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運動習慣とリハビリの深い関係|理学療法士が見てきた「差」の正体【2026年版】

2026.01.12

リハビリ

運動習慣とリハビリの深い関係|理学療法士が見てきた「差」の正体【2026年版】

「先生、もっと若い頃から体を動かしておけばよかった…」

リハビリの現場で、この言葉を何度聞いたことでしょう。

こんにちは。理学療法士として、さまざまな年代の方々のリハビリに携わる中で、いつも感じることがあります。それは、普段から運動習慣のある方とない方では、怪我や病気からの回復スピードが驚くほど違うということです。

特に、脳卒中や骨折など突然のアクシデントに見舞われた時、それまでの運動習慣の有無が、その後の人生を大きく左右することを、私たちは日々目の当たりにしています。

でも、逆に言えば、今から運動習慣を身につけることで、将来のリスクを大きく減らせるということでもあります。

本記事では、日本の運動習慣の現状と、リハビリとの深い関係について、現場で感じていることをお話しします。2025年最新の知見も含めてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

日本人の運動習慣、実は思っているより少ない現実

まず、現状を正しく知ることから始めましょう。あなたは、日本人のどれくらいが定期的に運動しているか、ご存知ですか?

3人に1人しか運動習慣がない

2023年の国民健康・栄養調査によると、運動習慣のある人の割合は、男性で36.2%、女性で28.6%しかいません。つまり、約3人に2人は、定期的な運動習慣がないということです。

特に注目すべきは、働き盛りの世代です。30代男性と20代女性で最も運動習慣者の割合が低く、「忙しい」「時間がない」という理由で、運動が後回しになっているんです。

年代男性女性
20代21.1%16.3%
30代19.8%12.0%
40代23.4%18.7%
50代31.2%25.3%
60代42.7%33.9%
70歳以上46.5%36.5%

年齢とともに増える運動習慣—でも、それでは遅い?

興味深いことに、運動習慣者の割合は年齢が上がるにつれて増加し、70歳以上では男性46.5%、女性36.5%に達します。

でも、リハビリの現場にいる立場から正直に言うと、「体力が落ちてから慌てて始める」では、効果が限定的なんです。若い頃から少しずつ積み重ねてきた運動習慣がある方は、高齢になってからの回復力が全く違います。

なぜ運動習慣が「リハビリの成否」を左右するのか

ここが最もお伝えしたい核心部分です。

「貯筋」という考え方—筋肉は貯金できる

お金を貯金するように、筋肉も「貯筋」することができます。若い頃から運動習慣によって蓄えた筋肉は、高齢になってからの大きな財産になるんです。

例えば、脳卒中で倒れた時。普段から運動習慣のある方は、ある程度の筋力と体力が残っているため、リハビリを始めた時のスタート地点が高いんです。

一方、運動習慣がなかった方は、病気による筋力低下に加えて、元々の筋力も少ないため、二重のハンディキャップを背負うことになります。

「動ける体」が回復を加速させる

リハビリの現場で実感するのは、体の使い方を知っている方は、新しい動作の習得も早いということです。

日常的に体を動かしている方は、「どこに力を入れれば良いか」「どうバランスを取れば良いか」という感覚が身についています。この「体の使い方の知識」が、リハビリにおいて非常に有利に働くんです。

最近の研究では、定期的な運動習慣が認知機能の維持にも寄与し、リハビリにおける学習能力や回復意欲にも良い影響を与えることが明らかになっています。つまり、運動習慣は体だけでなく、脳の回復力も高めてくれるわけです。

運動習慣がもたらす「目に見えない貯金」

運動習慣の効果は、筋肉だけではありません。

心肺機能という土台

ウォーキングやランニングなどの有酸素運動を習慣にしている方は、心肺機能が良好に保たれています。実は、これがリハビリの継続に大きく影響するんです。

リハビリは体力を使います。すぐに息が上がってしまう方は、十分な量の訓練ができません。でも、日頃から有酸素運動をしている方は、長時間のリハビリにも耐えられ、結果として回復が早まります。

調査では、運動習慣を持つ人々の約80%がウォーキングやランニングを実施しています。これらの運動は生活習慣病の予防だけでなく、将来のリハビリの「下地作り」にもなっているんです。

バランス能力—転倒を防ぐ保険

高齢者にとって、転倒は骨折の大きなリスクです。そして骨折は、寝たきりへの入り口になりかねません。

日頃から体を動かしている方は、バランス能力が維持されているため、転倒しにくいんです。これは「保険」のようなもの。若いうちから積み立てた運動習慣という保険が、将来あなたを守ってくれます。

現場で見てきた「運動習慣の差」

リハビリの現場で長年働いていると、ある傾向がはっきりと見えてきます。

普段から体を動かしている方の回復力

日頃からウォーキングや軽い運動を習慣にしていた方は、脳卒中や骨折などで突然リハビリが必要になった時、回復のスピードが明らかに速い傾向があります。

筋力がある程度維持されているため、リハビリのスタート地点が高く、「歩く」「立つ」といった基本動作の再獲得も比較的スムーズに進むことが多いんです。発症から数ヶ月で元の生活に近いレベルまで回復される方も少なくありません。

運動習慣がなかった方が直面する壁

一方、長年運動習慣がなかった方の場合、病気による筋力低下に加えて、元々の体力や筋力も少ないため、リハビリには時間がかかる傾向があります。

「立つ」という基本的な動作の習得に数ヶ月、歩行の獲得にはさらに長期間を要するケースもあります。そして、多くの方が「もっと早くから体を動かしておけばよかった」とおっしゃるんです。

この差を生むもの

同じような病気や怪我でも、回復に大きな差が出るのが現実です。その差を生む大きな要因の一つが、それまでの運動習慣なんです。

「今から始める」のに遅すぎることはない

「もう歳だから」「今さら始めても」と思っていませんか?

60代、70代から始めても効果はある

国際的な研究で、高齢者が運動を始めることで、筋力やバランス能力、認知機能の改善が見られることが証明されています。始めるのに遅すぎるということはありません。

大切なのは、「完璧な運動プログラム」を組むことではなく、「続けられる運動」を生活に取り入れることです。

「運動」はハードルが高い?いいえ、日常の中にあります

「運動」と聞くと、ジムに通ったり、ランニングシューズを買ったりと、大げさに考えてしまいがちです。でも、日常生活の動作を少し工夫するだけでも、立派な運動になるんです。

今日から始められる「貯筋習慣」—自宅でできる運動メニュー

理学療法士として、自宅で簡単にできて効果の高い運動をご紹介します。これらは、実際にリハビリでも使われている動作です。

1. 足踏み運動:座ったままできる循環促進

椅子に座ったまま、膝を交互に軽く上げ下げします。

なぜ効果的? 下半身の血流が促進され、筋力低下を防ぎます。テレビを見ながら、100回でもできますよね。これを毎日続けるだけで、下半身の筋力維持に大きく貢献します。

2. つま先立ち運動:転倒予防の王道

壁に軽く手をついて、かかとを上げ下げします。

なぜ効果的? ふくらはぎの筋肉とバランス能力を同時に鍛えられます。歯磨きしながら、料理しながらできる「ながら運動」の代表格です。1日30回を目標に。

3. 椅子からの立ち上がり:太ももとお尻の筋力強化

手を使わずに椅子から立ち上がり、ゆっくり座ります。

なぜ効果的? 太ももとお尻の筋肉は、歩く、階段を上るなど、日常生活で最も使う筋肉です。この動作ができなくなると、トイレに行けなくなります。つまり、自立した生活の基本中の基本なんです。

最初は手を使っても構いません。徐々に手の力を減らしていきましょう。1日10回×3セットを目標に。

4. 手足のストレッチ:関節の柔軟性を保つ

床に座って足を前に伸ばし、つま先を手でつかみます(届かなければ、タオルを使ってもOK)。

なぜ効果的? 関節の柔軟性が保たれることで、転倒時の怪我のリスクが減ります。また、リハビリが必要になった時、関節が柔らかい方が回復も早いんです。

5. 深呼吸+肩回し:全身の血行促進とリラックス

背筋を伸ばして深呼吸しながら、肩を大きく回します。

なぜ効果的? 血行が促進され、肩こりの予防にもなります。何より、この動作はリラックス効果があり、ストレス軽減にも役立ちます。朝起きた時と夜寝る前、各10回ずつがおすすめです。

運動習慣を「続ける」ための秘訣

理学療法士として、患者さんに運動を続けてもらうために工夫していることがあります。

「毎日完璧」より「週5日そこそこ」

完璧主義は挫折のもとです。週に5日できれば上出来と考えましょう。3日坊主で終わってしまうより、ゆるく長く続けることが大切です。

生活の中に「組み込む」

「運動の時間」を別に作ろうとすると続きません。

  • 歯磨きしながら → つま先立ち
  • テレビを見ながら → 足踏み運動
  • トイレのたびに → スクワット1回

こんな風に、日常動作に組み込んでしまうのがコツです。

記録をつける—小さな達成感を積み重ねる

カレンダーに印をつけるだけでも構いません。視覚化することで、「続けている自分」を実感でき、モチベーションが保てます。

よくあるご質問

Q1. 運動は毎日やらないとダメですか?

毎日でなくても大丈夫です。週2〜3回でも、継続することで効果は現れます。大切なのは「続けること」です。完璧を目指すより、できる範囲で長く続けましょう。

Q2. 運動の強度はどれくらいが適切?

「ややきつい」と感じる程度が目安です。会話ができるくらいの強度が理想的です。息が上がりすぎる運動は、かえって続きにくくなります。

Q3. 持病があっても運動していいですか?

持病のある方は、必ず主治医にご相談ください。多くの場合、適切な運動は推奨されますが、個人の状態に合わせた判断が必要です。

Q4. 何歳から始めても効果はありますか?

はい、何歳から始めても効果はあります。60代、70代から運動を始めた方でも、筋力やバランス能力の改善が見られることが研究で証明されています。

Q5. 痛みがある時も運動すべき?

痛みがある時は無理をしないでください。痛みは体からの警告信号です。運動中に痛みを感じたら中止し、専門家にご相談ください。

まとめ

運動習慣とリハビリの深い関係について、現場で感じていることをお話ししました。

この記事のポイント

  • 運動習慣のある人は約3人に1人だけ
  • 若い頃からの「貯筋」が将来の回復力を左右する
  • 運動習慣は心肺機能やバランス能力も高める
  • 60代、70代から始めても効果はある
  • 日常動作の工夫で十分な運動になる
  • 完璧を目指さず、続けることが最優先

今日からできること

まずは、日常生活の中で意識してみましょう。エレベーターの代わりに階段を使う、いつもより少し速く歩いてみる。

小さなことから始めて、無理なく続けることが大切です。

専門家に相談するタイミング

もし不安なことがあれば、理学療法士などの専門家に相談してみましょう。一人ひとりの状態に合わせた適切なアドバイスを受けることができます。

「忙しいから」「まだ若いから」「いずれやろうと思っている」—そう思っている間にも、体は少しずつ変化していきます。

でも、今日から始めれば、明日のあなたは今日のあなたより確実に強くなっています。10年後、20年後の自分が「あの時始めておいてよかった」と思える選択を、今しませんか?

📚 参考文献

  1. 厚生労働省. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023. 2023.
  2. 厚生労働省. 令和4年国民健康・栄養調査結果の概要. 2023.
  3. Pahor M, Guralnik JM, Ambrosius WT, et al. Effect of structured physical activity on prevention of major mobility disability in older adults: the LIFE study randomized clinical trial. JAMA. 2014;311(23):2387-2396.
  4. Martinez-Velilla N, Casas-Herrero A, Zambom-Ferraresi F, et al. Effect of exercise intervention on functional decline in very elderly patients during acute hospitalization: a randomized clinical trial. JAMA Intern Med. 2019;179(1):28-36.
  5. Langhammer B, Bergland A, Rydwik E. The Importance of Physical Activity Exercise among Older People. Biomed Res Int. 2018;2018:7856823.

執筆者情報

理学療法士

本記事は、最新の文献・ガイドラインに基づいて作成しています。

免責事項

本記事の情報は一般的な内容です。個人の状態により適切な方法は異なります。

持病のある方、運動制限のある方は、医師にご相談ください。

症状が改善しない場合や悪化する場合は、速やかに医療機関を受診してください。

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