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「筋肉をほぐす」が逆効果?理学療法士が解説する、知られざるリスクと正しいケア方法【2026年最新版】

2026.02.09

リハビリ

「筋肉をほぐす」が逆効果?理学療法士が解説する、知られざるリスクと正しいケア方法【2026年最新版】

「肩こりには揉みほぐし」「運動後はマッサージ」

そう信じて、毎日せっせと筋肉をほぐしていませんか?

でも、ちょっと待ってください。

実は、ほぐす場所や方法を間違えると、筋膜が損傷し、炎症が悪化し、かえって体が硬くなる可能性があるんです。

「え、マッサージって体に良いんじゃないの?」

そう思いますよね。理学療法士として、リハビリ現場でも「マッサージを毎日受けているのに、すぐ戻ってしまう」「揉み返しがひどい」という声をよく耳にします。

実は、2022年のハーバード大学の研究では「マッサージの最適タイミングは損傷後3日目以降」という驚きの結果が。

さらに、2023年の大規模レビュー研究では、60秒以上の静的ストレッチで筋力が平均5.5%低下することも明らかになりました。

今回は、理学療法士の視点から「筋肉をほぐすことの光と影」を、最新のエビデンスとともに徹底解説します。


目次

  1. 「ほぐせば良い」は古い常識?最新研究が示す意外な真実
  2. 筋肉をほぐすことで起こる3つのリスク
  3. なぜ悪影響が?理学療法士が解説するメカニズム
  4. 特に注意すべき筋肉とタイミング
  5. 正しい筋肉ケアの方法【理学療法士推奨】
  6. 保険リハビリと自費リハビリの違い
  7. よくあるご質問(FAQ)
  8. まとめ:筋肉ケアの新常識

1. 「ほぐせば良い」は古い常識?最新研究が示す意外な真実

マッサージ神話の崩壊

「運動後はマッサージで乳酸を流す」

スポーツをされている方なら、一度は聞いたことがあるはずです。

でも、この常識、実は科学的に疑問視されているんです。

2022年、ハーバード大学の研究チームが驚くべき発見をしました。

マウスを使った実験で、筋肉損傷後のマッサージ効果を調べたところ、損傷後3日目以降にマッサージを行ったグループが、最も高い回復効果を示したのです。

つまり、運動直後に強くマッサージしても、期待するほどの効果は得られないどころか、炎症を悪化させる可能性があるということです。

研究では、マッサージによって炎症物質(サイトカインやケモカイン)と免疫細胞(好中球)が劇的に減少することが分かりました。

でも、この好中球の排除が有効なのは、損傷後3日目以降だったんです。

それより前だと、修復に必要な細胞まで流してしまう可能性があります。

「じゃあ、今までやってきたマッサージは無意味だったの?」

いえ、そうではありません。

タイミングと強さ、そして場所を間違えなければ、マッサージは非常に有効な手段です。

問題は、「いつでも、どこでも、強くほぐせば良い」という誤解にあります。

ストレッチにも落とし穴が

マッサージだけではありません。

ストレッチについても、最新の研究で興味深い結果が出ています。

2024年の大規模レビュー研究(Journal of Sport and Health Science掲載)によると、長期的なストレッチは関節柔軟性を向上させますが、60秒以上の静的ストレッチは、筋力を平均5.5%、跳躍力を3%低下させることが明らかになりました。

クロアチアの大学での研究では、45秒以上同じ箇所を伸ばさないよう警告されています。

さらに、ストレッチの「ケガ予防効果」についても、複数の研究が「効果なし」という結論を出しています(Thacker et al. 2004, Small et al. 2008)。

「え、ストレッチって体に良いんじゃないの?」

もちろん、ストレッチ自体が悪いわけではありません。

でも、やり方とタイミングを間違えると、逆効果になる可能性があるんです。


2. 筋肉をほぐすことで起こる3つのリスク

では、具体的にどんなリスクがあるのでしょうか。

理学療法士の視点から、3つの主要なリスクを解説します。

リスク1:筋膜・筋線維の損傷と線維化

強すぎるマッサージは、筋膜や筋線維にダメージを与えます。

筋膜とは、筋肉を包む薄い膜のこと。全身を覆うボディスーツのようなものです。

この筋膜、実はとても繊細。

強く押しすぎると、筋膜が損傷(破ける)し、修復過程で肥厚・線維化し、最悪の場合、筋膜どうしが癒着します。

整骨院の臨床報告では、以下の3つのメカニズムが指摘されています。

  1. 筋膜の損傷(破ける)
  2. 筋線維の断裂
  3. 筋小胞体の損傷

これらの損傷は治りますが、修復過程で本来柔軟性に富んだ筋膜が硬くなり、スムーズな動きが妨げられるのです。

「気持ち良いから強く押してもらっている」

その感覚、実は筋膜が悲鳴を上げているサインかもしれません。

リスク2:炎症の悪化と回復の遅延

運動直後や、筋肉痛がある状態で強くマッサージすると、炎症が悪化する可能性があります。

筋肉は、運動によって微細な損傷を受けます。これは正常な反応で、修復過程で筋肉が強くなります。

でも、この修復過程で炎症が起きているときに、強い刺激を加えると?

炎症がさらに悪化し、回復が遅れてしまうんです。

これを「揉み返し」と呼びます。

揉み返しの症状:

  • 施術箇所の痛み
  • 周辺の凝りの悪化
  • 頭痛や吐き気
  • 内出血(ひどい場合)

症状が3日以上続くと揉み返しと考えられます。

ハーバード大学の研究では、損傷直後のマッサージよりも、3日目以降のマッサージの方が回復効果が高いことが示されています。

リスク3:筋力・パフォーマンスの一時的低下

運動前に長時間の静的ストレッチを行うと、筋力や瞬発力が一時的に低下します。

これは、筋肉の緊張が緩みすぎて、力を発揮しにくくなるためです。

具体的な研究データ:

  • 筋力:平均5.5%低下(45秒の静的ストレッチ)
  • 跳躍力・瞬発力:平均3%低下
  • 効果:45〜60秒以上のストレッチで顕著

「たった数%?」

そう思うかもしれません。

でも、スポーツの世界では、この数%が勝敗を分けることもあります。

また、パフォーマンス低下は運動前の静的ストレッチ特有の問題で、動的ストレッチやストレッチ後の軽い運動で緩和できます。


3. なぜ悪影響が?理学療法士が解説するメカニズム

「なぜ、体に良いはずのマッサージやストレッチが、悪影響を及ぼすの?」

その疑問、理学療法士として詳しく解説します。

筋膜の構造と脆弱性

筋膜は、コラーゲン繊維とエラスチン繊維で構成されています。

この繊維、実は通常時より伸ばすということは、損傷させることを意味します

2024年の最新研究(DNM JAPAN)では、以下のことが指摘されています:

  • 筋膜の歪み理論:エビデンスなし
  • 深筋膜を徒手で伸ばすことは非常に難しい
  • 筋膜を通常より伸ばすことは損傷させること

では、マッサージで感じる「ほぐれた感覚」は何なのか?

実は、筋膜そのものが変化しているのではなく、痛みに対する感覚の変化である可能性が高いんです。

強い刺激を与えると、脳が痛みに慣れ、一時的に痛みを感じにくくなります。これを「DNIC(広汎性侵害抑制調節)」といいます。

でも、これには問題があります。

侵害刺激に対して閾値が下がり、中枢が感作しやすくなるんです。

つまり、長期的には痛みを感じやすい体になってしまう可能性があります。

炎症反応のメカニズム

運動後、筋肉では以下のプロセスが起こります:

  1. 微細損傷の発生 筋繊維に小さな傷がつく
  2. 炎症反応の開始 免疫細胞(特に好中球)が集まる
  3. 修復プロセス 損傷した筋繊維が修復され、強くなる

ハーバード大学の研究では、この好中球が筋肉の元となる細胞(筋前駆細胞)を増殖させる一方で、適切な筋肉の形に変化する(分化する)速度を低下させることが分かりました。

そして、マッサージによって好中球が排除されるのは、損傷後3日目以降が最適だったんです。

つまり、タイミングを間違えると、修復プロセスを妨げてしまう可能性があります。

筋紡錘の反応抑制

長時間の静的ストレッチで筋力が低下するメカニズムは、筋紡錘(きんぼうすい)という筋肉のセンサーにあります。

筋紡錘は、筋肉の伸びを感知するセンサーです。

長時間ストレッチすると、このセンサーの反応が鈍くなり、筋肉の働きが一時的に抑制されるんです。

これにより、筋力や瞬発力が低下します。

理学療法ジャーナル2024年8月号でも、伸張時間により柔軟性および筋出力に差異があることが報告されています。


4. 特に注意すべき筋肉とタイミング

すべての筋肉、すべてのタイミングで注意が必要なわけではありません。

特にリスクが高い状況を知っておきましょう。

注意すべき筋肉①:咬筋(こうきん)

顎の筋肉である咬筋は、過度にほぐすと問題が起こりやすい筋肉です。

咬筋が発達しすぎると:

  • 顎関節に負担がかかる
  • 頭痛を引き起こす
  • 顎関節症のリスク増加
  • エラが張って見える

理学療法士監修の記事(セラピストプラス)では、咬筋の過度な発達は頭痛や肩こりなど身体的不調にもつながると指摘されています。

「顎が疲れるから」とマッサージしすぎると、逆効果になることがあります。

注意すべき筋肉②:運動直後の下肢筋

運動直後の太ももやふくらはぎを強くマッサージするのは要注意です。

特に:

  • 激しい運動直後
  • 筋肉痛が強い状態
  • 浮腫(むくみ)が強い状態

これらの状態で強くマッサージすると、炎症が悪化する可能性があります。

危険なタイミング①:運動前の長時間静的ストレッチ

運動前に60秒以上の静的ストレッチを行うと、筋力・パフォーマンスが低下します。

厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、筋力トレーニングのやりすぎに注意と記載されています。

運動前は動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)が推奨されます。

危険なタイミング②:筋トレ直後の強いマッサージ

筋トレ直後は、筋繊維が微細な損傷を受けている状態です。

この状態で強いマッサージを行うと:

  • 炎症の悪化
  • 回復の遅延
  • 筋肥大の妨げ
  • 酸素を運ぶ物質が損傷部分から血液中に流出

筋トレ直後は軽いストレッチ程度にとどめ、強いマッサージは2〜3日後がおすすめです。

危険なタイミング③:急性期の痛み

急性期(痛めてから48時間以内)は、炎症が最も強い時期です。

この時期に強くマッサージすると、炎症が悪化します。

急性期は:

  • 安静
  • 冷却(アイシング)
  • 圧迫
  • 挙上

いわゆる「RICE処置」が基本です。

注意すべき筋肉③:引き伸ばされている筋肉

筋肉には「本来あるべき長さ」があり、その状態が最も疲れにくいのです。

整形外科クリニックの臨床報告では、引き伸ばされている筋肉をほぐすと、さらに引き伸ばされてしまい、もっと筋肉が疲れやすくなると指摘されています。

つまり、「ほぐしていい筋肉」と「そうでない筋肉」があるんです。


5. 正しい筋肉ケアの方法【理学療法士推奨】

「じゃあ、どうすれば良いの?」

安心してください。正しい方法をお伝えします。

ケア方法1:運動前は動的ストレッチ

運動前は、動きながら筋肉を温める「動的ストレッチ」が最適です。

実践方法

1. レッグスイング(脚の振り子運動)

  • 壁に手をついて立つ
  • 片脚を前後に振る
  • 10回 × 2セット
  • 反対の脚も同様に

2. アームサークル(腕回し)

  • 肩幅に立つ
  • 両腕を大きく回す
  • 前回し10回、後ろ回し10回

3. ランジウォーク

  • 大きく前に踏み込む
  • 膝を90度に曲げる
  • 左右交互に10歩

理学療法士のアドバイス

運動前のウォーミングアップでは、これから使う筋肉を意識的に動かすことが重要です。

静的ストレッチは15秒程度の軽いものなら問題ありませんが、長時間は避けましょう。

ケア方法2:運動後は軽いストレッチとマッサージ

運動直後は、強い刺激は避け、軽めのケアが基本です。

実践方法:運動直後(0〜30分)

静的ストレッチ(軽め)

  1. 太もも前面のストレッチ
    • 立った状態で片足を後ろに曲げる
    • かかとをお尻に近づける
    • 20〜30秒キープ
  2. ふくらはぎのストレッチ
    • 壁に手をついて立つ
    • 片足を後ろに伸ばす
    • かかとを床につけたまま
    • 20〜30秒キープ

軽いマッサージ

  • さする程度の軽い刺激
  • 強く押さない
  • 5〜10分程度

実践方法:運動2〜3日後

本格的なマッサージは、この時期がベストです。

ハーバード大学の研究結果に基づく、最も効果的なタイミングです。

  1. 太もものマッサージ
    • 膝から太ももの付け根に向かって
    • 手のひら全体で優しく流す
    • 各部位1〜2分
  2. ふくらはぎのマッサージ
    • 足首からふくらはぎに向かって
    • 両手で包み込むように
    • 各部位1〜2分

注意点

  • 痛みが強い場合は無理に行わない
  • 「痛気持ちいい」を超えない強さで
  • 息を止めない
  • マッサージ後に痛みや内出血があれば、すぐに中止

ケア方法3:日常的な筋膜ケア

日常的には、フォームローラーやストレッチポールを活用するのも効果的です。

ただし、これは「セルフマッサージ」の一種であり、厳密な意味での「筋膜リリース」ではありません。

それでも、筋肉の緊張を和らげ、血流を促進する効果は期待できます。

実践方法:フォームローラー

1. 太もも外側

  • 横向きに寝る
  • 太ももの外側にローラーを当てる
  • 体重をかけながらゆっくり転がす
  • 30秒〜1分

2. 背中

  • 仰向けになる
  • 背中の中央にローラーを当てる
  • 膝を立てて、上下に転がす
  • 1〜2分

注意点

  • 骨の上には乗せない
  • 強すぎる圧をかけない
  • 急性期は避ける
  • 首、脇下、鼠径部の大きな血管構造は避ける

ケア方法4:適切な頻度と時間

「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、筋力トレーニングのやりすぎに注意とされています。

同様に、マッサージやストレッチも、やりすぎは逆効果です。

推奨頻度

ストレッチ:

  • 週5回程度
  • 1回30〜60秒
  • 総時間:週300秒以上(2024年研究推奨)

マッサージ:

  • 運動後2〜3日に1回
  • 強さ:痛気持ちいい程度
  • 時間:各部位1〜2分
  • やりすぎは1日1回まで

6. 保険リハビリと自費リハビリの違い

筋肉のケアにおいて、専門家の評価を受けることは非常に重要です。

ここでは、リハビリテーションの選択肢について、客観的な情報をお伝えします。

保険リハビリ(医療保険適用)

特徴:

  • 費用負担が少ない(1〜3割負担)
  • 医師の診断に基づく治療

制約:

  • 時間制限(1回20分程度)
  • 頻度制限(週2〜3回が一般的)
  • 症状改善後は継続困難

自費リハビリ

特徴:

  • 時間をかけた評価・治療(60〜90分)
  • 個別プログラムの作成
  • 予防・パフォーマンス向上も対応
  • 継続的なフォローアップ

向いている方:

  • じっくりと評価してほしい
  • 根本原因を知りたい
  • 再発予防に取り組みたい
  • スポーツパフォーマンスを向上させたい
  • 「なぜこの筋肉をほぐすべきか/ほぐさないべきか」を詳しく知りたい

自費リハビリでは、理学療法士が時間をかけて体の状態を評価し、どの筋肉をほぐすべきか、どの筋肉を避けるべきかを判断できます。

また、マッサージの適切な強さやタイミングについても、個別にアドバイスを受けることができます。


よくあるご質問(FAQ)

Q1. 毎日マッサージを受けているのですが、やりすぎでしょうか?

A. 強さとタイミングによります。

軽いマッサージ(リラクゼーション目的)なら毎日でも問題ありませんが、強い刺激のマッサージを毎日受けると、筋膜や筋線維にダメージを与え、線維化・癒着のリスクがあります。

週2〜3回程度、適度な強さでのマッサージがおすすめです。

Q2. 運動前のストレッチは全く必要ないのですか?

A. 必要ないわけではありません。

ただし、60秒以上の静的ストレッチは避け、動的ストレッチを優先してください。

静的ストレッチを行う場合は、15〜30秒程度の軽いものにとどめましょう。

Q3. フォームローラーは筋膜リリースではないのですか?

A. 厳密には違います。

フォームローラーは「セルフマッサージ」の一種で、筋肉の緊張を和らげる効果はありますが、筋膜そのものを伸ばしているわけではありません。

2024年の研究でも、深筋膜を徒手で伸ばすことは非常に難しいとされています。

それでも、血流促進や筋肉のリラクゼーションには有効です。

Q4. 筋肉痛があるときは、マッサージした方が良いですか?

A. 軽い筋肉痛なら、優しいマッサージは効果的です。

ただし、強い痛みがある場合は、炎症が強い可能性があるため、無理にマッサージせず安静にしてください。

痛みを感じてからのマッサージは基本的にNGです。痛みの箇所に力を加えることで、回復途中の筋肉を傷つけ再生を遅らせることになりかねません。

Q5. ストレッチでケガ予防できないのですか?

A. 静的ストレッチ単独では、ケガ予防効果は限定的です。

複数の研究(Thacker et al. 2004, Small et al. 2008)で「効果なし」という結果が出ています。

ケガ予防には、筋力強化と適切なウォーミングアップ(動的ストレッチ)の方が重要です。

Q6. 咬筋(顎の筋肉)が疲れるのですが、マッサージしても良いですか?

A. 軽くほぐす程度なら問題ありませんが、強く押しすぎないよう注意してください。

咬筋が過度に発達すると、顎関節に負担がかかり、頭痛や顎関節症、肩こりのリスクが高まります。

歯ぎしりや食いしばりがある場合は、マウスピースの使用も検討してください。

Q7. 運動直後にマッサージを受けてはいけないのですか?

A. 強いマッサージは避けた方が良いです。

運動直後は、軽くさする程度のマッサージか、軽いストレッチにとどめてください。

ハーバード大学の研究に基づくと、本格的なマッサージは運動2〜3日後が最適です。

Q8. マッサージで筋膜が癒着すると聞きましたが、本当ですか?

A. 強すぎるマッサージで筋膜が損傷すると、修復過程で肥厚・線維化し、癒着を引き起こす可能性があります。

整骨院の臨床報告でも、筋膜損傷→修復→線維化→癒着というメカニズムが指摘されています。

「痛気持ちいい」を超える強さは避けましょう。

Q9. ストレッチの効果が持続しないのはなぜですか?

A. 新潟医療福祉大学の研究(2021年)では、5週間のストレッチ効果は、ストレッチを中止すると5週間で元に戻ることが示されています。

柔軟性を維持するには、継続的なストレッチが必要です。

Q10. 揉み返しと好転反応の違いは?

A. 揉み返しは筋膜・筋線維の損傷による炎症で、症状が3日以上続く場合が多いです。

好転反応は体が正常な状態へ戻る際の一時的な反応で、3日未満で治まることが多いとされています。

ただし、好転反応については科学的根拠が限定的です。

Q11. マッサージで一時的に良くなっても、すぐ戻ってしまうのはなぜ?

A. マッサージは表面的なアプローチにとどまり、根本原因(姿勢・体の使い方・筋力バランスなど)を解決していない可能性があります。

整骨院の臨床では、マッサージだけでは根治につながらず、体の歪みや筋力バランスの改善が必要とされています。

Q12. 自費リハビリでは、どんなマッサージを受けられますか?

A. 自費リハビリでは、時間をかけた詳細な評価と、個別のプログラム作成が可能です。

筋肉の状態を正確に評価し、どの筋肉をほぐすべきか、どの筋肉を避けるべきかを判断します。

また、適切な強さ・タイミングでのマッサージやストレッチを提案でき、根本原因にアプローチしたい方、再発予防に取り組みたい方に向いています。


まとめ:筋肉ケアの新常識

「筋肉をほぐせばほぐすほど良い」

その常識、実は間違っていたかもしれません。

この記事のポイント

✓ 強すぎるマッサージは筋膜・筋線維を損傷し、線維化・癒着のリスク ✓ 運動直後の強いマッサージは炎症を悪化させる可能性 ✓ 最適なマッサージタイミングは運動2〜3日後(ハーバード大学2022年研究) ✓ 60秒以上の静的ストレッチは筋力5.5%低下(2024年研究) ✓ ストレッチ単独ではケガ予防効果は限定的 ✓ 運動前は動的ストレッチが推奨 ✓ 痛気持ちいいを超えない強さで ✓ 継続的なケアが重要(週300秒以上のストレッチ推奨) ✓ 引き伸ばされている筋肉をほぐすと逆効果 ✓ 咬筋の過度なマッサージは頭痛・顎関節症のリスク

筋肉ケアの新しい考え方

「いつでも、どこでも、強くほぐせば良い」という時代は終わりました。

大切なのは:

  1. タイミング:運動前・直後・数日後で方法を変える
  2. 強さ:痛気持ちいいを超えない
  3. 頻度:やりすぎない(1日1回まで)
  4. 個別性:自分の体に合った方法を見つける
  5. ほぐす筋肉の選択:引き伸ばされている筋肉は避ける

体は賢い

筋肉は、適切な刺激を与えれば、自ら修復し、強くなります。

過度な介入は、かえってその修復プロセスを妨げてしまうこともあります。

「ほぐす」ことは悪いことではありません。

でも、体の声を聞きながら、適切なタイミングと強さで行うことが大切です。

理学療法士からのメッセージ

この記事を読んで、「今までのケアは間違っていたのか」と不安になった方もいるかもしれません。

でも、安心してください。

体は思っているより丈夫で、柔軟です。

今日から少しずつ、ケアの方法を見直していけば大丈夫です。

そして、もし「自分に合った正確なケア方法を知りたい」「どの筋肉をほぐすべきか専門家に評価してほしい」と思ったら、理学療法士に相談してみてください。

一人ひとりの体の状態を評価し、最適なプログラムを提案できます。

体を大切にしながら、健康的な生活を送りましょう。


📚 参考文献

  1. 厚生労働省. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023. 2024年1月公表.
  2. Konrad A, et al. Chronic effects of stretching on range of motion with consideration of potential moderating variables: A systematic review with meta-analysis. Journal of Sport and Health Science. 2024;13(2):186-194.
  3. Bryant J, et al. The Effects of Static Stretching Intensity on Range of Motion and Strength: A Systematic Review. J Funct Morphol Kinesiol. 2023.
  4. Arntz F, et al. Chronic Effects of Static Stretching Exercises on Muscle Strength and Power in Healthy Individuals Across the Lifespan: A Systematic Review with Multi-level Meta-analysis. Sports Med. 2023.
  5. Thacker SB, et al. The impact of stretching on sports injury risk: a systematic review of the literature. Med Sci Sports Exerc. 2004.
  6. Small K, et al. A systematic review into the efficacy of static stretching as part of a warm-up for the prevention of exercise-related injury. Res Sports Med. 2008.
  7. 竹井仁. Myofascial Release(筋膜リリース). 理学療法科学. 2001;16(2):103-107.
  8. 健康長寿ネット. 筋膜リリースの効果と方法. https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shintai-training/kimmakuririsu.html
  9. Nakamura M, et al. Training and detraining effects following a static stretching program on medial gastrocnemius passive properties. 新潟医療福祉大学. 2021.
  10. 静的ストレッチングは伸張時間により柔軟性および筋出力に及ぼす影響に差異はあるか?理学療法ジャーナル. 2024;58(8).

執筆者情報

理学療法士

本記事は、2022〜2024年の最新研究論文・ガイドライン・理学療法の臨床知見に基づいて作成しています。 マッサージや筋膜リリースに関しては、科学的に未解明な部分も多いため、現時点でのエビデンスを「可能性」として記載しています。


免責事項

本記事の運動方法やマッサージ方法を実践する際は、ご自身の健康状態に合わせて無理のない範囲で行ってください。 持病のある方、運動制限のある方は、医師にご相談ください。 強い痛みや違和感がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。

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