカインの分泌量を増やすことができます。
こんな症状があれば、すぐに医療機関へ
以下の症状がある場合は、自己判断せず、医療機関を受診してください。
危険信号(Red Flags)
- 運動中や運動後の激しい胸痛
- 息切れが異常に激しい、呼吸困難
- 激しい動悸や不整脈
- 意識がもうろうとする、めまいが強い
- 関節や筋肉に激痛がある
- 手足のしびれや脱力が急に出現
これらは重篤な疾患の可能性があります。早期発見・早期治療が重要です。
まとめ|筋力トレーニングがもたらす豊かな生活
今回は筋力トレーニングについて、最新のエビデンスとともに解説しました。
筋力トレーニングは奥が深く、本記事以外にもいろんな要素・効果を含んでいます。
この記事のポイント
✓ 筋肉は体重の約40%を占める「人体最大の臓器」 ✓ 筋肉には5つの重要な役割がある(運動、血液循環、代謝、水分貯蔵、ホルモン産生) ✓ マイオカインは「希望の分子」として全身の健康に関与 ✓ 週2〜3日の筋トレが推奨されている(健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023) ✓ サルコペニア・ロコモ・フレイルの予防に効果的 ✓ 疾患発症予防や死亡リスクの軽減につながる ✓ 美肌効果など、筋肉以外への多様な効果が判明 ✓ 筋肉の回復には48〜72時間必要 ✓ 適切な栄養と休息が不可欠 ✓ 何歳からでも筋力向上は可能
「動き」を超えた筋肉の価値
筋肉は、単に「身体を動かすための組織」ではありません。
全身の健康を守る内分泌臓器として、脳・心臓・肝臓・骨・皮膚など、あらゆる臓器とコミュニケーションを取りながら、私たちの健康を支えています。
今日からできること
筋力トレーニングを始めるのに、ジムに通う必要はありません。
- 階段を使う
- スクワットを10回やってみる
- 料理中にかかと上げをする
- 週に2回、自宅で15分のトレーニング
これだけで、1年後には「以前より楽に動ける」と実感できるはずです。
普段の生活をより豊かにする方法
令和5年の調査では、運動習慣のある人は男性で36.2%、女性で28.6%でした。
つまり、約7割の方が運動習慣を持っていません。
でも、それは裏を返せば、今から始めることで、多くの人が得ていない健康という財産を手に入れられるということです。
普段の生活をより豊かにする方法として、筋力トレーニングを試されてみてはいかがでしょうか。
怪我に気をつけて実施してくださいね。
📚 参考文献
- 厚生労働省. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023. 2024年1月.
- 厚生労働省. 令和5年(2023)国民健康・栄養調査の結果. 2024年.
- World Health Organization. Guidelines on physical activity and sedentary behaviour. 2020.
- Momma H, Kawakami R, Honda T, et al. Muscle-strengthening activities are associated with lower risk and mortality in major non-communicable diseases: a systematic review and meta-analysis of cohort studies. British Journal of Sports Medicine. 2022;56:755-763.
- 立命館大学. 筋力トレーニングが真皮の厚みを増加させ、若々しい外見に貢献する可能性を世界で初めて明らかに. Scientific Reports. 2023年6月23日.
- 日本整形外科学会. ロコモティブシンドローム推計患者数. Yoshimura N, et al. J Bone Miner Metab. 2009;27(5):620-628.
- 日本老年医学会. フレイルに関する日本老年医学会からのステートメント. 2014年5月.
- Severinsen MCK, Pedersen BK. Muscle Organ Crosstalk: The Emerging Roles of Myokines. Endocrine Reviews. 2020;41(4):594-609.
- 健康長寿ネット. 筋力トレーニングの効果と方法.
- 健康長寿ネット. 高齢者の筋力トレーニングの効果.
執筆者情報
理学療法士
本記事は、厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」、令和5年国民健康・栄養調査、および最新の学術論文に基づいて作成しています。
免責事項
本記事の運動方法を実践する際は、ご自身の健康状態に合わせて無理のない範囲で行ってください。持病のある方、運動制限のある方は、医師にご相談ください。