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怪我予防とリハビリの最新ガイド【2026年版】理学療法士が解説する科学的アプローチ

2026.01.12

リハビリ

怪我予防とリハビリの最新ガイド【2026年版】理学療法士が解説する科学的アプローチ

「安静にして、とにかく冷やす」

怪我をしたとき、あなたはこう教わりませんでしたか?

実は、この常識が大きく変わろうとしています。

2020年、世界的に権威のあるBritish Journal of Sports Medicineに、怪我の新しい対処法「PEACE & LOVE」が発表されました。これは、長年信じられてきた「RICE処置」を見直し、身体が持つ自然な治癒力をより効果的に引き出すアプローチです。

でも、変わったのは応急処置だけではありません。

予防科学も、リハビリテーションの考え方も、この5年で驚くほど進化しています。スマートフォンで自分の動きを分析できる時代。遺伝的特性に合わせた予防プログラムが可能になった時代。そして何より、「怪我は防げる」という認識が、科学的根拠とともに広まってきた時代です。

このコラムでは、怪我の予防からリハビリまで、2025年現在の最新情報を、理学療法士の視点からわかりやすくお届けします。

あなたの年代に合った予防法、もし怪我をしてしまった時の正しい対処法、そして確実に回復へと導くリハビリの進め方。

すべて、最新のエビデンスに基づいた情報です。


怪我は「起きてから対処」ではなく「起きる前に防ぐ」時代へ

スポーツ・日常生活で起こりやすい怪我とそのメカニズム

怪我と一言で言っても、その種類は様々です。まずは、どんな怪我が多いのか、そしてなぜ起こるのかを理解しましょう。

スポーツ外傷(急性の怪我)

一度の強い外力によって起こる怪我です。

捻挫 関節が正常な可動域を超えて動くことで、靭帯が損傷します。足首の捻挫は特に多く、着地時や急な方向転換で発生しやすいです。

公益財団法人日本スポーツ協会の統計(令和4年)によると、スポーツ外傷全体の中で捻挫と骨折が78%以上を占めています。

肉離れ 筋肉や腱が過度に伸ばされたり、急激に収縮することで生じます。特に、太ももの裏(ハムストリングス)やふくらはぎに多く見られます。

ダッシュの瞬間、ジャンプの着地、急なストップ動作で発生しやすいのが特徴です。

骨折 一度の強い衝撃で骨が折れる状態です。接触プレーでの転倒、高所からの着地失敗などで発生します。

スポーツ障害(慢性的な怪我)

繰り返しの負荷によって、少しずつダメージが蓄積していくタイプの怪我です。

疲労骨折 同じ部位に繰り返し負荷がかかることで、骨に微細な亀裂が入ります。ランニングやジャンプ動作を繰り返すスポーツで多く見られます。

初期には「なんとなく痛い」程度ですが、放置すると完全骨折に至ることもあります。

腱鞘炎 腱とその周囲の鞘(さや)に炎症が起きる状態です。手首や指に多く、テニス、ゴルフ、野球などで繰り返し同じ動作を行うことで発生します。

関節炎 関節内の軟骨が摩耗したり、炎症が起きることで痛みと機能低下が生じます。加齢とともに増加しますが、若い世代でも過度な負荷で発生することがあります。


なぜ怪我は起こるのか?理学療法士が見る3つの要因

要因1:身体機能の問題

柔軟性の不足 筋肉や腱が硬いと、急な動きに対応できず損傷しやすくなります。特に、運動前のウォームアップが不足していると、冷えた筋肉が急激に伸ばされて肉離れのリスクが高まります。

筋力のアンバランス 例えば、太ももの前(大腿四頭筋)は強いのに、裏(ハムストリングス)が弱いと、膝の怪我のリスクが上がります。

バランスの取れた筋力トレーニングが重要です。

疲労の蓄積 疲れた状態では、筋肉の反応速度が低下し、関節を守る力が弱くなります。「もう少しだけ」という無理が、怪我につながることは少なくありません。

要因2:動作パターンの問題

不適切なフォーム 着地時に膝が内側に入る、体幹が不安定なまま動く。こうした動作パターンは、特定の部位に過度な負荷をかけ、怪我のリスクを高めます。

最近では、スマートフォンのカメラで自分の動きを撮影して確認することもできます。

急激な負荷の増加 「先週は5km走ったから、今週は10km」というように、急に運動量を増やすと、身体が適応する前に組織が損傷します。

運動量は週に10%以内の増加が推奨されています。

要因3:環境とコンディション

路面や天候 未舗装の道、雨で濡れた床、凍結した路面。環境要因も怪我のリスクを大きく左右します。

年齢と性別 成長期の子どもは骨端線(成長軟骨)が未成熟で、特有の怪我(オスグッド病など)が起こりやすくなります。

また、女性は男性に比べて靭帯が柔らかく、前十字靭帯損傷のリスクが高いことが報告されています。


怪我をしてしまったら:「RICE」は古い?最新の「PEACE & LOVE」とは

常識が変わった!応急処置の新しいスタンダード

「怪我をしたらRICE」

多くの方がこう教わってきたと思います。

RICE処置とは

  • Rest(安静)
  • Icing(冷却)
  • Compression(圧迫)
  • Elevation(挙上)

しかし、2020年、この常識に大きな変化が訪れました。

British Journal of Sports Medicineに掲載された論文で、新しいプロトコル「PEACE & LOVE」が提唱されたのです。

「ちょっと待ってください。RICEの何が問題だったんですか?」

そう思われるかもしれません。実は、近年の研究で、以下のようなことがわかってきました。

過度な安静の問題 長期間の安静は、筋力低下や関節の硬さを招き、回復を遅らせる可能性があります。

冷却(アイシング)の再考 炎症は身体が組織を修復するための自然な反応です。過度に炎症を抑えることが、かえって治癒を遅らせる可能性が指摘されています。

心理的要因の軽視 従来の方法では、患者の心理状態や自己管理能力への配慮が不足していました。


PEACE & LOVE:身体の治癒力を最大限に引き出す新アプローチ

それでは、新しいプロトコル「PEACE & LOVE」を詳しく見ていきましょう。

PEACE(急性期:怪我直後〜3日間)

怪我をした直後の対応です。

P – Protection(保護) 怪我をした部位を、さらなる損傷から守ります。

痛みが強まる動作は1〜3日間避けましょう。必要に応じて、サポーターやテーピングを使用します。

ただし、「完全な安静」ではありません。痛みの範囲内で少しずつ動かすことが大切です。

E – Elevation(挙上) 患部を心臓より高く上げることで、重力を利用して腫れを軽減します。

横になって、クッションなどで足を高く上げるのが効果的です。

A – Avoid Anti-inflammatory modalities(抗炎症処置の回避)

これが、従来のRICEと大きく異なる点です。

炎症(腫れ・熱感・痛み)は、損傷した部分を治すための身体の自然な反応です。過度な消炎鎮痛薬の使用や、長時間のアイシングは、この治癒プロセスを妨げる可能性があります。

「じゃあ、冷やさなくていいんですか?」

痛みが強い場合、短時間(10〜15分程度)のアイシングは痛みの軽減に有効です。しかし、「とにかく冷やし続ける」という従来の方法は推奨されていません。

C – Compression(圧迫) 弾性包帯などで適度に圧迫することで、腫れを抑えます。

ただし、血流を妨げるほど強く巻かないように注意してください。指先が冷たくなったり、しびれたりする場合は緩めましょう。

E – Education(患者教育) 怪我の自然な治癒プロセスを理解し、過度な医療介入(不必要な画像検査や薬物療法)を避けることも重要です。

「身体は自分で治る力を持っている」という基本を理解することで、不安が軽減され、回復も促進されます。


LOVE(回復期:怪我後4日目以降)

急性期を過ぎたら、積極的な回復プロセスに入ります。

L – Load(負荷) 痛みの範囲内で、徐々に負荷をかけていきます。

「動かすと痛いから、もっと安静に」ではなく、「痛くない範囲で少しずつ動かす」ことが回復を早めます。

組織は適度な負荷を受けることで強くなります。これを「組織のリモデリング」と呼びます。

O – Optimism(楽観的な姿勢)

「本当に治るのかな…」

そんな不安は、実は回復を遅らせることがわかっています。

前向きな気持ちで治療に取り組むことは、痛みの認識や回復速度に直接影響します。慢性痛のリスクも減らすことができます。

V – Vascularisation(血流促進) 損傷後3日目くらいから、痛みを伴わない範囲で有酸素運動を始めます。

軽いウォーキングや自転車こぎなど、全身の血流を促す運動が、損傷部位への栄養供給を高め、治癒を促進します。

1日2回、各20分程度が目安です。

E – Exercise(運動) ストレッチ、筋力強化、バランス運動を段階的に行います。

これらは、筋力や可動域、身体の感覚(固有受容感覚)の回復に不可欠です。


RICE vs PEACE & LOVE:何が変わったのか

項目RICE(従来)PEACE & LOVE(最新)
安静とにかく安静痛みの範囲内で動かす
冷却長時間冷やす必要最小限に
抗炎症薬積極的に使用使用を控える
心理的要因考慮なし重視する
運動開始時期遅め早期から段階的に

リハビリテーションの3段階:確実に回復へ導くロードマップ

怪我からの回復は、3つの段階を経て進んでいきます。それぞれの段階で、目的と方法が異なります。

第1段階:急性期(保護期)

期間: 怪我後〜約1週間

目的:

  • 痛みと腫れのコントロール
  • 組織の保護
  • さらなる損傷の予防

この時期にやること:

適切な安静と保護を行いながら、完全に動かさないわけではありません。痛みが出ない範囲で、関節を優しく動かします。

例えば、足首の捻挫なら、座った状態で足首をゆっくり回す。これだけでも、関節の硬さを防ぐことができます。

避けるべきこと:

  • 痛みを我慢して無理に動かす
  • 過度に長時間の固定
  • 炎症を悪化させる行動(飲酒、長風呂など)

第2段階:回復期(再建期)

期間: 怪我後1〜6週間(怪我の程度による)

目的:

  • 組織の修復と強化
  • 関節可動域の拡大
  • 筋力の回復
  • バランス感覚の再獲得

この時期にやること:

徐々に負荷を増やしながら、機能を回復させていきます。

可動域訓練 関節を動かせる範囲を少しずつ広げます。痛みが出る手前で止め、無理をしないことが重要です。

筋力トレーニング 最初は自分の体重を使った軽い運動から始めます。

例:

  • 足首の捻挫後:つま先立ち運動
  • 膝の怪我後:椅子に座った状態での膝の曲げ伸ばし

徐々に、チューブやウェイトを使った抵抗運動に進みます。

バランストレーニング 片足立ちや、不安定な場所(クッションの上など)でのバランス訓練を行います。

怪我をすると、「この角度で体重をかけると危ない」という身体の感覚(固有受容感覚)が低下します。この感覚を取り戻すことが、再発予防に非常に重要です。


第3段階:機能回復期(リモデリング期)

期間: 怪我後6週間〜数ヶ月

目的:

  • 日常生活動作への完全復帰
  • スポーツ特有の動作の再獲得
  • 再発予防

この時期にやること:

スポーツ特有の動作訓練 サッカーなら方向転換、バスケならジャンプと着地、テニスならスイング動作など、実際の競技動作を段階的に取り入れます。

パフォーマンステスト 以下のような指標で、復帰の準備ができているかを評価します:

  • 患側と健側の筋力差が10%以内
  • 痛みなく全ての動作ができる
  • ジャンプして着地しても痛みがない
  • 競技特有の動作をフルスピードで行える

再発予防プログラム 復帰後も、ウォーミングアップやストレッチ、筋力維持のトレーニングを継続することが重要です。


年代別・怪我予防の実践ガイド

年齢によって、身体の特徴も怪我のリスクも変わります。それぞれの年代に合った予防法を見ていきましょう。

10代〜20代:成長期と活動期の注意点

この年代は、最も活動的で、スポーツ外傷のリスクが高い時期です。

成長期特有の怪我に注意

オスグッド病(膝の成長痛) 膝のお皿の下が痛む状態です。成長期の骨が未成熟な時期に、ジャンプやダッシュを繰り返すことで発症します。

サッカー、バスケットボール、バレーボールなどでよく見られます。

シンスプリント(すねの痛み) すねの内側に痛みが出る状態です。ランニングやジャンプ動作の繰り返しで発症します。

この年代の予防ポイント:

  1. 基礎体力の向上 技術練習だけでなく、柔軟性・筋力・持久力のバランスの取れた身体づくりが重要です。
  2. 休息の重要性 「毎日練習すれば強くなる」という考えは危険です。週に1〜2日の完全休養日を設けましょう。

オーバートレーニング症候群を防ぐためです。

  1. 適切なフォームの習得 若いうちに正しい動作パターンを身につけることが、将来の怪我予防につながります。

30代〜40代:仕事と運動の両立期

仕事が忙しくなり、運動時間が取りにくくなる年代です。久しぶりの運動で怪我をするケースも多く見られます。

この年代に起こりやすい怪我:

  • アキレス腱断裂(久しぶりのテニスやバドミントンで)
  • 肉離れ(ウォーミングアップ不足)
  • 腰痛(筋力低下と柔軟性の低下)

この年代の予防ポイント:

  1. 柔軟性の維持が最優先 20代に比べて、筋肉や腱の柔軟性が低下します。

毎日のストレッチを習慣化しましょう。特に、太ももの裏(ハムストリングス)、ふくらはぎ、股関節周りを重点的に。

  1. 段階的な運動強度の設定 「昔はもっとできた」という意識は危険です。現在の身体能力に合わせて、無理のない運動から始めましょう。
  2. 筋力トレーニングの継続 30代から筋肉量は減少し始めます(サルコペニアの始まり)。

週2〜3回、全身の筋力トレーニングを行うことで、怪我のリスクを大幅に減らせます。


50代以上:健康寿命を延ばす予防戦略

この年代では、怪我の予防は「スポーツのため」だけでなく、「日常生活の質を守るため」の意味も大きくなります。

この年代に起こりやすい怪我・問題:

  • 転倒による骨折(特に手首、大腿骨頸部)
  • 変形性関節症の進行
  • 筋力低下による活動量の減少

この年代の予防ポイント:

  1. バランス感覚を養う運動 転倒予防が最重要課題です。
  • 片足立ち(最初は何かにつかまって)
  • 後ろ歩き
  • タンデム歩行(一直線上を歩く)

これらの運動を毎日5分行うだけで、転倒リスクが大幅に減少します。

  1. 関節に優しい運動選択 激しい運動よりも、持続可能な運動を選びましょう。

おすすめの運動:

  • 水中ウォーキング(膝や腰への負担が少ない)
  • 自転車こぎ(有酸素運動と筋力強化を兼ねる)
  • 太極拳(バランス、柔軟性、筋力すべてを養える)
  1. 骨密度の維持 骨粗しょう症の予防には、適度な荷重運動(ウォーキングなど)とカルシウム・ビタミンDの摂取が重要です。

自宅でできる怪我予防プログラム

毎日のちょっとした習慣が、怪我のリスクを大きく減らします。朝と夜、それぞれ5〜10分のルーティンをご紹介します。

朝のモビリティルーティン(5分間)

朝は関節が硬くなっています。優しく動かして、一日の活動に備えましょう。

1. 首のストレッチ(各方向5回ずつ)

  • 前後:ゆっくりと顎を引き、天井を見上げる
  • 左右:耳を肩に近づけるように傾ける
  • 回旋:左右を向く

2. 肩回し(前回し・後ろ回し各10回) 肩甲骨を大きく動かすイメージで、ゆっくりと回します。

3. 体幹ひねり(左右各10回) 立った状態で、腰は正面を向いたまま、上半身だけを左右にひねります。

4. 足首回し(各方向10回ずつ) 座った状態で、足首を内回し・外回しします。

ポイント: すべての動作をゆっくりと、呼吸を止めずに行いましょう。


夜の回復ルーティン(10分間)

一日の疲れをリセットし、翌日に備えます。

1. フォームローラーで筋膜リリース(5分)

フォームローラー(なければテニスボール)を使って、以下の部位をほぐします:

  • ふくらはぎ:30秒×2セット
  • 太ももの裏:30秒×2セット
  • 太ももの外側:30秒×2セット
  • 背中:30秒×2セット

痛気持ちいい程度の圧で、ゆっくりと転がします。

2. 静的ストレッチ(5分)

主要な筋肉群を、各30秒間伸ばします:

太もも前のストレッチ 立った状態で片足の足首を持ち、お尻に近づけます。バランスが取りにくい場合は壁につかまりましょう。

太もも裏のストレッチ 床に座り、片足を伸ばして、つま先に手を伸ばします。背中を丸めずに、股関節から曲げることを意識します。

胸のストレッチ 壁に手をついて、身体を反対側にひねります。デスクワークで硬くなった胸の筋肉を伸ばします。

股関節のストレッチ あぐらの姿勢(または開脚)で、前に身体を倒します。

3. 深呼吸とリラクゼーション(30秒) 仰向けになり、ゆっくりと深呼吸を5回。

心身ともにリラックスすることで、睡眠の質も向上します。


自費リハビリという選択肢:より専門的なケアを求める方へ

保険診療のリハビリと、自費リハビリ。どちらを選ぶべきか、悩まれる方も多いと思います。

ここでは、両者の違いを客観的にお伝えします。

保険診療のリハビリ

特徴:

  • 医師の診断に基づく治療
  • 費用負担が少ない(1〜3割負担)
  • 病院や診療所で受けられる

制約:

  • 時間制限(1回20分程度が一般的)
  • 頻度制限(週2〜3回程度)
  • 症状改善後は継続が難しい
  • 標準算定日数の上限がある

自費リハビリ

特徴:

  • 時間をかけた評価と治療(60〜90分)
  • 個別プログラムの作成
  • 予防やパフォーマンス向上にも対応
  • 継続的なフォローアップが可能

費用:

  • 全額自己負担
  • 1回あたり8,000〜15,000円程度(施設による)

どちらを選ぶべきか

保険診療が適している方:

  • 急性期の怪我や病気
  • 医師の診断が必要な症状
  • 費用を抑えたい方

自費リハビリが適している方:

  • じっくりと評価してほしい
  • 根本原因を知りたい
  • 再発予防に本気で取り組みたい
  • スポーツパフォーマンスを向上させたい
  • 保険適用期間を過ぎたが継続したい

どちらが「良い」「悪い」ではありません。ご自身の状況、目的、予算に応じて、最適な選択をすることが大切です。


よくあるご質問(FAQ)

Q1. 怪我をした直後、冷やすべきですか?

A. 痛みが強い場合、10〜15分程度の短時間のアイシングは有効です。

ただし、「何時間も冷やし続ける」という従来の方法は推奨されていません。炎症は身体が組織を修復するための自然な反応であり、過度に抑制すると治癒が遅れる可能性があります。

Q2. 捻挫は何日で治りますか?

A. 軽度の捻挫(靭帯の部分損傷)で2〜3週間、中等度で4〜6週間が目安です。

ただし、適切な処置とリハビリを行わないと、痛みが長引いたり、再発しやすくなります。理学療法士などの専門家に相談することをお勧めします。

Q3. ストレッチは怪我予防に効果がありますか?

A. ストレッチ単独では、怪我予防の効果は限定的であることがわかっています。

しかし、柔軟性の向上、可動域の確保、運動前の身体の準備としては有効です。ストレッチ、筋力トレーニング、バランス訓練を組み合わせた総合的なアプローチが最も効果的です。

Q4. 「痛みを感じながら運動」は良くないですか?

A. 急性期の強い痛みがある場合は、無理に動かすべきではありません。

ただし、回復期に入ったら、「痛みが出ない範囲で徐々に負荷をかける」ことが重要です。完全に痛みがゼロになるまで待つ必要はありません。

Q5. サポーターはずっと使い続けていいですか?

A. サポーターは急性期や、不安定感が強い時期には有効です。

しかし、長期間使い続けると、筋力が低下する可能性があります。症状が改善してきたら、徐々にサポーターに頼らない時間を増やし、自分の筋力で関節を支えられるようにトレーニングしましょう。

Q6. 湿布は効果がありますか?

A. 湿布に含まれる消炎鎮痛成分は、表面的な痛みの軽減には効果があります。

ただし、組織の治癒を早めるわけではありません。「湿布を貼れば治る」のではなく、適切なリハビリと並行して使用することが大切です。

Q7. マッサージは怪我の回復に効果的ですか?

A. 適度なマッサージは、筋肉の緊張をほぐし、血流を促進する効果があります。

ただし、急性期(怪我直後)の強いマッサージは、炎症を悪化させる可能性があるため避けるべきです。回復期に入ってから、専門家による適切なマッサージを受けることをお勧めします。

Q8. 高齢者でも運動で怪我を予防できますか?

A. はい、高齢者こそ、適切な運動が怪我予防に非常に効果的です。

特に、バランス訓練と筋力トレーニングは、転倒リスクを大幅に減少させることが多くの研究で示されています。年齢に合わせた無理のない運動を継続することが重要です。

Q9. 再発を防ぐにはどうすればいいですか?

A. 再発予防には、以下の3つが重要です:

  1. 完全に回復するまでリハビリを継続する:痛みがなくなった≠完治ではありません
  2. 原因となった動作パターンを改善する:なぜ怪我をしたのかを理解する
  3. 予防プログラムを継続する:復帰後も、ウォーミングアップ、ストレッチ、筋力維持を継続

Q10. どんな症状があれば、すぐに医療機関を受診すべきですか?

A. 以下の症状がある場合は、すぐに整形外科を受診してください:

  • 激しい痛みで動けない
  • 関節が明らかに変形している
  • 腫れが急速に拡大している
  • しびれや感覚の麻痺がある
  • 患部の色が変わっている(青紫、白など)
  • 発熱がある

これらは重篤な損傷や合併症のサインです。自己判断せず、専門医の診察を受けましょう。


まとめ:怪我と向き合う新しい常識

この記事のポイント

✓ 怪我の応急処置は「RICE」から「PEACE & LOVE」へ進化

✓ 過度な安静や冷却は、かえって治癒を遅らせる可能性がある

✓ 炎症は身体が治すための自然な反応。適度に尊重することが重要

✓ リハビリは3段階(急性期→回復期→機能回復期)で進む

✓ 年代別の予防法を取り入れることで、怪我のリスクを大幅に減らせる

✓ 毎日の簡単なルーティン(朝5分・夜10分)が予防の鍵

✓ 保険リハビリと自費リハビリ、目的に応じて選択できる

✓ 再発予防には、完全回復までのリハビリ継続と原因の改善が必須

「怪我をしない身体」は、毎日の積み重ねで作られる

怪我は「運が悪かった」だけではありません。

多くの怪我は、身体機能の問題、動作パターンの問題、コンディションの問題が重なって起こります。

でも、これは言い換えれば、「怪我は防げる」ということです。

柔軟性を保つこと。バランスの取れた筋力を養うこと。疲労を溜めないこと。適切なフォームを身につけること。

そして、もし怪我をしてしまっても、適切な対処とリハビリで、確実に回復できます。

「PEACE & LOVE」の考え方は、身体が持つ治癒力を信じ、それを最大限に引き出すアプローチです。

今日からできること

  1. 朝のモビリティルーティン(5分)を始めてみる
  2. 夜のストレッチ(10分)を習慣化する
  3. 自分の動きを撮影して、フォームをチェックする
  4. 週に1日は完全休養日を設ける
  5. 身体の違和感を見逃さない:小さな痛みが大きな怪我のサインかもしれません

専門家に相談するタイミング

  • 痛みが1週間以上続いている
  • 日常生活に支障が出ている
  • 再発を繰り返している
  • 自分でケアしても改善しない

こんな時は、理学療法士などの専門家に相談することをお勧めします。

早期の適切な対処が、回復を早め、再発を防ぎます。


執筆者情報

理学療法士

本記事は、2020年以降の最新の文献・研究論文・診療ガイドラインに基づいて作成しています。PEACE & LOVEに関しては、科学的に未解明な部分も多いため、「可能性」として記載しています。


📚 参考文献

  1. Dubois B, Esculier JF. Soft-tissue injuries simply need PEACE and LOVE. Br J Sports Med. 2020;54(2):72-73.
  2. 日本理学療法学会連合. 理学療法ガイドライン第2版. 2021.
  3. 日本集中治療医学会. 日本版重症患者リハビリテーション診療ガイドライン2023. 日集中医誌. 2023;30(Suppl 2).
  4. 公益財団法人日本スポーツ協会スポーツ医・科学委員会. スポーツ傷害統計データ集. 令和4年3月, 2022.
  5. 厚生労働省. 患者調査 令和2年. 2020.
  6. 公益財団法人スポーツ安全協会. スポーツ外傷・障害予防ガイドブック. 2024.
  7. 日本循環器学会. 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2021年改訂版). 2021.
  8. 磯部光章ほか. 脳卒中と心血管病の維持期・生活期リハビリガイドブック. 厚生労働省科学研究費補助金事業. 2024.

免責事項

本記事の運動方法を実践する際は、ご自身の健康状態に合わせて無理のない範囲で行ってください。持病のある方、運動制限のある方は、医師にご相談ください。

怪我の症状には個人差があり、本記事の情報はあくまで一般的な内容です。症状が改善しない場合や悪化する場合は、速やかに医療機関を受診してください。

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